メルマガ色鉛筆第55号「まずは 当事者から 『鋭い人権感覚』を」

タイトル まずは 当事者から 『鋭い人権感覚』を
ペンネーム ザ・ミルキー 輝き色~悠芽也(ゆうがなり)~ (60代 女性 全盲)
 レポートの要旨です。
 2014年、国連の障害者権利条約が批准されました。
京都市においても、来年4月から障害者差別解消法が施行されます。
 全盲となった私が思う『人権感覚』についてお話します。
 ここから本文です。
 京都市では、来年4月から障害者差別解消法が施行されます。
そんな中、京都市は職員さん向けに対応要領を作成すべく、
障害者施設や団体などに出向いて意見聴取をしています。
私達京都府視覚障害者協会でも、障害を理由とする不当な扱いを受けないようにこまごまと具体的なお願いをしています。
 前置きはこれくらいにして、私はこの頃、
まずは我々障害者の仲間からというか、身内というか、
一番近い立場にある者からお互いを大切にしていかなくてはいけないと痛感することがあります。
例えば、障害者の会議の席で「見える人は読んで下さい」とか、
「見える人はこちらを・・・」と、資料やパワーポイントを示される会議も少なくありません。
 私は先日の会議の中で、
「まずは障害者自身がお互いの障害に思いを向け、資料の用意をし、
会議で提示されるものに対しての配慮が必要なのではないか」と思い切って発言しました。
 もちろん、全ての会議で配慮がないわけではありません。
ある会議においては、視覚障害者が私1人であっても、
主催者の方が手打ちの点字資料を用意して下さいました。
本当にありがたくて感謝、感謝でした。
また、別の会議では、会議当日までに必ずメールで資料を送って下さる所もあります。
 この二つの例のような感覚の社会になることを私達は望んでいます。
まずはというか、同時にというか、
我々一番近い所にいる当事者が『鋭い人権感覚』を持って生活していきたいなとつくづく感じるこの頃です。
 さらに、京都市や京都府の職員さん達への対応要領作成も大切ですが、
障害者に不当な対応をしないというだけでなく、
幼い子や長年頑張ってこられた高齢者の方、弱い立場にある人達に柔らかい気持ちを向けるということ、それが大事なんです。
本当に求めるべきことは、育ってしまった大人への対処法だけではありません。
本来人間が自然に持っている心、そんな柔らかい気持ちを育てていくことが肝要です。
そうした教育環境や社会環境作りを公に求めたいものです。
 例えば、幼小(ようしょう)教育の中で、
できるだけ子供達に「本物を見せる、出会わせる、触れ合わせる」ということです。
園や学校の中で縦割りを大切にして、いろいろな活動を縦割りで行うと、
高学年は年下の可愛い子に接して自ずと優しい目や行動や心が育っていきます。
一緒にいるだけ、触れるだけ、楽しい遊びをするだけでいいんです。
 また、お年寄りとの触れ合いも同様です。
同じ場所で時間を共有するだけでお年寄りの弱さや素敵さや長年生きてこられた尊敬部分が伝わってきて、
教師が「どうしなさい、こうしなさい」と言わなくても、
本来人間の持つ優しさで適切に接する気持ちと行動が自然に生まれると思います。
 学校の集会や授業、地域の行事などで、
いろんな立場の人と触れ合う機会を教育委員会・学校にどんどん用意して頂きたいと思います。
これは一見だるいようですが、公教育でしかできない取り組みであり、
行き着く所は皆が望む優しい社会・世界だと思います。
 植物を育てる活動、虫達に接する授業、障害者の方との交流など、
本物に触れるための取り組み方はたくさんあります。
行政からのヒアリングでは、
新任教師研修会、教師の5年目・10年目・15年目・20年目研修会で、
「障害当事者を招き、実際に触れ合ってほしい」とお願いしました。
 繰り返しますが、人間が生来持っているものを伸ばすために、
可愛いもの・小さいもの・弱いもの・美しいもの・強いものなどへの感動を沸き立たせるという経験を大切にし、
そうした体験ができる取り組みを公に求めたいものです。
やっぱり大人になってからでは遅い、
育っていく間に生来の心が前面に出るような『教育環境・社会環境』であってほしいです。
 堅いことを申しておりますが、
要するに「毎日ニコニコって過ごせる京都」であってほしいなと思っている次第です。
編集後記
 人権感覚、言葉でわかっていても、
何気なく暮らしていると他人の困りごとに思いを寄せるということからはスルーしてしまいがちです。
でも、本当に考えないといけないことって、考えなくてもできる、理屈抜きでできることなんですよね。
目の前で困っている雰囲気の人がいたら、思わず「大丈夫?」と声が出てしまう、そんな1人が育ってほしいですね。
 いつでもどこでも、大人も子供もスマフォしか見ていない、
そうなると目の前には何が見えるんでしょうか?
「思わず・・・」は生まれるんでしょうか?
 ミルキーさんのペンネーム「悠芽也」は、愛するお孫さん3人のお名前から生まれました。
未来の子供達が作る明日が輝く色で満たされますようにという願いが込められています。
私達も、「助けてもらってありがとう」を自分達から伝えていくことで、
ニコニコって暮らせる社会へつなげていきたいですね。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2015年11月20日
☆どうもありがとうございました。


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