第74回全国視覚障害者福祉大会(岡山大会・オンライン開催)に参加して
本会前会長 田尻 彰
新型コロナ感染拡大により昨年の第73回標記大会は中止となりましたが、今年は5月24日、岡山県倉敷市で2年ぶりに開催されました。大会の名称を(全国盲人福祉大会から)変更した最初の大会でもあります。しかし、大会開催日は、京都と同様、地元岡山県も緊急事態宣言の発令中で、最後まで企画が二転三転しました。例年3日間開催される大会は1日のみのオンライン開催となりました。
午前の部は、全国団体長会議が開催されました。全国の加盟60団体の代表者と女性・青年・音楽・あはき・スポーツの5協議会の代表及び3人の学識経験者を加えた68名が参加しました。
午後からは、いわゆる全国大会(大会式典と大会議事)が2部制で開催され、その模様はYouTubeでライブ配信されました。
例年の大会とは異なり、現地で全国の仲間との交流や直接の意見交換などができないことは残念ではありましたが、コロナ禍の中で、新たな情報手段を活用した新しい大会の形が具体化され、全国の仲間がオンラインで集い支える大会が開催できた意義は大きいものがあります。
次に、私がオンラインで参加した全国団体長会議の内容を報告させていただきます。
本部からの提案として、2021年度運動方針(案)に対する意見交換の場が設定されました。情報保障、バリアフリー及びユニバーサルデザイン、同行援護、就労・雇用、あはきなど、10本の柱に沿った討議がされました。とりわけ、これらの中からデジタル化への対応と情報保障に絞った議論が行われました。
9月に予定されているデジタル庁(仮称)発足に向け、視覚障害当事者の声を反映させるための障害者支援の所管部署の設置などを要望すること、組織的には、そうした取り組みを通じて、青年層のニーズや関心を本会の活動につなげるために、青年層の減少傾向に歯止めがかかるような活動の活性化が不可欠であることが共通認識させられました。
情報保障の分野では、テレビ放送における解説放送の拡大、緊急放送のテロップや字幕の音声化等を急ぐ要望があったほか、視覚障害者の選挙権行使にとって不可欠である点字・音声・拡大文字による選挙公報が未だに法的に権利として保障されていないなど、基本的な権利保障の課題が共有されました。 また、読書バリアフリー法の普及、自治体による基本計画の策定の推進については、ここ京都でも早急に京都ライトハウスなどと共同して基本計画づくりに着手しなければならない課題があることを再認識させられました。
なお、全国の各団体から出された提出議案は生活関連44項目、バリアフリー関連45項目、職業関連25項目の延べ114項目がまとめられ、今後関係省庁などへの要望活動に移って行くこととなります。
最後に、京都から提出した議案を項目のみ記載いたします。なお、次年度第75回大会は、名古屋市主幹で開催される予定です。
1.新型コロナ感染拡大により非常に大きな影響を受けている同行援護事業所に対して財政的な支援を行うこと。
2.公共交通が不便な地域の交通問題の要望活動の新たな展開を、日視連として模索すること。
3.雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業の普及のため、国は市町村に対し制度の対象者や主旨について正しい情報提供をするとともに、日視連の協力を得て、具体的な活用事例を示すためのモデル事業を実施すること。