メルマガ色鉛筆第73号「弱視あるあるを共有する」シリーズ第2弾
「弱視あるあるを共有する」シリーズ第2弾
タイトル 「まあまあ見える、そのリアル」
色鉛筆編集チーム
こんにちは。
メルマガ色鉛筆編集チームです。
今回の色鉛筆は、「弱視あるあるを共有する」シリーズ第2弾です。
語り手さんは50代男性、聴き手さんは40代女性、
「まあまあ見える」お2人のリアルなトークをどうぞ。
★語り手さん
ペンネーム エメラルドグリーン(50代 男性 弱視)
私が見えにくさを感じたのは40歳頃でした。
現在、右眼は失明し、左眼の視力は0.3で視野は5度以内です。
見えるほうの左眼も視力低下と視野狭窄が進んでいます。
パソコンの画面は白黒反転し、フォントサイズは12ポイントで読んでいます。
階段や段差を下りるとき、市バスの系統番号を見るとき、店内が暗いときなどは不自由さを感じますが、
自宅内にいるときは困ることはありません。
ずっこけエピソードとしては、知っている人だと思って話しかけると全くの別人で知らない人だったなんてこともあります。
唐突なハプニングを自分が起こすわけですから、相手には変人だと思われますよね。
そういうときには、「まあまあ見えること」ならではのしんどさを感じます。
先天の眼科疾病で重度弱視、もしくは全盲で、
視覚以外の感覚をフル活用して元気に生活しておられる方を見るとすごいと思います。
まるで見えているようで、晴眼者より感覚が鋭くて、
「内面まで見透かされているのでは」とさえ感じることがあります。
あるとき、道を尋ねたら、
「あそこの○○と書いてある看板が見えるでしょう。そこですよ」と言われました。
自分には看板も文字も見えないけれど、お礼を言って、わかったふりをして普段より早足で立ち去るなんてこともありました。
まあまあ見えているので「看板が見えない」とは言えず、
見えるふりをしたために居心地が悪くなってしまったんですよね。
おしゃれな店で食事をするとき、メニューの文字が小さすぎて見えないと、
メニューを読んでもらうのではなく、おすすめを聞いてそれにすることにしています。
パン屋など、単価の安いものは、中身に何が入っているかわからなくても、
勘で推測して買っています。
店内がすいているときや優しそうな店員さんがいるときは、
こちらの欲しいものを伝えてそれに近いものを教えてもらっています。
以前は弱視を悟られないようにしていましたが、
今は少しずつ人に頼るようになってきました。
未来は、自分がもっと自然でいられたらと思います。
いろんな場面で少しずつ「見えにくい自分」を伝えて、
人にサポートを頼めるようになりたいと思っています。
★聴き手さん
ペンネーム チェリーピンク(40代 女性 弱視)
私の視力は、両眼ともにコンタクトを使用して0.05~0.07くらい。
中心暗点はありますが、周りの視野があるので移動などにはあまり支障はない程度です。
見えにくくなってきたのは15年くらい前の20代後半、
それからジワジワと進行中で、今に至ります。
パソコンはほとんど使わず、iPhoneを白黒反転し拡大文字を使用して、
メールやネットショッピングなど、フル活用しています。
墨字は、メガネやルーペで読み書きしています。
最初に見えにくさを感じたのは、同じ状況であっても、
同じ距離から認識できなくなったのがきっかけでした。
バスの番号の見間違いや人の顔の見分けなど、
エメラルドグリーンさんと同じような失敗は多々あり、今も増え続けています。
最近は観光客に道を聞かれたりすることがありますが、
地図を見せて尋ねられるとどこを指しているのかがわからなくて答えられない!なんてことがよくあります。
「○○に行きたい!」って口頭で伝えてくれたら案内できたのにと、
悔しい思いをすることも度々ありますね。
買い物では、値札や賞味期限などの文字が小さくて読みにくいです。
周りが気になって商品に目を近づけて読むこともできず、いちいちルーペを出すのも面倒だし、
もっとサッと読めたらなぁって思うことはよくあります。
「見えにくいからこその歯がゆさ」は、
「ちょっと見えるからこそのしんどさ」でもありますね。
私もエメラルドグリーンさんと同じように、見えにくい自分を周りに悟られないようにしてきました。
今でもまだまだそのクセは抜けません。
だからこそのしんどさはもちろんありますが、
少しずつ自分の気持ちに問いかけながら見えにくさと付き合っていきたいと思っています。
自然体な自分でいられる時間や場所がもっともっと増えるといいですね!
編集後記
「人々がちがいを持ちながらいっしょにやっていく」というのは大切なことです。
このことは今の私たちの共通理解、常識となっています。
ですが、見える、見えにくい、見えないというちがいがあると、いろんな困りが起こるというのも実際のところです。
エメラルドグリーンさんとチェリーピンクさん、お2人、似た困りを経験されています。
いろんな場面でとっさに、瞬間的に対応を迫られ、うまくいくこともあれば困ることもありますね。
この点では、このお2人と見え方のちがう私も「あるある、私もそう」と思います。
読まれたみなさんはいかがでしょうか?
人々がちがいを持ちながら「あるある」と言い合ってやっていく。
そんなイメージにもつながりました。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2016年7月22日
☆どうもありがとうございました。