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活動紹介

メルマガ色鉛筆第19号(心に情報の虹のかけはしを!)

タイトル 心に情報の虹のかけはしを!
ペンネーム 七色の虹(40代 女性 全盲、両下肢障害、体幹機能障害)
 レポートの要旨です。
 「リンリン。リンリン」と、私の部屋の電話が鳴ります。
「パソコンの電源が切れないんです。同じことばかりしゃべっています。どうしたらいいでしょうか」と、電話の向こうからはSOSの声。
私は、受話器越しにパソコンの音声を聞き、操作方法をお伝えします。
こんなふうに、突然私のパソコンサポートは始まります。
 今、私は訪問や電話でのサポート、そして月に一度音声パソコンの勉強会を行っています。
その方にとって何が必要で、どんな機器が使いやすいのかを一緒に考え、パソコンに限らず情報機器全般の使い方をサポートしています。
視覚障害者の情報障害を軽減し、生活の質の向上につなげたい!
今回は、私のパソコンサポートについてお話します。
 ここから本文です。
 はじめまして、七色の虹です。
 私は、生まれてすぐの病気により目の障害と脳性麻痺を発症し、両足に麻痺を有しています。
今は、右手に白杖を持ち、左手に松葉杖を持ってどこへでも一人で出かけています。
しかし、盲学校の高等部を卒業するまでは松葉杖を持たず、視覚単一の障害を持つ生徒と一緒に、ゆっくりですが走ったり運動したりしていました。
重度の複数障害よりも、少しでも軽い障害であるほうが就職に有利と考えていたので、私には両手に杖を持ち行動する自分の姿を想像することすらできなかったのです。
 けれど、高校の卒業を待たずして足の痛みは激しさを増し、夜一睡もできないほどになりました。
「このまま放置すれば、歩くどころか立つこともできなくなります」と医師から告げられ入院。
数年のリハビリの末、今のようなスタイルで歩けるようになりました。
 一人で歩けるようになって、まず視覚障害者と身体障害者の職業訓練校に願書を提出しました。
重複障害者の私を受け入れる環境が整っていないということで、どの訓練校からも入校は拒否されました。
「私一人で何かできることはないだろうか」と考えても、答えが出せない日々が過ぎていきました。
 そんなある日、私は「パソコンならば、座って操作できるではないか。一人でこつこつ練習すれば、道が開けるかもしれない」という手段を思いつきました。
さっそく、施設にある音声パソコンを使うために毎日のように通所し、タイピング、文字の読み書きを練習しました。
そして、パソコンで作成した履歴書を持って就職面接に応募しました。
結果は・・・、これではだめだと感じました。
 道を模索する中、パソコンサポーターをされているTさんと出会い、メールの送受信、インターネットの閲覧、ホームページ作成、
さらに音声ソフトを使って仕事を進めるための工夫についてまでもご指導いただきました。
その後、障害者在宅就労団体に入会し、他の障害を持つ人たちと出会いました。
この経験により私は自分の障害について客観視できるようになり、初めて自らの障害を受容することができるようになったのかもしれません。
 ようやく自分の生活が落ち着いた頃、パソコンサポートの依頼をいただきました。
私が初めて受け持たせていただいたサポートは、中途で失明された男性でした。
その方は病気のため、通院の時以外は在宅で過ごしておられました。
 初対面の時、自己紹介を終えると、その方は失明当初のこと、見えなくてどうしたらよいかわからなくて混乱している気持ちなど、
止めどもなく滝のように荒々しい激しい口調で話されました。
そして、一呼吸つかれた時に、
「今、何かなさりたいことはありますか。叶えられるかどうかわかりませんが、もしよければ聞かせてください」と私は声をかけました。
 「僕は読書が好きで、見えている時はいつも本を持ち歩いていました。
全盲になって本を読むことはないだろうと、持っていた本を片っ端から捨てました。
でも、その中の数冊だけは思い出が大きすぎて、どうしても捨てることができませんでした。
もし可能であれば、誰かに読んでいただくのではなく、その本をもう一度僕の力で読みたいと思っています。
そんなことが僕にできるでしょうか。」
 私は、スキャナーと活字読み取りソフトウエアを使用すれば、100%は無理でも、内容を理解することができる範囲で文章が読めることを伝えました。
「本を自分の力で読みたい」という願いから始まった学習はどんどん発展し、インターネットやメール等も次々と習得されました。
そして、何より訪問させていただく度にご本人もご家族も笑顔で話をしてくださるようになりました。
 その後、車椅子ユーザーで上肢にも障害を有しておられる全盲の大学生、盲聾者の方、小学生、就職をされた社会人、生活訓練を終了された70歳からパソコンを始められた方など、
自らの力で文字を読みたい、書きたいとそれぞれの目標に向かって頑張って学んでおられる方々との出会いをいただきました。
 近年は視覚障害者用の情報機器も、パソコンだけでなく、多種多様になっています。
私は、その人の目的に合った機器を学習される方と一緒に選びます。
サポートする私が一番成長させていただき、学びを得ていると感じています。
指導のために自分が予習や復習をすることでスキルアップするだけでなく、その方の思いに寄り添う中で、その方の人生観や生きざまを体験を伴って学ばせていただいています。
それは得ようとして得たものではなく、与えていただいたありがたい学びと成長の機会です。
今、こうして私が日々を過ごせるのは、私の傍らで支えてくださるサポーターの方々のご協力をいただいているからです。
出会った人数分の学びと成長の場をいただいていることに、私は心から感謝しています。
 視覚障害は、視覚から入ってくる文字や情報が制限されてしまいます。
つまり情報障害です。
見えないという状態を「暗闇」と例えるならば、情報は暗闇を照らす「光」に例えられると私は思います。
太陽の光は無数の光線でできています。
自然界のある一定の条件が整った時にしか虹を見ることができません。
情報を光に例えるならば、情報は無限に存在します。
必要とする情報は人それぞれで異なります。
 サポートする人とサポートされる人の努力の結集したものが、「情報の虹のかけはし」です。
私は、これからも視覚障害者の皆様の心に情報の「七色の虹の橋」をかけていきたいと思います。
編集後記
 見えなくなったことで、自分の好きなことができなくなる。
そう思うと、心に暗闇が広がります。
自分の力でできることがある。
それを「知る」ことで心に光を描くことができるのだとしたら、「知る」経験そのものが「希望へのかけはし」となるのでしょう。
自分の未来を見い出そうともがいた時、支えてくれる人がいた、心に寄り添い一緒に考えてくれた人がいた、
だから、自分がサポートをする時は、その人の言葉に心を傾けよう。
そんな七色の虹さんの思いそのものが、無数の可能性を秘めた光なんですね。
-- このメールの内容は以上です。
発行:  京都府視覚障害者協会
助成協力: 京都オムロン地域協力基金
発行日: 2014年7月18日
☆どうもありがとうございました。

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