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活動紹介

メルマガ色鉛筆第11号(義母と私の豊かな老後のために)

タイトル: 義母と私の豊かな老後のために 
ペンネーム: オレンジてんてんむし(50代 女性 全盲)
レポートの要旨です。
夫は義母を車いすに乗せ、私は義父を車いすに乗せ、広い植物園の中を4人で散歩します。
植物園のように車の通らない安全な路でならば、全盲の私にでも車いすを押すことができます。
それは、夫の足音を辿り、声をかけ合いながらののんびりとした歩みです。
時には車いすを止めて、私もいろんな花や木を触らせてもらいます。
それぞれの不自由さがあるがこそ生まれる、我が家ならではの散歩スタイルです。
そんな楽しい我が家の時間は、とても尊い家族の歴史に支えられています。
介護のある暮らし、現在進行形の中、同居して25年の家族の姿を振り返ってみました。
ここから本文です。
 息子が生後5ヶ月の時に川崎病を発症しました。
重症であったため、いつ何が起こるかわからないという心配があり、夫の両親と玄関共有の2世帯住宅で暮らすことになりました。
それからもう25年。
義父母は共に92歳。
義父は今もバイクに乗り、ライフワークのパンを焼き、現役で仕事をしています。
義母は認知症で、介護保険の区分は要介護3。
1分前に話したことが記憶できませんが、身体は元気で、耳も目も良く、食欲もあり、血色も良く 、穏やかな日々が過ごせています。
義母はマヤ歴の占いでは「白い犬」。
家に使え、良妻賢母を絵に描いたような方です。
 そんな義母から、同居するに当たって「自分たちのことは自分たちですること」と言い渡されました。
しかし、その意図はとても寛容なものでした。
「子育ても、家のことも、私が手を出してはいけないと思ってた」と、老年になってから義母の胸中を聴きました。
そんな義母の思いも知らず、私は、とにかく自分たちのことを自分一人ですることに、ただ必死でした。
四六時中、子どもを守り育てることに追われ、わが子が可愛い、などとのんびり共に遊ぶ余裕もなく、ただただ1日、1時間を必死で過ごしていました。
 義母は毎日夕方になると、私が夕食を作っている頃にやって来て、リビングのソファに座り、今日あったこと、義母の御兄弟のこと、同窓会のこと、昔話などを私に聴かせながら、一息を入れていました。 
私は、この義母のおしゃべりを気持ちよく聴くのが嫁の務めと思っていましたので、義母の本当の思いをまったく理解していませんでした。
今になると、義母は孫の様子も見がてら、私の夕食作りを見守りに来られていたことに気づかされます。
 そんな義母は、認知症になった今もわが家のリビングに来て、いつものイスに座ります。
すると、ホッとしたように、「今日は空が青いよ。いいお天気だ。あなたの台所の窓は真っ赤だ。ぎんぎんギラギラ夕日が沈む・・・」と歌ったりして、いつもの昔話に花を咲かせます。
そして、全盲の私が使いやすく整えてきた台所で、てきぱきと料理する姿を今も見守ってくれています。
「ここはあなたの城、マイキッチン。ここならあなたもお料理ができる。良かったなあ」と喜んでくれるのです。
義母が、自分のことは自分でというポリシーで、私たち家族を見守ってくださっていたおかげで、私は全盲でありながらマイキッチンを持つことが許され、一人で家族の食事を調理することができるようになりました。
 今では義母はお料理ができなくなりましたが、義父が好みの食事を作り、義母二人の生活は守られています。
こうして今、私たちはここで同居し始めて作り上げてきた、程よい距離のそれぞれの生活が守られ、穏やかな日々を過ごすことができています。
 介護保険の介護サービスや有料の介護サービスを受けるまで、私が掃除や洗濯、食事も整え、一緒に食事をした時期もありました。
けれど、私が無理をしすぎて、健康を損なってしまいました。
それがきっかけで、デイケアサービスと有料のホームヘルパーさんたちに助けられ、以前のように互いに独立した家族のまま、共に過ごすことができるようになりました。
 また、子どもが幼稚園の時に知り合ったお母さんがたをわが家に招いて行ってきた集まりは、メンバーも形も変えながら、今も続いています。
その集まりは、今では義母を囲んでの「讃美歌を唄う会」と「唱歌を唄う会」になりました。
そんな歌のある暮らしが、義母との安定した関係を支えてくれています。
そして、義母のかたわらで織ってきた織物や、一人で外出できない私に風を運んできてくれた「佐保田(さほだ)ヨーガ」が今、私の生きがいになっています。
 全盲の嫁である私に課せられているものは何か、自問自答し、心の中を巡ると、つぶれてしまいそうになります。
だから、そんなことは考えるのはやめて、できるようにしかできないし、なるようにしかならないと受け止めています。
私の至らないところは許していただきながら、人生の先輩である義母の慈愛に満ちた姿に学び、これからも義母との良好な関係を守っていきたいです。
義母が一日でも長く今の状態が維持でき、自宅で穏やかな日々が過ごせることを願っています。
 義母の介護は私の力を超えています。
今後、自宅での介護療養を妨げることがないように、これからも多くの社会福祉のサービスやケアを感謝して利用させていただこうと思います。
そして、私たちの家族の健康と日々の営みを守ることが、義父母の豊かな老後、ひいては私の豊かな老後にもつながると信じています。
ここからは、ちょこっと情報コーナーです。
■公的介護保険にはどんなものがあるの?■
身体介護
自宅での食事、入浴、排泄など身体に関わる援助
生活援助
自宅での調理、食事、掃除、買い物など家事全般の援助
訪問入浴
自宅に訪問して入浴を介助
訪問看護
看護師が自宅に訪問して行なう療養の観察や栄養管理指導
宅配弁当
高齢者に配慮した食事を宅配。安否確認にもなる
福祉用具貸与
日常生活の自立を助けるための福祉用具を貸与
デイサービス
介護施設で、入浴や健康状態の確認などの支援
デイケア
介護施設での、専門家による機能訓練などの支援
ショートステイ
介護施設で、機能訓練や日常生活の支援を宿泊して受けるサービス
編集後記
 これまでの時間で積み重ねてきたライフスタイル、家族一人一人を取り巻く環境は変化しても、
「いつもの場所」をお互いに見守る視線は、
「これからもずっと」を願う気持ちに支えられているのですね。
キッチンで家族の食事を作るオレンジてんてんむしさんの25年間の姿を
いつもの椅子から見守り続けてこられたお母様の温かさは、
お仲間との唱和を通しての良き時間へと育ち、
関わる人たちの心もおだやかに包み込んでいることでしょう。
ーー このメールの内容は以上です。
発行:  京都府視覚障害者協会 
発行日: 2014年4月4日
☆どうもありがとうございました。

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