メルマガ色鉛筆第131号「ひとひら」リレーエッセイ3
タイトル 「ひとひら」リレーエッセイ3
メルマガ色鉛筆編集チーム
こんにちは。
メルマガ色鉛筆編集チームです。
128号に続き、しりとりスタイルのタイトルでリレーエッセイをお届けしま
す。
暮らしの中の体験ひとひら、記憶ひとひらをつなぎます。
「競馬」、「バンク」、「車」、「祭」のバトンを受けて、
「りんご」、「『ごめん』と『ありがとう』」というタイトルのエッセイです。
タイトル 「りんご」
ペンネーム 緑と黄金色の地平線(50代 女性 弱視)
さて、問題です。
体重がりんご3個分のキャラクターといえば?
ピンポンピンポン。
そうです。
キティちゃんです。
なぜりんごなのか、それは子どもにわかりやすいから。
ちなみに私の体重に換算すると・・・、やっぱりやめておきます。
わが家では朝食や間食にと重宝しているりんご。
一番人気はアップルパイです。
時々ふるさと納税の返礼品でとって、ダイエット中の夫の空腹も満たしてくれま
した。
そのりんごが、近頃黄色い品種が増えています。
理由は、人手不足で悩むりんご農家が黄色品種に変更しているから。
赤いりんごは、色づけ管理に手間がかかるのだそうです。
このままだと、「りんごのように真っ赤なほっぺ」はピカチュウやくまモンだけ
になるかもしれません。
最後もキャラクターの話になったのは、最近孫がほしいと思ってるからでしょ
うか。
少しでも見えてるうちに孫に会いたい。
タイトル 「『ごめん』と『ありがとう』」
ペンネーム あさぎ(30代 女性 弱視)
「ごめん」という言葉がある。
日本語では、これは謝罪の言葉としてさまざまな形が存在する。
「ありがとう」という言葉がある。
これは感謝の意を表し、これにもいろいろな形態がある。
さて、日本人はどちらを多く使っているのかと考えたとき、私は前者、「ごめ
ん」のほうが多いのではないかと思う。
社会人になってからはことにそうであるが、自分に非がない場合においても謝罪
してしまうことがある。
ことなかれ主義とでもいうのか。
これによって場が終息するならばと思って、口にしてしまう人も少なくないだろ
う。
かく言う私も、「ごめん」や「すみません」が口癖のようになっていた。
「ありがとう」よりも言う機会は多かった。
ところが、「外国語」という枷(かせ)をはめたとき、まったく違う状態に陥る
こととなった。
ドイツ語に「ナイン・ダンケ」というフレーズがある。
これは断り文句の一つで、何かを勧められた際などに断りの意志を伝えるもので
ある。
意訳は「いいえ、けっこうです」だが、直訳は「いいえ、ありがとう」となる。
断ってはいるが、勧めてくれたことに礼を述べているということだ。
日本語とは逆の発想ではないだろうか。
日本語で断りを入れる際、多く「ごめんなさい、けっこうです」といったフレー
ズを耳にしてきた私にとって、
この「ありがとう」の使い方は目からウロコだった。
不慣れな言語では、習い始めは意味をしっかりと思い描いた上で言葉を発しが
ちだと思う。
そうやって、母国語のようにスムーズに口をついて出る言葉が増えていく。
しかし、不慣れなうちに身についたパターンは意識しないかぎり修正できない。
ドイツ語を学び始めた当初、私は何かと助けてもらった際に「ダンケ(ありが
とう)」と言っていた。
それは慣れてきても変わらず、むしろ意識せずに、反射的にと言っても過言では
ないスピードで言うようになっていた。
だが、日本語ではどうだっただろう。
振り返ってみると、私は日本語でも「ありがとう」と言っていた。
けれども、多く「すみません」や「ごめん」などの謝罪もしていた。
非がなかったにもかかわらず。
わざわざ勧めてくれたのにむげにすることをわびているのかもしれない。
けれど、言われるほうの立場になってみれば、「ありがとう」だけで十分ではな
いだろうか。
むやみやたらに謝罪をしては、その重みが失せてしまうのではないか。
そう考えるようになってはや2年。
日本に帰ってきた私は重みのない謝罪はひかえ、感謝の言葉を増やすように心が
けている。
それが、異文化コミュニケーションによって私が得た財産の一つなのだから。
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かつてのキティラーさんは言いました。
「キティちゃんのお顔って、なんだかいろんなことを語ってるな」。
「ごめんなさい」とも「ありがとう」とも言える場面で、
キティちゃんはいつものお顔で何を語るでしょうか。
ピンポンピンポン。
それは、受け取るあなたの思いしだい。
お顔の見えない私なら、「ごめんなさい」かな、「ありがとう」かな。
りんご三つ分の重みを感じながらちゃんと考えてみよう、そんなバトンを受け
取りました。
それぞれの人生のひとひら、ほんのりと思いをつなぎながら、次回のリレーエッ
セイへと続きます。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2018年9月7日
☆どうもありがとうございました。