メルマガ色鉛筆増刊第1号 「見えなくてもとりあえずトライ!陶芸に心満たされて」

タイトル 見えなくてもとりあえずトライ!陶芸に心満たされて
ペンネーム ラベンダーのひつじ (30代 女性 全盲)
今回のレポートの要旨です。
 陶芸体験バスツアーでの秋の一コマをレポートします。
滋賀県信楽のたぬき邨での初の陶芸や、愛嬌あるたぬき様との出会いがありました。
視覚障害を持つ仲間同志でコネコネ、ワイワイ楽しい時間でした。
ここから本文です。
 今月、京視協青年部ときららの会の合同企画〈信楽日帰りバスツアー〉に行ってきました。
全盲となって以来、なかなか友人と旅行に行く機会が少なかった私は、同世代の仲間と集えることを楽しみに参加しました。
信楽に行くのも、陶芸をするのも初めてだったのでわくわくドキドキでした。
 聞いて知ってはいましたが、本っ当に信楽は狸狸なんですねえ!
どど~んと立派な3匹の巨大狸さんを筆頭に、そちらこちらに大中小の様々な狸さんに出会えました♪袋かつぎ狸にマイク狸・女子狸等、愛嬌ある彼らの表情に触れ、心癒されました。
ただ足元に気をつけないと狸さんを倒したり壊したりしそうなので冷や冷やしましたけどね(笑)!
 狸さんとの初対面を果たした後は、お待ちかねの初陶芸です!
素敵なオンリー1のお茶碗を夢見つつ、保育園の頃を思い出しながら土を喜んでこねこねしているまでは良かったのですが・・・。
聞くとやるとは大違い☆しかも一生懸命やればやるほど茶碗とはほど遠い形になるような?はたと気づくと、何とも可哀想な仕上がりの何かよく分からない物体が鎮座していました(笑)。
改めて自分の不器用さを実感(笑)。
 八の字まゆげの私に気づいてくださったのか、見かねたベテラン講師のおじさんが「これはちょいと手術が必要だなあ。」と言いながら、救いの手を差し伸べてくださいました。
手術って言われた時点でいかにひどい有様だったか想像できると思いますが、そこは触れないでくださいね(笑)。
おぉ~、神よ!!
何ということでしょう!
魔法にかかったみたいにおじさんが触れて、ものの1分も経たない間に、見事なお茶碗に大変身!不思議ですねぇ!さすが職人業です☆
お陰様で初陶芸が素敵な思い出になりました。
残念ながら王子様には出会えませんでしたが、シンデレラが素敵に変身したときの感動と嬉しさが分かったような経験をさせていただきました(笑)。
う~ん、陶芸って素敵♪
出来上がって、私の元に送られてくる日が楽しみです。
 新しい仲間と集い、初めての信楽での初陶芸体験と盛りだくさんな内容に心満たされた一日でした。
見えないからうまくできないこともあるけれど、やっぱり初挑戦って良いものです。
「後悔とはできなかったことではなく、やらなかったことに対して抱くもの」と言われますしね。
今回のバスツアーでとりあえず何かしてみる楽しさにまた出会えました。
そして、援助してくださったり見守ってくださる人々の優しさに心から感謝します。
また、人とのつながりがバスツアー参加の機会をもたらしてくれました。
そのことにも感謝しつつ、これからも自分なりに新しい出会いを模索していきたいと思います。
サポーターさんとガイドさん達に支えられ、楽しい秋の一日をいただきました。
まずは読者の皆様にご報告まで。
編集後記
 滋賀県信楽はたぬきの置物で有名な陶芸の町です。
信楽焼きは土の匂いと質感を活かしたナチュラル感が特徴で、モダンな和食器も素敵です。
その温かさが好きで、我が家でもお気に入りの信楽焼きを愛用しています。
できるかどうか、うまく作れるかどうかじゃなくて、「とりあえずやる」というコンセプトの企画がおもしろいツアーですね。
たぬきがいたるところに鎮座する通路を歩くことは確かにスリル満載ですが、そういうところを注意深く歩くことでしか、たぬき様にはタッチできません。
危ないものに近づくのを避けてしまったら、たぬきさんのお体にも出会えないわけですから、何事もトライあるのみですね。
もしかしたら、見えている人以上に触ることで、より深くたぬき様を感じることができたのではないでしょうか。
ーー このメールの内容は以上です。
発行:  京都府視覚障害者協会 
発行日: 2013年11月22日
☆どうもありがとうございました。


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