[地域団体より報告] 「丹後視覚障害者社会教育指導者研修会」が開催されました
京都府視覚障害者協会 与謝支部
10月15日、京都府丹後教育局主催の2018年度標記研修会が京都府野田川ユースセンター音楽ホールで開催され、丹後圏域在住の視覚障害者や介助者など53名が一堂に会しました。
午前は、楊雪元(よう せつげん)氏による「夢に向かって歩く」と題した講演と歌唱。講演の前に、「イエライシャン」「荒城《こうじょう》の月《つき》」「オー・ソレ・ミオ」、さらに「糸《いと》」「慕情《ぼじょう》」「北国《きたぐに》の春《はる》」の3曲を歌っていただき、開会からテノールの豊かな声量に圧倒されながら、聴き入りました。
講演では、9歳で笛を始められた経緯を語られました。先天性の視覚障害である楊さんの将来を心配されたお父さんが、「何があっても笛に心を癒やされる」と考え、楊さんに笛を教えられたそうです。正式なレッスンは14歳から。1991年から笛を専門に学び、大学ではピアノを、天津で笛と歌を、京都市立芸大で声楽を学ばれた楊さん。お父さんの想い以上に、これまで楊さんの素晴らしい笛の演奏や歌声に耳を傾けた多くの人々が、どれだけ心を癒やされたことでしょう。
大小の中国笛で演奏された「森《もり》の鳥《とり》たち」は、私も眼を閉じて聴いていると、まるで森に迷い込んだようでした。演奏に使用された笛を参加者が触れられるように順に回してくださったので、私たちは、様々な作りの珍しい笛を手に取ることができました。中でも衝撃的だったのは、白杖笛。水道屋さんに穴を開けてもらったと話され、白杖笛で「トルコ行進曲」を演奏されました。他に、デュエットのオカリナで「ドレミの歌《うた》」、瓢箪(ひょうたん)笛で「りんごの歌《うた》」、カラスの形の笛で「七《なな》つの子《こ》」を演奏されました。それぞれの笛の特徴などを説明された後の演奏なので、笛の個性がよく解りました。楊さんの涼やかな容姿から、クールな方かと思っていましたが、とても気さくでユーモアに富んでおられ、参加された方々は、楽しいトーク、演奏や熱唱に魅了されました。
午後は、加悦谷(かやだに)高校合唱部による合唱を楽しみました。この日、学校は振替休日で休みだったにもかかわらず、この研修のために来てくださったそうです。メンバーの登場に、会場から「可愛い!」という声も飛ぶ中、「風《かぜ》になりたい」「花《はな》は咲《さ》く」から始まり、昔懐かしい「恋《こい》のバカンス」やアニメのテーマ曲などを披露され、いろんな世代の人が参加する場での選曲にも感心しました。素晴らしいマイクパフォーマンスを披露して頂いた後は、加悦《かや》高生《こうせい》にもグループディスカッションに加わってもらい、交流を図りました。ボイスパーカッション担当の男の子に、部活で心がけていることを尋ねると「自分の失敗で他のメンバーに迷惑をかけないように一生懸命練習をしている」と答えてくれました。あの素晴らしい歌声は、部員の皆さんが同じ思いで練習された賜物なのでしょう。私たちからは、「進学で都会に出たら電車を利用するだろうが、白杖を持った人・ヘルプマークをつけた人が乗車されたら声をかけて、空いている席まで誘導してあげて欲しい。席を譲ってあげて欲しい」など、具体的に手助けの方法を示してお願いしました。参加された皆さんに元気をいただくことができた良い研修会でした。