メルマガ色鉛筆第35号(「これからもどんどん外出を楽しみたい!」)
タイトル これからもどんどん外出を楽しみたい!
ペンネーム グリーントマト(40代 男性 全盲)
レポートの要旨です。
10歳ごろから白杖を突いて1人で出かけるようになりました。
そして、自分たちが出かけることで社会の意識が変わると考えるようになりました。
安全な外出は大切ですが、楽しく出かけられる環境も広がってほしいです。
これからもいろいろな人の力を借りながら外出を楽しんでいきたいです。
ここから本文です。
私は小さいときから目が見えず、子どものころは家族と出かけるしかありませんでした。
10歳になったころに、白杖を突いて1人で出かける訓練を受けました。
そして、実際に1人で出かけていったときには自由を手に入れた感覚がありました。
学校の帰りに「寄り道の喜び」を覚えたのは中学1年生のころでした。
友達の家で遊んだり、お店でチョコやプリッツを買ったりしてから家に帰っていました。
以後、1人で、あるいは目の見えない友達と街に出かけるようになりました。
目の見えない外出には苦労があります。
ですが、冒険心を持ってピンチを切り抜け、進んでいると思うと楽しむことができます。
そして、人のいる所であれば大丈夫、道を聞いたり案内をお願いしたりしながら目的地に行くことができます。
道を人に聞くのは、これは1つの出会いだと思います。
優しくされたり冷たくされたり・・・。
そんな出会いの中で、
「世の中の人は目が見えないことがどんなことか知らないだけ。自分たち視覚障害者が出かけることで社会が変わるはず!」
と思うようになり、ますます外出が楽しくなりました。
目が見えないと、お店の前までたどりつけても入り口を見つけるのは意外に難しいもので、
入り口がすぐ目の前なのに「このお店の入り口を教えてください」と尋ねていたということもありましたし、
鼻と耳を頼りにしてカレーのにおいと店内のBGMでここだと思ってお店に入ったら違ってた、ガクッということもありましたが、
そんなことも含めて楽しいものです。
視覚障害者にも分かる地下街やデパートなんかの店舗図があれば楽しいだろうなと思います。
ディズニーランドにはアトラクションの場所を示した点字の地図があり、
寅さんでおなじみの葛飾柴又参道商店街ではお店の並びを言葉の地図にする取り組みをされていました。
私自身はガイドヘルパーさんと歩いたときにお店を教えてもらってメモしたり、
インフォメーションカウンターで飲食店のお店の名前を聞いたりしています。
安全な外出は大切ですが、
それだけでなく、視覚障害者が楽しく出かけられる環境が広がるといいなと思います。
もちろん、1人で外に出かけていると危険と隣り合わせです。
駅のホームや交差点では特に緊張感が高まりますが、小さい角も侮れません。
車が角を曲がってくるときや人が急いでいるようなペースですれちがうときなどは、
騒音と必要な音を聞き分けて判断するのがなかなか難しいものです。
ますます高齢化が進む中、こちらが加害者になりうることも意識しておかないとなと思うきょうこのごろです。
1人で出かけるようになって30年。
声をかけてくださる方もずいぶん増えたように感じます。
それは、目が見える人・見えにくい人・見えない人がいろんな所で交わるようになったからなのかもしれません。
1人で歩ける所でも、「お手伝いしましょうか?」、「いっしょに行きましょうか?」と声をかけて手助けしてもらえると、
より安全に安心して移動できます。
視覚障害者が安全に街を歩くためには、歩道などの整備とともに人による声かけが重要です。
人による声かけを必要としています。
これからもいろいろな人の力を借りながら外出を楽しんでいきたいものです。
編集後記
視覚障害者の外出について考えると、人と人の関わりや、人や社会の営みについて考えることにつながっていきます。
グリーントマトさんは、外出をご自身にとって楽しいことと位置づけておられますね。
すばらしいと思います。
何かを楽しいことと位置づける。
それが何かは人それぞれですが、視覚障害であるがゆえに困難な所では、「お手伝いしましょうか?」を必要としています。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
助成協力: 京都オムロン地域協力基金
発行日: 2015年2月6日
☆どうもありがとうございました。