メルマガ色鉛筆第374号「かきくけこな毎日に」

タイトル かきくけこな毎日に
ペンネーム 夜色鷹人(50代 全盲 男性)
レポートの要旨です。
 私達、見えない中で生活して行くのに、どんなことが大切でしょうか。
経験、工夫、協力など、ことばあそびをしながら見て行くと、心も軽く気分よく。
そうなるとよいなぁ、と願ってお届けするレポートです。
ここから本文です。
 私達、見えない中で毎日暮らしています。
見えない中で、ちゃんと日常生活が回って行くことが大切です。
朝起きてから夜眠るまで、視力以外でちゃんとやって行けることが大切です。
そのために必要なことがいつの間にか身に付いている、ということもあれば、
よいやり方を見つけて取り入れる、ということもあります。
 「ああ、今日もいい日だ」
こんなふうに思えるならきっと、言うことなしです。
見えなくても、決してそれは無理な話ではありません。
さて、自分に何があると、どんなことが揃うと、「ああ、今日もいい日だ」になるのだろう。
経験、うん。
工夫、うんうん。
協力、うんうんうん。
あれ、どれもか行、かきくけこから始まることばではありませんか。
かきくけこで始まることばに、よいことばがもっとありそう。
そう思って、思いを、ことばを巡って行きました。
よければみなさん、ここで読むのを一旦停止してください。
そして、思いつくことばをリストアップ、メモしてからつづきをお読みください。
同じことばがいくつ出てくるかな。
 ちなみに最近、経験がものを言ったのは、大阪のあるお店への行き方がわかったこと。
たまに行きたいお店で、初めてのときはおっかなびっくり歩いて、
わからないところで人に尋ねてどうにかこうにかたどり着きました。
数年後、前回の記憶を頼りにお店の近くまで行って、
そこで人にたずねて無事に到着しました。
それからさらに年月が経ち今回は、憶えた道は北に進んでいることと、
交差点を曲がってから30歩くらい進んで、入口はゆるやかな上りスロープの後、
下りる階段があるのが特徴だとわかりました。
これで頭の中に地図をイメージして歩ける、
お店の入り口を白い杖と足で確かめて見つけることができます。
 工夫は、家の中の左右両側を手で触れられる場所、ドアをちょうどよい角度に開けたりして、
そういう場所を作りルームランナーの運動をしています。
自然に腕を振って、壁やドアに手が当たるのを頼りにします。
ジョギング程度ですが、うまい具合に安全に走れます。
 協力は、バス停で周囲の人が「何番のバスに乗りますか」「これ203番です」などと声をかけてもらえること。
最近、そうしたことが増えてきたように感じています。
 では、かきくけこのことば、行ってみよう。
●関心。
人や社会のいろんなこと、お互いに関心を持って心を寄せたり応援したりしたいです。
そういう中だと、見えない人もいろんな活動ができるようになります。
●感謝。
支援や手助けに感謝の気持ちがわいて来るとよいと思います。
義務ではなく、じわっとわいて来るとよいと思います。
●感動。
ときどき感動するようなすばらしいことと巡り合えるとよいですね。
じつは巡り合っているのに気づいてないだけ、見過ごしているだけ、なんてこともあるかも知れません。
そうならないように感じる心を大切にしたいとも思います。
最近だと、吉岡宿、穀田屋十三郎の話には感動しました。
●休憩。
がんばるためには休むことも大切ですね。
●切り換え。
気分がふさぐこと、ざんねんなことも生活していると起こります。
そういうときは、「次、行ってみよう」と切り換えることも大事です。
●喜劇。
あるある失敗談、仲間に語ると笑いにできる。
1人のときも自分を仲間にして、やさしく笑いたいですね。
●気長。
見えなくなって鍛えられるのが忍耐力。
気長に構えていれば、なんとかなるかな。
●気晴らし。
ときどき気分がすかっとすること、みなさんは何をしていますか。
おいしいものを食べたり、歌を歌ったりして、心が軽くなるとよいですね。
例えばもしも、箱アイスでハッピーになれるとしたら、安上がりだ、とも思いましょう。
●訓練。
歩行訓練、点字の訓練、日常生活動作の訓練、パソコンやアイフォーンの訓練、などなど。
訓練はたいへんではありますが、がんばりがいがあります。
歩行訓練は1年かかりましたが、あれから何十年もその恩恵を受けています。
●計画。
そこそこ大きなことをするには、計画を立てることになります。
こういうところは、見える・見えないは関係ありませんね。
かき氷パーティーや万博旅行、仲間活動の中心のみなさん、ごくろうさまでした。
敬意を表します、おっとこれもかきくけこのことば。
●交流。
人と交わり楽しいひとときを過ごす機会、気持ちよく関わる機会があるとよいと思います。
見えないことでそうした機会を失う、ということもあり、また見えないことをきっかけにそうした機会に恵まれる、ということもありますね。
●考案。
「あしらせ」や「ふしぎな石ころ」や「おでかけくん」、「ビーマイアイズ」などなど、新しい方法を考え出して困りを解決できるとよいですね。
●幸運。
コーヒーを入れたグラス置いてたのを忘れていた、手がかすったけど倒れなかった。
アイフォーンを置きっぱなしだった、上に座ったけど壊れなかった。
道をまちがえかけたところで、親切な人が声をかけてくれて、助けてもらった。
家を出るのが遅くなったけど、電車も遅れていて乗れた。
なんかそんなことばかりしています。
 いかがでしたか。
「ああ、今日もいい日だ」
こう思えるには、思った以上にたくさんのことが関係しているとわかりますね。
逆に言うと、「最近、いまいち調子が上がらないなぁ」というときは、今回のかきくけこのことばのどれかが不足しているのかもしれません。
意識して、休憩を増やしたり、奮起して何か計画を立てたり、勇気を出して人に協力をおねがいしたりすると、調子が上がるかもしれません。
かきくけこな毎日は心も軽く気分よく。
みなさん、ぜひぜひ、かきくけこな毎日をお過ごしください。
編集後記
 
 かきくけこな毎日、さまざまなかきくけこで始まる言葉たちに肯きながら読みました。
すると、さしすせそな毎日も考えたくなりました。
さらに、しっかり、すすんで、背伸びせず、そろりそろりと。
考えていたら、言葉をつなげたくなりました。
ちょっとしたことだけど、それが助けになるってことがあります。
それは自分で自分にということもあるし、誰かが自分にということもあります。
ちょっとしたことで、なんとなくどうにかなれたら、
それはちょっとしたことをはるかに越えたことになるかもしれません。
今は、皆さんの心の中に、たちつてとな毎日が浮かんでいたりしたら
きっと楽しいだろうなと想像しています。
こんなふうに想像することが、心も軽く気分よくってことなのかもしれませんね。
 -- このメールの内容は以上です。
発行:  京都府視覚障害者協会
発行日:  2025年9月12日
☆どうもありがとうございました。


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