[報告] 第25回・手で触れる日展鑑賞会の報告

京視協文化部・五感で楽しむ会
 昨年12月25日の10時から12時まで、京都市美術館において標記鑑賞会を開催しました。参加者並びに協力者は、視覚障害者16名と付添・ボランティア14名、京
都教育大学の谷口淳一(たにぐち じゅんいち)教授と学生17名、出展作者12名、そして京都市美術館総務課・学芸課職員4名の総勢60余名で、視覚障害者からの質問が飛び交う中あっという間の2時間でした。初めての参加者もあり、石膏、樹脂、木彫と美術作品を手で触れての鑑賞に、新たな気づきと感動を得られたようでした。
 次の機会にも、どうぞ大勢の皆さんのご参加をお待ちいたします。
<鑑賞した作品>
 順不同・敬称略。作家名、作品名、素材の順に掲載しています。
1.木代 喜司(きしろ よしじ)「明日を呼ぶ鳥」 樹脂・石膏
2.谷口 淳一(たにぐち じゅんいち)「あの日の約束」 石膏
3.答島 英淳(こたじま ひであつ)「鈴韻(れいん)」 石膏
4.神山 美登里(かみやま みどり)「魂男(たましいのひと)」
5.柳浦 伊和夫(やなぎうら いわお)「郷愁 荒田耕(あらたおこし)」 樹脂
6.細川 忠夫(ほそかわ ただお)「愛・温もり」 樹脂
7.志萱 州朗(しがや くにあき)「湖路(うみみち)」 樹脂
8.芦田 風馬(あしだ ふうま)「抱く(いだく)」 石膏 
9.西見 智之(にしみ ともゆき)「家族達・2016」 樹脂
10.横田 朋子(よこた ともこ)「どこへ行こうか」 樹脂
11.大亀 清壽(おおかめ せいじゅ)「盤州の陣(ばんしゅうのじん)」 木彫
12.石母田 みなみ(いしもだ みなみ)「編む」 樹脂
<参加者からの感想>
 西京区 佐渡 和代(さど かずよ)
 去る12月25日、京都市美術館において、手で触れる日展鑑賞会が開催されました。作品は樹脂、石膏、木彫と様々です。毎回のように作品のどこかに小鳥をとまらせておられる『明日を呼ぶ鳥』に、今年はどこにと興味深く拝見しました。
優しく触らないと石膏がポロポロ剥がれてくる。それでも触らせていただけることに感謝です。自宅の犬をモデルに、コーヒーで色付けした樹脂作品『愛・温も
り』には、優しい曲線など本当に温もりを感じました。触っただけでは作者の意図するところが分からないまま、こうかなと想像するのですが、『編む』という
作品は、作者からお話をお聴きして、改めてなるほどと思いました。色合や顔の表情に込められたメッセージを、触れるだけで読み取るのは、なかなか困難なのですが、『どこへ行こうか』 という茶色の樹脂作品は、筋骨たくましく触った
だけでハンサムと分かる格好いい男性です。作者の「本当にスタイルの良いイケメンです」との答えに女性からは、「わあ!触らせて!」との声が上がりました。
 そして私が最も印象に残った作品は『盤州の陣』です。2メートルを超える木彫で、作者は福島県の方です。防護服を身にまとい、宇宙服のようなヘルメット
をかぶり、ゴーグルをおでこにかけ、ただならぬ気配を漂わせていました。ちょうど、赤穂浪士が覚悟の討ち入りに出かける前の厳しさと困難さを、表情や衣装から感じ取りました。また、防護服の模様を一つひとつ掘り進んだ、時間を長くかけた作品に思わず「凄い!」と声を上げました。触らせていただいた12のほとんどの作品は、作者からの説明や、それに託した思いを丁寧に語ってくださいました。個人で美術館に行くと、何だか分からないまま疲れてしまい、欲求不満が残るのですが、このように多くの作品に触れることができて大満足の一日でした。


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