メルマガ色鉛筆第228号「方言 この豊穣の海」

タイトル 「方言 この豊穣の海」
ペンネーム チュニジアんぶるー(60代 男性 弱視)
レポートの要旨です。
 全国各地の視覚障害者仲間と、メーリングリストで語り合う。
そんな時、思うのは、この国の言葉の目もくらむような多様性と豊かさだ。
そう、いわゆる方言というやつだ。
今回は、方言に魅せられた61歳、緑内障の弱視男性が、列島縦断で地域色豊かな言
葉の海に遊びます。
ここから本文です。
 そろそろ、緑内障が進んで画面がぼやけ始めていたころ、放送されていたのが司馬
遼太郎原作のスペシャルドラマ「坂の上の雲」。
そこで出て来る正岡子規の妹役の女優、菅野美穂は愛媛は松山の出身という設定だっ
た。
 同郷の海軍参謀に淡い恋心をいだく彼女が、別れ際などこうつぶやく。
「だんだん」。
 「ありがとう」という意味のこの言葉と再会できたのは、それから数年後、私の障
害者手帳の等級は一級になっていた。
仲間と始めたメーリングリストには、全国の仲間達が集うようになっていた。
 島根は松江の山吹色さんが投稿の中で時折「だんだん」を使う。
ああ、そうか、四国や瀬戸内地方だけでなく、中国地方の日本海側でも使うのか。
温和な山吹色さんにぴったりの、ほっこりする言葉だ。
 松江では、「だんだん」の前にある言葉をつけて、人間関係の濃淡を示すこともあ
るという。
普通の付き合いの範囲では「だんだん」でいいが、親類や親しい近所の方などには「
べったべった、だんだんね」を使う。
「べった」は奇しくも英語の「ベター」みたいなもので、より親しいという人間関係
を表してもいるのだろう。
さすがは歴史と文化の街、松江ですなあ。
余談ながらメーリングリストメンバーに聞くと、「だんだん」は熊本や鹿児島でも使
うというし、関西言葉の「おおきに」は岩手県の太平洋側でも用いるという。
おもしろいですねえ。
 私が愛読している仙台の視覚障害者団体の会報「さんぽ道」の中に会長さんと音訳
ボランティアの掛け合いトークのコーナーがある。
そのタイトルが「ちょこっと語るすべ」。
なんとなく意味がわかりますかねえ、少しおしゃべりしましょう、みたいな意味です

トークはおおむね標準語ですが、このタイトルの響きは、なんだかのどかで、そして
さすが、伊達な伊達の国の当事者団体の企画らしく、どこか洒落ていて、しかもロー
カル色も滲んで、いいいですねえ。
 静岡出身で岩手は盛岡にお住まいの若草色さんが、地域の言葉のふしぎをおしえて
くれた。
例えば、このペン、よく、かかさる。
このペンは綺麗に文字が書けるという意味になる。
動詞の後に「さる」をつけると、その物の力や素晴らしさでこちらがそれに引き込ま
れていく、恩恵に預かるということらしい。
落語で大笑いしたら、あの落語でわらわさる。
新米がおいしくて、食が進めば、この新米、ついついたべらさる。
若草色さんは東京の企業でも活躍され、スペインにも留学された視覚障害者だ。
この「さる」の使い方には、驚いたという。
IとかYouとか、主語を明確にしてぶつかりあう外国語の世界と違い、「さる」と
いう短い言葉に、そのものへの感謝や敬意、賛美などを込めるというのはなんとすば
らしい言葉の世界だろう。
さすが、宮沢賢治の故郷の言葉ですなあ。
 さてさて、長文失礼しました。
いつも色鉛筆編集デスクの京女様が時折、メーリングリストなどで聴かせてくださる
怒涛の言葉のシャワーを浴びているわたしゃ、方言が本当に好きなのでーす。
そして、その背後にある歴史や人間のドラマも。
編集後記
日本各地で育まれた言葉と、それをずっと用いている現地の、ネイティブの人の話に
は、味わい深いものがありますね。
ビビッとそこに気づいて、レポートしてくださったチュニジアんぶるーさん、ありが
とうございました。
(京女からお礼の言葉のバケツが行きましたか?)
 それはそうと、交流の輪が全国規模というのがすごい、チュニジアんぶるーさんに
はもうふつうのことになっていると思いますが、わぁすごいなぁと思います。
そうした交流から、おもしろい話題をまた分けてもらえたらと思います。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2021年5月7日
☆どうもありがとうございました。


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