日盲連結成の地で70周年記念式典開催
本会会長 田尻 彰
8月18日、日本盲人会連合結成70周年記念式典・記念シンポジウムが大阪市淀川区のメルパルク大阪で、全国各地から200名が参加して開催されました。
記念式典では、竹下義樹(たけした よしき)日盲連会長、笹川吉彦(ささがわ よしひこ)日盲連名誉会長、辰巳寿啓(たつみ としひろ)日盲連近畿ブロック協議会委員長、橋本照夫(はしもと てるお)日本ライトハウス理事長からの挨拶などがありました。続いて、講師の広瀬浩二郎(ひろせ こうじろう)氏(国立民族学博物館グローバル現象研究部准教授)による「障害者イメージの改変~『目に見えない世界』を切り開く当事者団体の役割~」と題した記念講演が行われ、新しい障害者運動は何を目指すべきなのか、「自尊心」「主導権」「持続力」をキーワードとして、当事者団体が果たすべき役割について述べられました。
その後のシンポジウムでは、「日盲連が目指す将来ビジョン」「弱視者(ロービジョン)の抱える困難と社会の変革を目指して」をテーマとした2つのパネルディスカッションが行われました。前半の「日盲連が目指す将来ビジョン」のパネルディスカッションでは、冒頭、竹下会長から、「障害者は自分のハンディを意識してしまう。私たちは自分たちの不利益なことを意識するのではなく、できることを意識することが必要である。健常者に近づく努力をするよりも、視覚障害者が見えなくてもできる、あるいは見えないからこそできることを意識する必要がある。また、障害者権利条約では障害の医学モデルから社会モデルへの変革が必要であるといっているが、そうは言っても私たちの自尊心を傷つけることがあまりにも多いと思われる。この自尊心を傷つけられている状態を回避する、あるいは私たちのプライドを保ち続けられる社会を実現させることが日盲連運動の柱と思われる。このようなことを意識しながらこの3年間、日盲連あるいは視覚障害者の将来のイメージが見えてくるような議論を進めてきた。このシンポジウムで議論してきたものを示しながら、皆さん!
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と述べられました。その後、日盲連将来ビジョン検討委員会より、「日盲連及び視覚障害者が進むべき将来について検討を重ねており、今年度中に報告書を発行するべく作業を進めている」との紹介があり、報告書で整理された項目や諸問題、日盲連及び視覚障害者の今後の将来について議論されました。パネリストからは、自身の状況を紹介しながら、子育て、地域とのかかわり方、団体活動、豪雨災害の対応などの発表とともに、視覚障害者の将来、日盲連へ望むことについても述べられました。
シンポジウム後半では、「弱視者(ロービジョン)の抱える困難と社会の変革を目指して」をテーマにパネルディスカッションが行われました。日盲連では、2015年12月より弱視者の課題を整理するために弱視に関する懇談会を立ち上げ、弱視者への理解を深めることを目的に検討を重ね、このほど報告書を作成しました。この報告書を元に、弱視者の困り事や要望について紹介し、弱視者が暮らしやすい社会の在り方について議論されました。
最初に同懇談会伊敷政英(いしき まさひで)委員より、懇談会の経過報告、検討された内容、報告書の構成について述べられました。報告書は全4章で構成されており、第3章では、懇談会で出された移動全般、就労、買い物や契約などの弱視者の日常生活について、第4章では、「弱視者からのお願い」として制度やルールを決めるときは弱視者を抜きにしないこと、見えにくいが故の行動に対する理解、弱視者自身が気をつけたいこと、また見えにくいことを訴え、受け入れられる社会を作ることなどが盛り込まれています。また、今後の課題として症状の早期発見、読み書き問題、女性特有の課題について議論が必要であるとまとめています。
続くパネルディスカッションは、パネリストに弱視に関する懇談会の委員である弱視者を招いて行なわれました。委員のお一人は車椅子で参加され、「先日、全盲の人を手引きしていた時に自分が車にひかれ、今日は車椅子でここまで来た」と発言されていました。それぞれの委員が自身の見え方を紹介するとともに、化粧やファッション、子育てなどの困りごと、障害の受容、受験における弱視者に対する配慮などについて述べられました。
最後に、日盲連竹下会長より「日盲連が弱視者に関する問題を取り上げないのは、真に視覚障害者問題に取り組んでいるとは言えない。今後、弱視者問題を継続的に取り組む組織を日盲連内に立ち上げる」との決意表明があり、閉会しました。
京都からの参加者は、6名(理事5名、職員1名)でした。