南部地域での取り組みの紹介 「駅員不在は不安がいっぱい、元に戻してほしい」
近鉄は、京都線のうち南部の6駅で、4月中旬からラッシュ時を含む多くの時間帯で、駅員が誰もいない「無人化」を実施しました。宇治市の「伊勢田」駅、城陽市の「久津川」及び「富野荘」駅、京田辺市の「興戸」駅及び「三山木」駅、そして木津川市の「山田川」駅で、4地域団体が関係し、特に通勤やライトハウスへの行き帰りなど、一人歩きの方も利用しています。
近鉄は各駅に小さな貼り紙をされましたが、私たちには読めません。自治体に通知したところも交通部局宛てなので、障害福祉部門には知らされていないなどで、私たちはかなり遅れて知りました。ある日、駅に降りたら駅員がおらず、びっくりして「大久保」駅に電話をして初めて知り、南部アイセンターにも「えらいこっちゃ」と電話をいただきました。
全国で、駅ホームからの転落が今も続き、南部アイセンターを会場に、1月と5月に「駅ホームからの転落を考える集い」を開き、訓練を受けて白杖を使おう、困ったら駅員さんや乗客を頼ろうと申し合わせた矢先のできごとでした。
何とか近鉄に申し入れようと、6月3日の理事会のあと、緊急に南部地域団体長で打ち合わせを行いました。私たちは、申し入れをするにも経験がほとんどなく、地域団体ごとでは文書作成もすぐにはできず、本会で「ひな型」を作ってほしいとの声が挙がり、地域支援部が原案を作り、急いで各団体に送られました。
6月には、多くの団体で様々な行動が展開されました。
京田辺では、9日に近鉄に文書で申し入れ、20日には、新田辺駅長との話し合いを行い、駅長は「これからもできるだけ支援したい」と述べられました。
宇治では、22日に役員が近鉄に文書で申し入れました。
城陽は、12日に近鉄に申し入れ、さらに27日に近鉄大久保駅長と話し合いの場を持ち、急でしたが会員10名が参加、城陽市議会議長も駆けつけていただきました。
会員は、「今まで駅員がおられ、見守ってもらっている安心感があったのに、不在で不安がいっぱいだ」「わざわざ、ラッシュ時に不在は解せない」「人手不足はわかるが、機械頼りになってほしくないし、弱い者にしわ寄せはつらい」「ラッシュ時、パートか再任用対応とかで、せめて駅員不在の時間帯を変えるか、不在時間を短縮できないのか」などと発言しました。駅長は、「このままでは会社そのものが成り立っていかない、人員不足を機械に代えていきつつある。皆さんからの安心感との言葉、大事にしたい」と話されました。
今回の各地での話し合いは、いずれも申入書のトップにある、「私たちと話し合う機会を持ってください」ということに、近鉄が応じてくれた結果です。
「駅員を頼りにしているのに、いないのは不安がいっぱいだ」「事故が起こってからでは遅い」「異常があれば、監督駅から駆けつけるというが間に合わない」「先日の地震のときはどうしたのか」「通勤・通学にはガイドヘルパーは使えず、一人で出かけざるを得ない方がいる」と訴えました。例えば、6駅の改札口で迷われたら、「西大寺」駅構内にできた総合案内センターが画面を見られるので、インターフォンを押して聞いてもらえたら、音声で案内するとのことですが、インターフォンがどこにあるかわからない人も多く、例えばICOCA(イコカ)の更新を券売機でしようとしても画面が見えず、駅員のいる駅にわざわざ行ってサポートしてもらっている方もおられる。また、様々な葛藤があり、ホームで白杖を出さない方も、残念ながらおられることも理解してほしい等の実情も説明しました。「いのち」に関わることを口々に訴えました。貼り紙が読めない、行政から連絡をもらえない中で、今後、同様の事態が起こる場合は、私たちは撤回を求めるが、一方、会員内にも気をつけようと急いで連絡するので、各地域団体には直接連絡をしてほしいと要望しました。
一方、大会社に私たちだけが要請しているだけでは、撤回実現は困難かもしれません。また、視覚障害者だけでなく、全ての利用者にも関わることなので、問題があることを世論に拡げないと効果は上がりません。城陽では、20日に開催中の城陽市議会の各派を周り、関係機関に働きかけていただくように要請し、城陽市役所にもその旨を伝えました。
また、京田辺では、22日に市役所宛てに提出した要望書のトップにあげ、近鉄が7月20日までを試行期間としていることから、大至急、近鉄へ働きかけていただくようお願いしました。
近鉄では、今回は京都府南部のみで実施するが、今後、他府県の路線でも検討があり得ると述べていて、関西規模でも取り組みが必要です。
今後も、あらゆる関係者ともつながりながら、取り組みを拡げましょう。インターフォンより人です。