同行援護制度利用と白杖携帯について
同行援護事業担当副会長 岡《おか》田《だ》 多《た》栄《え》子《こ》
「利用者の方には白杖を持っていただきたい」というガイドヘルパーからのお声と、「ガイドを受ける時は自らとヘルパーの安全のため白杖を持つべきだ」という同じ利用者としての立場からのご意見をいただくことがしばしばあります。皆さまと白杖の携帯について少し考えてみたいと思います。
現在道路交通法で、視覚障害者(もしくはそれに準ずるもの)は、白杖を持つことが定められており、見える人はこの杖を持っている人に配慮することになっています。しかし、私たちの安全確保のためには必要なものということはわかっているけれど持ちたくないという人が少なからずいらっしゃることも現実です。その理由として、「自分が視覚障害者であることを表明するのは抵抗がある」「格好悪い」「恥ずかしい」「周囲の人の目が気になる」「ガイドしてもらうなら安全だし、手もふさがって邪魔になる」などが考えられます。
『アイサポ』では、「ヘルパーの支援を受ける際には白杖の携帯を」と契約時には説明していますが、強制まではしていません。これはご自身が障害を受け止められるにはまだ時間が必要な方がいらっしゃるため、そのような方々のお気持ちに配慮してということと、当事者団体の事業所としては、皆さまが抵抗なく白杖が持てる社会になるよう働きかけていく役割があるからです。
白杖を持って街に出た時、そんなに周囲の人々は偏見をもって私たちを見ているでしょうか? 差別的な言葉を浴びせられた経験がある方がいらっしゃるかもしれませんが、私たちが社会参加していることにより、時代は大きく変わったと感じます。
私は先天性の障害なので当たり前に白杖を持って歩いていますが、人生の途中で見えにくくなられた方は抵抗があるのもやむを得ないとずっと思っていました。この記事を書くにあたり中途視覚障害者の方に意見を伺ってみたところ、「格好悪いと思った時期もあったけど、ガイドヘルパーの支援を受けることは自分が視覚障害者やと認めたことなんやし、白杖を持つのは当たり前や」とおっしゃいました。
「目が不自由でお気の毒ですね」とか、「大変ですね」という言葉をかけられることは時々あります。良い気持ちはしませんが、白杖を持ちたくない理由を周囲の目の責任にせず、命を守る杖をぜひ持っていただきたいと思います。
私たちが思っている以上に、さりげなく通路を譲って下さる方はたくさんありますし、人にぶつかってしまっても「どこ見てるんや」と言われるどころか、「気がつかずごめんなさい」と言ってくださることもよくあります。電車とホームの間、段差の位置や高さの確認も自分ででき、怖いと感じることもなくスムーズに歩けます。
読者の皆さまの中に白杖を持つことにためらいを感じている方がいらっしゃいましたら、不規則な段差・人込み・交通量の多いところなど、少しずつでも良いので白杖を持ってみませんか? またそのような声掛けができるのも、当事者の仲間だからできることではないでしょうか。