メルマガ色鉛筆第380号「点字つき絵本は私たちの宝物」
タイトル 点字つき絵本は私たちの宝物
ペンネーム あおちゃん(50代 女性 弱視)
レポートの要旨です。
私が点字と出会って感じてきたこと、
点字があってよかったと思うことについてふりかえってみました。
今年は点字が誕生して200年、
中途で点字を習得した私、
子育ての中でのエピソードをお話します。
ここから本文です。
私は小学生の頃から眼鏡やコンタクトを使用する普通の近眼として、
生活をしていました。
27年前第2子を出産後、コンタクトの調整で眼科に行くと、
大きな病院へ行って検査をした方がよいといわれました。
それは夫の転勤が決まっていた時期でした。
私たち家族は生まれ育った関西を離れ、親戚も知り合いもいない関東に転居しました。
引っ越し先の大学病院で検査をしたところ網膜色素変性症と診断されました。
視力は両目0.03 視野95%欠損でした。
病院の先生に「今までよくふつうに生活できてましたね」といわれました。
身障者手帳を申請したところ1種1級でした。
当時、うちには2歳と5か月の子どもが2人いました。
予防接種や病院、公共交通機関を利用する機会が多く、
子どもたちが少しでも静かにできるようにするにはどうしたらいいだろうと考えました。
子どもたちに絵本を読んであげられたらいいかもしれない、
そうだ、点字を覚えようと。
子育てにおけるママスキルの一つ、それが点字への一歩でした。
最初はこんなのできるのかと思いましたが、点字に触れていくうちに
小さかった6点が大きく感じられて
読むスピードが速くなってくると、点字がたのしくなっていきました。
点字を書くことはあまりないので、
たまに書くと肩がこったことを思い出します。
点字がそれなりに読めるようになった私は、
子どもたちの好きな「ねないこだれだ」や「ノンタン」など
タテ約16㎝×ヨコ約16㎝の持ち運びに便利な絵本に
点字シールを貼って、どこにいくにも持って外出しました。
私たちが 本を読んでいると他のお子さんがよってきて、「本を貸してほしい」
と言われることがありました。
するとわが子は「あかーん!」と関東に住んでいるのに関西弁で怒っていました。
その時、お子さんのママに
「ごめんなさい、これは家から持ってきた絵本で、
点字がついているので、お貸しできないんです」と説明したこともありました。
わが子は、私の指を持って
次のページの点字の最初の文字にもっていくこともありました。
ある意味、絵本を通して過ごした母子の時間は特別なものだったのかもしれません。
子どもたちにとってもこの本でなきゃだめなんだという思いがあったのでしょう。
ほどなく、子どもたちはひらがなを読めるようになり、
私が子どもたちに読んでもらうことが多くなりました。
現在は点字で本を読んだりはしませんが、日常生活に役立っています。
よく使う物で同じ容器のもの、例えば化粧水と乳液が同じボトルの時には、
化粧水に点字シールで目印をつけています。
この方法で砂糖と塩の区別もバッチリです。
点字ってスラスラ読めなくても便利なんです。
例えば、エレベーターのボタンなら、「開」→「あけ」、「閉」→「しめ」と
2文字の点字がついています。
洗濯機なら「すすぎ」→「すす」など。
2文字がわかるだけで便利です。
また、私は小学校の福祉授業で視覚障がい者の生活の話をしています。
そこで出会った子どもたちから点字で書いてくれた手紙をもらいます。
そこにはうれしいお礼の言葉が書いてあります。
点字の6点の代わりに毛糸をまるめたものや、
ビーズやスパンコールを使ったものでお手紙をもらったこともあります。
子供の想像力はすごいです。
私達親子にとって点字絵本での時間は宝物になりました。
点字があってこそのことです。
点字ありがとう。
子育て中のママさんへ
私は今回点字絵本の経験をお話するにあたり、
子どもたちが小さかった頃の子育てについて思い返しました。
今、いろいろ思います。
早く大きくなって欲しいと願うこともあるでしょうが、
母親としてそばにいて手をかけられる年数はほんの少しです。
今では、ハグをするのは難しいので、朝子どもたちを見送る時、握手をしています。
もし、今スキンシップができるなら、たくさんお話して、いっぱい抱きしめてあげてください。
ふれてわかりあえること、応援しています。
点字200歳に寄せて
編集後記
フランス生まれの点字は200歳、
2025年全国で点字に関するさまざまなイベントが実施されました。
点字は必須という人、時々使っているという人、
拡大・音声・点字を用途に合わせて使い分ける人、
いろんな点字との付き合い方があるようです。
あおちゃんの点字絵本のエピソードをなつかしく感じられた方もおられるかもしれません。
ママの指先から語られるものをお子さんたちはとても大切にされていたんですね。
ふれて伝わる、伝えられること、その一つとして点字があって、
それが社会とのつながりの一助にもなっていきます。
「これならわかるかも」と子供たちがビーズなどで工夫してくれるお手紙、
ふれるだけであったかい気持ちになりそうです。
点字エピソード、色鉛筆でまたいつか。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2025年12月12日
☆どうもありがとうございました。