[地域団体より報告] JR「福知山」駅での歩行訓練のご報告
福知山市視覚障害者協会
福知山市では毎年、デイサービス事業の一環として重度視覚障害者対象の歩行訓練を実施しています。今年度は、去る11月30日にJR「福知山」駅構内で、発車までの時間調整のためホームに停車中の電車を利用させていただき、本格的な乗降訓練をさせていただきました。駅長、副駅長及び職員2名の立ち合いをいただき、福知山市役所、障害者福祉課、担当職員2名の引率のもと、会員11名、介助者8名、巡回相談員、計20名が参加し、講師の京都ライトハウス青木一憲(あおき かずのり)訓練士の指導を受けました。訓練内容は、コンコースなどでの点字ブロック利用の歩き方、点字ブロックの分岐点の見つけ方、エスカレーター利用の上り下りの乗降のし方、エレベーター利用のボタン操作、階段利用の歩き方、電車とホームに段差や隙間がある場合の危険回避と乗降のし方など、多岐にわたりました。
昨年までの、公園や福祉会館内等で駅を想定して行っていた見立て訓練とは違い、実際に作動しているエスカレーターやエレベーター、電車を自らの白杖で確認し、杖先から伝わってくる感覚を察知することこそ「いのちを守る指令」なのだと感じられたことは、実践訓練でなければ体得できなかった大きな成果だったと思います。また、単独での乗降と同行援護での乗降の実施訓練によって、単独の場合は白杖からの情報の瞬間的キャッチの大切さを知り、同行援護の場合は二人のタイミングの合わせ方次第で容易に危険に陥る怖さを、当事者はもとよりガイドヘルパーさんにも感じていただけたのは、お互いにとって大変貴重な体験になりました。昨今の駅構内での事故多発を受け、会として、駅での訓練実施を願い続けてきましたが、公共交通機関への国交省からの接遇ガイドラインが5月に発表されたこと、福知山市の情報弱者に対するコミュニケーション条例の施行年であったこと等、絶好の機会にも恵まれ、大変貴重な訓練となりました。
駅長をはじめ、駅員の方々、市役所職員の方にも、思考するだけではなかなかイメージしにくい視覚障害者の現実を少しでも知ってもらえたのなら、今後につながる大いなる啓発になったのではないかと思っています。
今回のJR「福知山」駅の多大なご協力のもとには、この夏に行った点字ブロック点検での、安全、安心な共助社会への真剣な共通認識が強くあったと思います。
駅長からは、構内のバリアフリーへの取り組み状態と、利用者ニーズに心を向ける旨のお話を受けました。当会が9月に提出した要望書に対しても、丁寧な解答をいただき、すでに改善をしていただいている所も確認しました。真剣に投げかけたことに対して、真剣に返していただけたのは、どんな些細なことでも力になります。
私たちの社会参加の大きな一歩にお力添えくださいました、福知山駅、市役所障害者福祉課、歩行訓練士青木さんに、心から最上の感謝を申し上げます。数多くのご高配、誠にありがとうございました。