第75回全国視覚障害者福祉大会(名古屋大会)に参加して

副会長 岡田 多栄子
 新型コロナ感染拡大により昨年の第74回の標記大会は1日のみのオンライン開催となりましたが、今年は5月31日~6月1日、愛知県名古屋市で会場参加とオンライン参加を併用したハイブリッド方式により開催されました。
 5月31日午後から開催された大会は、最初に、「未来に向けてのメッセージ~多様性ある社会を目指して~」と題したシンポジウムが開催され、全国各地で青年部や女性部で活動されている方が登壇されました。青年協《せいねんきょう》からは、青年部が組織できない団体も増えてきている中、近隣の団体と協力するなども含め、各団体の役員には、青年層のリーダーとなれる人材の発掘に努力し、その人たちが、主体的に動ける会運営をしてほしいと要望がありました。また女性協《じょせいきょう》からは、育児・介護・日常生活など女性だけの課題ではない問題提起があった一方、出産時の医師の無理解、障害の弱みに付け込んだ性犯罪など、障害を持つ女性の複合差別に悩む口惜しさと解決策への提起をされていたのも印象的で、私自身も共感するところが多い発表でした。
 その後開催された、全国団体長会議は、全国の加盟団体の代表者と女性・青年・音楽・あはき・スポーツの5協議会の代表等が参加しました。
 本部からの提案として、2022年度運動方針(案)に対する意見交換の場が設定されました。情報保障、移動におけるバリアフリー化、ユニバーサルデザイン、就労、教育、地域の活性化、文化・芸術・スポーツ、災害対策の、8本の柱に沿った討議がされました。
 なお、全国の各団体から出された提出議案は生活関連44項目、バリアフリー関連47項目、職業関連26項目の延べ117項目がまとめられ、今後関係省庁などへの要望活動に移っていくこととなります。今回は、初の試みとして、団体長会議より以前の4月に、3回に分かれて、オンラインで提出議題について討議する場が設定され、本会からも副会長や担当部長が参加し、全国の参加者と意見交換しました。
 京都から提出した議案は、次の三つです。
1.音声式のパルスオキシメーター及び非接触式体温計を開発し、広く販売すること。
2.視覚障害者が気づくことが困難な電動キックボードについて、視覚障害者の安全を守るための対策を講じること。
3.高度化PICS(ピックス)に対応する信号機の低価格化を図り、全国で普及させること。
 なお、3の高度化PICS(歩行者支援システム)については、点字京都2022年3月号でもお知らせしておりますが、スマホにインストールするアプリの使い勝手を始めまだまだ多くの課題があるため、普及を進めていくかについても、今後継続して検討が続けられることになっています。また、東日本大震災での原子力発電所の事故の後、福島県の視覚障害者が、音声式の線量計が欲しいと声を上げたところ、地元の小さな会社が3か月ほどで開発してくれたという発言をお聞きし、それなのにどうしてまだ音声式パルスオキシメーターができないのだろうと疑問に思いました。
 翌日、6月1日の午前は、全国大会(大会式典と大会議事)が2部制で開催され、その模様はYouTubeでもライブ配信されました。なお、長岡京市視覚障害者協会の山田猛(やまだ たけし)会長の奥様、美恵(みえ)様が、内助功労者として「光《ひかり》の泉《いずみ》賞」を受賞されました。誠におめでとうございます。
 次年度第76回大会は、奈良県主幹で開催される予定です。


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