メルマガ色鉛筆第287号「トコトコニコニコ」

タイトル トコトコニコニコ
ペンネーム ホットブラウン(50代 男性 全盲)
レポートの要旨です。
 白杖でのお出かけはドキドキ。
でもトコトコいけば、ニコニコ笑顔に会えるかな。
ワクワクをポケットに入れたら、
さあ、冒険のはじまりはじまり・・・。
ここから本文です。
 渋谷の駅は大掛かりな工事中だ。
高いビルがニョキニョキ。
仮設の出入り口ができたと思ったらまた変わる。
 でも、ネットで見たら、目指すビルは西口の歩道橋おりてすぐ、駅から徒歩2
分。
よし、周囲の方に声掛けしながら行ってみるか。
徒歩2分のところ、30分みておけば余裕だろう。
と思ったら、地下鉄から西口までが、なかなか遠い。
たぶん、こっちでよさそうだけど、違うといけないので、
軽く手を挙げて「すみませーん」
 若い女性が声をかけてくれた。
さすが渋谷、ナウなヤングがいっぱいなんだろうかと
ホットブラウンおじさんは思う。
西口の歩道橋には、真っすぐ行けばいいですか?
 お姉さんが歩道橋の下まで連れていってくれた。
ありがたや。
しかし気は抜けない。
立ちはだかるのは渋谷駅前の歩道橋である。
タコの足のように、いろんな所に降りれるタイプかもしれない。
いやいや、ひょっとしたら、大王イカかもしれない。ビクビクだ。
タコだかイカだかわからぬまま一歩一歩上がる。
クンクンしても匂わない。
イカなら匂いそうなもの。
バカバカしいこと言っている場合じゃない。
再び援助依頼。
リハビリ施設で教わったのだ。
単独歩行の際の重要なスキルだと。
すみませーんと言えるかどうかで世界の広さは変わるのだ。
 またまた優しいお姉さんに遭遇。
目指すビルの名前、1階にはアートスペースが入っていること。
そのビルは桜並木が始まるあたりにあるらしいことをお伝えする。
お姉さんは、時間あるし、ビルまで一緒に行きましょうと。
どうやら女神様。
でもビルの名前ってどこに書いてるかわかりづらい。
1階のテナントがスタバとかなら一発だけど。女神様もキョロキョロ。
 しかし、女神様には神通力があり、ほどなく目的地到着。
2礼2拍手とかはしなかったけどお礼をしっかり伝え、地下への階段を降りる。
螺旋階段なのね。ハイハイ。
シャラシャラ軽快な音楽が聞こえてきた。
 絵本作家さんの講演会、半年ぶりだ。
受付したら、あらあら開演5分前。
すでにステージにいて、私の姿をみた作家さんが、
「ホットブラウンさん、ありがとう。
みなさん、ホットブラウンさんです。全盲の方です。
周囲の方フォローしてあげてくださいね」とアナウンス。
パチパチ拍手が起きる。
嬉しいなったら嬉しいな。
心ポカポカ。
渋谷の小さな大冒険は終わり、絵本の世界へグングン吸いこまれていく・・・
編集後記
 お出かけしたくなるような、そんな文章にできたなら、
そんな思いで文章を書きはじめたホットブラウンさん。
いざとなるとどんなふうに書けばいいだろうかと思案されたそうです。
絵本のページをめくるようにお出かけストーリーは進みます。
さまざまな出会いや声かけがあって、
そんな体験はうれしくて、またどこかに出かけたくなるそうです。
いろんなところでトコトコニコニコするホットブラウンさん。
伝えたいエピソードはまだまだたくさんあるそうです。
今度はどこにお出かけかな?
トコトコニコニコ、もっともっと生まれていくようです。
 2022年もさまざまなレポートをお届けできました。
読者の皆様にはたくさんの感想コメントを寄せていただきました。
色鉛筆のレポートがきっかけとなり、
それが新たな行動につながった方もおられました。
色鉛筆をお知り合いに紹介したというお声もいただきました。
こうしたたくさんのお声から編集チームは元気をいただきました。
応援してくださる皆様のおかげで2022年も色鉛筆は一歩一歩進むことができ
ました。
ありがとうございました。
2023年もどうかよろしくお願いします。
 -- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2022年12月23日
☆どうもありがとうございました。


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