メルマガ色鉛筆第12号(見えない・見えにくい人の鉄道ライフ)

タイトル 見えない・見えにくい人の鉄道ライフ
色鉛筆編集チームです。
見えていた時も見えなくなってからも、やっぱり好きなものは好き!
そんな「やっぱり」は、読者の皆さんの中にも一つくらいはあるのかもしれません。
それが料理だったり、スポーツだったり、音楽だったり、好きなポイントは人それぞれでしょう。
つまり、見える人も、見えない・見えにくい人も
何だかんだ言っても、好きなことは楽しみたいんですよね。
ちょっと、スタイルは独創的だったり、手間がかかったりなんてことはあるでしょうが。
今回のテーマは鉄道です。
3人の鉄道好きな方に、見えない・見えにくい人の鉄道の楽しみ方ってどんな感じなの?という視点でお話を聴きました。
印象にのこっている電車や駅は? おすすめのおいしいものは? これから行きたい鉄道路線は?など、いくつかの質問に答えて頂きました。
今回の色鉛筆は2通に分けてのお届けです。
さぁ、出発進行!です。
トップバッターは、「子供の頃からの鉄道好きは今も続くよ!どこまでも♪」と歌いだすほどのてっちゃんに語ってもらいましょう。
私は、なつかしい国鉄型車両の色の組み合わせが大好きな鉄男、30代全盲です。
ものごころついたころから。国鉄型車両が好きでした。
機関車、ディーゼル気動車、客車がとくに好きで、私鉄は、南海、京阪が好きです。
鉄道路線の歴史、鉄道車両の開発史も好きです。
鉄道の部品が大好きなので、製造名盤、サボなど、イベントやヤフーオークションでたまに購入しています。
今は、 乗り鉄、車両鉄、音鉄、収集鉄、歴史鉄、模型鉄、匂い鉄です。
家族やヘルパーさんと鉄道に乗って遠出したり、線路のつなぎ目の音を聴いて楽しんでいます。
車内アナウンスも個性がありますね。
なつかしい車内オルゴールが流れれば、気分は最高です。
秋には鉄道工場のイベントに出かけています。
時々、インターネットで鉄道ネタを調べて喜んでいます。
音訳された鉄道関連の本も月刊で楽しんでいます。
 これまでの鉄道ライフで、最も印象に残っているのは、
中学時代、山陰ワイド周遊券で特急「やくも」に乗っていて、熟睡してしまったことです。
米子で降りたかったのに、発車してから目が覚めました。
特急電車で寝過ごしたのは、後にも先にもこの時だけです。
やれやれ、周遊券でセーフでした。
また、1985年、国鉄時代に大阪にある車両基地、日根野電車区で電車大集合を見たことも思い出深いです。
違った車両が横に10両勢ぞろい。
初めての車庫見学に、大感動でした。
 見えないならではの鉄道の楽しみ方は、音と臭いの世界です。
見えていた頃には、ほとんど興味のなかった車両モーター音や線路のジョイント音がリアルな体感として伝わります。
車内アナウンスにATSという装置のアラームの音、駅のアナウンスに、発車メロディー、そしてディーゼル気動車の香り。
それぞれに個性的な音と匂いの世界があることが発見できました。
撮り鉄だった時のように、鉄道写真を撮って記録を残したいですが、ここは残念ポイントです。
また、見えないと新しい車両をイメージするのも難しいです。
 私は、なつかしい国鉄型車両の色の組み合わせが好きです。
特急型電車の485系:クリーム色に赤色。
583系:白色に濃紺。
急行形ディーゼル気動車のキハ58系:クリーム色に朱色の組み合わせもいいですね。
113系、165系の湘南色、緑色にオレンジも好きです。
 高知システム開発のパソコンソフト「マイルート」を使って、簡単に時刻表検索ができます。
旅の計画もスイスイ、頭で旅を想像するだけで、心はワクワクします。
 私のおすすめ駅弁は、岡山駅の駅弁 「祭ずし」です。
かわいいピンクの桃型容器に入ったちらし寿司で、1,000円。
やや甘口の酢飯の上に、ママカリ、サワラ、シャコの酢漬け、海老、椎茸、竹の子煮物などの山海の幸がふんだんに盛り込まれています。
また、JR新大阪駅の新幹線の改札内にある、フードコート「大阪のれんめぐり」には、大阪名物を味わえる人気店が集結しています。
串カツの「だるま」、ねぎ焼きの「やまもと」、うどんの「今井」、焼き肉の「たむら」、たこ焼きの「くくる」といった老舗・有名店5店が出店しています。
 見えないならではの音と匂い、かつての記憶と重ねる鉄道のある風景、
本やネットから得る情報、味わうたびの楽しみ・・・。
見えていた頃も、見えない今も、私の鉄道ライフはどこまでも続きます。
ここからはちょこっと情報コーナーです。
■おすすめ鉄道の本■
※サピエ図書館より検索が可能なものを紹介します。
月刊誌 鉄道ジャーナル 
鉄道ファンと並ぶ鉄道雑誌の王道。比較的文章が多いので、聴きやすいです。
聴いているとその列車、車両に乗りたくなります。
毎月サピエでアップされています。
月刊誌 鉄道ピクトリアる
鉄道ジャーナルより、ちょっとマニア向け。
各月の特集内容について、とことん掘り下げられています
好きな特集だとバイブルになり、そうでもない特集だと読むのも面倒になります。
以前は毎月サピエでアップされていましたが、最近は忘れたころにアップされるようです。
単行本 日本鉄道物語
国産蒸気機関車・新幹線の生みの親である、島安次郎、島秀雄親子の物語。
ときどきテレビでも特集される、鉄道技術者の世界では超有名な親子です。
これを読めば、新幹線がどのような苦難の末に開発に至ったかがわかります。
サピエにアップされています。
続いての登場は、
「途中下車で寄り道したり、ローカルを味わうのんびり旅型鉄道ライフ!」を楽しんでおられるてっちゃんです。
 阪急電車のマルーン色や、京阪電車の昔の特急の色(上がオレンジで下がエンジ)が好きな鉄男です。
 30代、弱視の私は、ゆったり旅スタイルで鉄道ライフを楽しんでいます。
乗り鉄歴30年・JR全線制覇まであと30%
 北海道は大半を乗り残しています。
    東海エリアは、95パーセント制覇
    あとのエリアは、枝路線を残すばかりです。
模型鉄歴35年:Nゲージ模型を中心に集めています。
私は特に東北が大好きです。
峡谷・渓谷など景色がいいですね。
新幹線などよりも、地方鉄道とかローカル線が好きです。
廃線跡も行くことがあります。
多くの路線を乗るために、一筆きっぷで旅をします。
(例えば、京都から直接東京ではなく、福井・富山・新潟経由で東京など)
主な途中駅で観光し、宿泊します。
何と言っても温泉に心魅かれます。
なるべく、特急を使わずに、普通列車や快速列車で行きます。
行った先で、私鉄があれば1日券で制覇しておきます。
勿論、路面電車にも乗りますよ。
電車とディーゼルが混在している路線では、時刻表で調べてディーゼルを選んで日程を組みます。
 これまでに一番心に残っている鉄道のある風景は、黒部峡谷鉄道です。
富山県と長野県の県境にある黒部ダムの下流、黒部川に沿って走ります。
ダム工事の際に資材を運搬した鉄道を観光路線化したものです。
黒部峡谷の絶景をぬって、断崖絶壁を走るトロッコで、車両はオープンカー。
峡谷の風を受けながら、鉄橋やトンネルを進み、始発駅の宇奈月温泉から終着駅の欅平まで約1時間半の行程です。
途中駅には、秘境の温泉もあり、丸1日楽しめます。
 見えにくい私は、音で鉄道の醍醐味を体感しています。
ディーゼルのエンジン音、いいですね。
電車であれば、モーター音で何系の車両かを聞き分けたり、
中には出発時に楽器のような音がする車両もあります。
私の見え方は、遠くが見えにくいので、景色が充分楽しめないのがちょっと残念です。
遠くの山、海、峡谷など、見えたらいいなって思います。
 見るのが無理なら食べて楽しもう!
旅の醍醐味は駅弁にもあります。
東京駅で販売されている、”極付(きわめつき)”です。
国内で一番高価な駅弁、3,800円。
有名な料亭の味をいくつも寄せ集められた、懐石駅弁です。
季節によって、内容が変わります。
木の御重で、中には小鉢が使われています。
外は布製の風呂敷で包まれており、風情があります。
そして、駅中で食べることのできるおいしいお店もたまりません。
おすすめは、名古屋の新幹線ホームにあるきしめんのお店です。
 立ち食い屋さんですが、出汁がとってもおいしいです。
また、東京の北千住駅 東京方面行きホーム内立ち食いそば屋さんのカレーうどん(そば)がおいしいです。
私のお気に入り鉄道グッズは電車型ホッチキスです。
車輪の部分がマグネットになっていて、書類などを留めて置けます。
また、suica(スイカ)のペンギンちゃんグッズ、 関東のICカード(関西でいうイコカ)のキャラクターです。
 ぬいぐるみやステーショナリーなど、数多くのグッズがあり、 とにかくカワユイです。
 今後、トライしたい鉄道の旅は三陸鉄道:久慈から盛のルートです。
 三陸海岸の絶景を体験し、駅弁「うにめし」を食べたいです。
時間をかけながらローカルを楽しむ旅型の鉄道ライフ、
線路で辿る各地の味や自然、
これからも車両の音に耳を澄ませながら、新たな鉄道の音と出会っていきたいです。
3人目の登場は、「見えていた時も見えなくなった今も鉄道の楽しみ方は変わらない!」とさらりと言われるてっちゃんです。
 私は、国鉄時代の車両の色が大好きな60代 弱視 鉄男です。
 子どものころから汽車が大好きで、HOゲージの鉄道模型を始めて50年になります。
鉄道模型のジオラマを作り、部屋を暗くして、ヘッドライトや室内灯をともして走る列車を眺めています。
列車の後部に顔を近づけて、テールランプを見送ったりするんです。
私って、ちょっと変かな?
車窓の風景、お弁当、レールの継ぎ目を渡る音、床下から伝わってくる振動、車内の人々の話し声、デッキの横のトイレのにおい、駅のざわめきなどなど、
そんなものが入り混じって、鉄道のある雰囲気が大好きです。
だから、見えなくなった今も鉄道を感じるだけで楽しい!、要するになんでもいいんです。
 鉄道好きの仲間と行く旅の先でのお酒と温泉、これは最高です。
 かつては飲み鉄?でした。
何人かでB寝台の1ボックスを占領して、夜遅くまでよく宴会をやったものです。
ついハメをはずして車掌さんや回りのお客さんにしかられたこともあります。
今は定期の寝台列車がほとんどなくなってしまい、とても残念に思っています。
 私にとって、心に残る鉄道のある風景は、いくつかの別れの場面です。
列車と駅というのは、ほんとうに印象的な別れを演出してくれるものだと思います。
 東北育ちの私は、東北地方の駅の立ち食いそばは、関西の人にはちょっと濃いかもしれませんが、どこの駅のものでもおいしいと思います。
秋田駅の駅ビルに、比内地鶏が食べられるお店があり、そこの親子丼がおいしくて私はこの2年ほどの間に二度行きました。
とろとろの玉子に地鶏、濃厚な味わいで。本当においしいです。
そして、もう一つのおすすめは、つくねです。
五平餅のような形をした大きなつくねが串に刺してあり、地鶏の玉子の黄味を絡ませていただきます。
これは何度でも食べたくなる味です。
 陸羽西線、陸羽東線、磐越東線、水郡線、木次線。
どれも山あいをぬうように走る路線で、木次線にはスイッチバックがあります。
どの路線も一度も乗ったことがありませんので、いつか出かけてみたいです。
 見えていた時も見えなくなった今も乗り鉄の私、
これからも鉄道は私に元気を与えてくれるでしょう。
 3人の熱き鉄ちゃんに、自分流の鉄道の楽しみ方を語って頂きました。
みなさんに共通するのは、鉄道の楽しさは、見える・見えないに関係のないところにあるということでした。
また、今後も鉄道エピソードをお届けできればと想います。お楽しみに!
※駅弁の価格につきましては、多少の変動があるかもしれません。ご了承ください。
ーー このメールの内容は以上です。
発行:  京都府視覚障害者協会 
発行日: 2014年4月18日
☆どうもありがとうございました。


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