メルマガ色鉛筆第6号 「点字ブロックは私たちの道しるべ」

タイトル 点字ブロックは私たちの道しるべ
ペンネーム 水色ダンボ(40代 全盲 女性)
レポートの要旨です。
 点字ブロックを世界で初めて発明した人は、岡山県の三宅精一さんでした。
1965年のことです。
それ以降、点字ブロックは、視覚障害者の歩行支援に必要不可欠なツールとして、急速に普及していきました。
その変遷を少しだけ紐解いたとき、人が織り成すつながりや、多くの人たちの忍耐強い努力を感じます。
今日は日頃、点字ブロックの恩恵を受けている私が感じたことを素直に綴ります。
ここから本文です。
 はじめまして。
水色ダンボです。
普段、私が外出するときは、相棒の盲導犬ダンボとともに二人五客で出かけます。
ある日の午後。
JR京都駅のプラットホームで電車を待っていたとき、次のようなアナウンスが耳に入ってきました。
「黄色い点字ブロックの内側でお待ち下さい。
点字ブロックは、目の不自由な方々のための道しるべです。
物を置いたり、その上に立たないで下さい。」
それは、既に録音された音声によるもので、ゆっくりとした口調で、構内に流れました。
私の心の中にも、静かな熱い感動が拡がりました。
点字ブロックのことを、みんなにとってわかりやすい「道しるべ」という身近な言葉で例えてあったことが心に深く残ったのだと思います。
「みんなで駅を移動する視覚障害者の安全を確保しようよ。
協力しようよ。」
そんなエールにも思えたのです。
 ふと、この点字ブロックの誕生について、興味を抱き、調べてみました。
発明したのは、岡山の三宅精一さんという方でした。
今や、国内外に普及している点字ブロックの発祥は、なんと私たちが住む日本だったのです。
三宅さんが飼っていたセントバーナードのつがいから生まれた子犬がきっかけで、日本ライトハウス元理事長の岩橋英行さんと交流されるようになり、
二人の親交は、世界中に点字ブロックを普及する原動力となっていったのです。
 1973年2月1日に、山手線高田の馬場駅で、一人の視覚障害のある男性がプラットホームから転落し、電車にはねられ亡くなられました。
プラットホーム上の安全対策を求めて、旧国鉄に対しての訴訟とその運動が全国に拡がりました。
その運動のおかげで、急速に、駅のプラットホームに点字ブロックが敷設整備されるようになりました。
この視覚障害者の安全を求める運動の中で、運動を推進されていたある方の言葉が大勢の人たちの共感と賛同を得ました。
それは、「視覚障害者にとって、駅のプラットホームは欄干のない橋と同じくらい危険である」というものでした。
この言葉は、今でも、多くのホームドアや可動策のないプラットホームで当てはまるのではないでしょうか。
 今、私は、三宅さんが開発された点字ブロックの恩恵を受け、足裏で点字ブロックを踏みしめながら、ダンボとともに、以前とは比較にならないほど、安全に移動できています。
多くの方々がご尽力されたおかげで、道路や駅のぷらっとホーム、構内と、あらゆる場面で点字ブロックが市民権を得て拡がっています。
2月1日は、高田の馬場駅で転落死された男性のご命日です。
その尊い命の重さを忘れずにいたいと思います。
心からご冥福をお祈りします。
そして、これからも、点字ブロックの整備が更に改善され、私たち視覚障害者のみならず、みんなの安全を確保するものへと発展していってほしいと願っています。
編集後記
 複数の路線が連絡する大きな駅では、連絡通路が交差する十字路がものすごく広いです。
その広い空間の中で方向をイメージしながら、基点となる点字ブロックを見つけることが難しい場合もあります。
人の流れを辿りながら、点字ブロックを見つけることができた時、私は小さな安心感を得ます。
最近はキャリーケースを弾く人が多くなっているので、ラッシュ時には改札の位置を知らせる音がかき消されることもあります。
そんな時でもゆるぎなく有人改札へ導いてくれる点字ブロックは、本当にありがたい道標です。
 また、慌ただしい朝の通勤時にも、「お手伝いしましょうか」と声をかけて下さる方がおられます。
「ここで大丈夫ですね」と点字ブロックへ誘導して下さった方に、「ありがとうございます。
いってらっしゃい!」と、私は感謝を伝えます。
遠ざかる急ぎ足のヒールの音と「行ってきます」の声を見送りながら、私はマイペースに歩きます。
「ここで大丈夫」を見守ってくれる人がいるんだ!、湯たんぽみたいな温かさが心に拡がって私は見えない誰かにそっと手を振ります。
ーー このメールの内容は以上です。
発行:  京都府視覚障害者協会 
発行日: 2014年1月24日
☆どうもありがとうございました。


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