視覚障害者の安全な歩行のために私たちができること

生活環境改善部
 昨年11月から12月にかけて、2名の会員の方が交通事故によりお亡くなりになりました。心からご冥福をお祈り申し上げます。
 お二人とも、日の短い時間帯の夕方に事故に遭われました。今後、このような悲しい事故を少しでも無くしたいとの思いから、自動車のドライバーから見えにくい夕方・夜間の対策について、私たち視覚障害者が歩行する際に気をつけたいポイントについて、まとめてみました。
1.白杖の適切な使用
安全のため、できるだけ白杖を持って外出しましょう。また、道路を渡ろうとする時は、白杖を少し前に出すなどすると、ドライバーに見えやすく、また渡ろうとしているという意思表示にもなります。
2.目立ちやすい服装
夕暮れ時や夜間の交通事故に巻き込まれないためには、ドライバーから見えやすくなるよう歩行者自身が工夫することが大切です。夕暮れ時や夜間は、歩行者から自動車は見えても、反対にドライバーからは歩行者が見えにくいことがあります。特に、黒やグレーなど暗い色の服装は、ドライバーから見えにくいので、事故を防ぐためには、ドライバーから見えやすいように、歩行者は白や赤・黄・緑などの明るい色の服を着るなど工夫をすることが重要です。
3.反射材用品の活用
反射材とは、受けた光を、光が来た方向に強く反射する素材をいいます。反射材用品には、靴や杖、カートにつけるシールやキーホルダーのほか、足首・手首のバンド、たすきなど様々なものがあります。このほか、あらかじめ反射材が組み込まれた靴、衣類、バッグなどもあります。
反射材をつけている部分は、自動車のライト等に反射して、とても光って見えるので、つけていない人よりもつけている人の方が自動車から発見されやすくなります。自動車のドライバーから見て、「反射材を着用している歩行者」は、「着用していない歩行者」よりも2倍以上手前で発見できるといわれています。
<反射材の効果的な着用例>
反射材は、自動車のライト等に反射して光るため、
➀腰より下方の位置へ(自動車のライトがよく当たるように)
➁動きのある箇所へ(ドライバーの注意を引くように)
③側面へ(道路を横断する際によく目立つように)
上記➀~③に留意して、効果的な着用を心掛けましょう。
 反射材は、ホームセンターや100円ショップのほか、一部のスーパー等でも取り扱っています。また、啓発活動などの余りがあれば、各警察署等で配布していただける場合もあります。
4.ライトの活用
よりドライバーに目立つようにするには、歩行者がライトを活用することも効果的です。ただ、ライトを付けたり消したりするのを、スイッチを押して行う器具の場合、全盲で光が感じられない方には、電池切れなどによって動作していなくても、そのことにご自分では気づくことができない場合があります。不安な場合は、見える方に確認されることをお勧めします。iPhoneを使用している方は、Siriを呼び出して「フラッシュライトを付けて」と言えば、ライトが付きます。消す時も、「フラッシュライトを消して」でOKです。
光が感じられない方にも点灯していることがわかるような器具がないか、ほかの解決法がないかなど、是非皆さまのご意見もお寄せください。
これからも、しばらくは日の短い時期が続きます。また、12月の日の短い時期では、16時を過ぎるとかなり暗くなります。ご自分で判断が難しい場合、「16時以後は、これらの対策を取って気をつける」と覚えておいていただくと良いと思います。
 私たちそれぞれが、できることから取り組み、安全に歩行できるようにしましょう。


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