メルマガ色鉛筆第166号「独り言」

タイトル 「独り言」
ペンネーム ブルーベリー(60代 男性 全盲)
レポートの要旨です。
失明して家にいたあの頃のことを思う。
家族と自分との関わり。
自分のして来たこと。
これでよかったのだろうかと考える。
1度きりの人生について考える。
またきれいにまとまっていないレポートですが、1年ぶりに出します。
ここから本文です。
私が失明して数年が経った30代の頃、家族はみんな若かった。
兄弟も、兄嫁さんも、両親も若かった。
私も当然若かった。
私以外、みんな、ほぼ毎日仕事や学校、買物、春、夏、秋、冬のいろいろな行事
に参加していた。
私はどうしていたか。
部屋のホームゴタツでコーヒーをすすっていた。
みんなが外出しても、うらやましかったけれど、孤独?だったけれど、
眼が見えないから仕方がないなあ、と我慢し、
何とか気持ちを抑えることが出来たような気がする。
当時は体が少しは元気だったこと、家の中や部屋を自力で移動出来ていたことが
支えになっていたのかもしれない。
 また当時は、この部屋にはエアコンもステレオもパソコンも何もなかった。
電気ポットとインスタントコーヒー、クリーム、角砂糖、
それにラジオカセットぐらいだっただろうか。
今は、沢山のものがある。
でも、家族は父も母もいなくなったし、兄夫婦が家で何をしているのかも、
どこに出かけているのかもわからない。
食事と入浴以外、ほとんどこの部屋でベッドでラジオを聞いている。
そして、いつの間にか、人生の残りの時間も限られて、不安で寂しい時を過ごしている。
一度しかない人生、大切な人生、もっと有意義で意味のあるものに出来れば、
と悔いている。
編集チームより
自分が制限の多い、がまんを強いられる立場にある、というのはつらいことですし、
光を浴びる人達がたくさんいる一方で、日陰に自分がいるとしたら、
それもつらいことです。
日陰に咲く花はあるのだろうか? どんな花なのだろうか?
そんな疑問を持ち、答えとなることをおしえてほしい、とみんなが思っています。
花のほうばかりに関心が向くのは、それもまたまちがいかも知れませんが、
人の性なのかも、とも思います。
こんなことを思っていたら、光を浴びる人達の話題に遭遇したので紹介したいと思います。
医大を卒業しバイオリニストの活動をするというすごい人、
石上真由子さんがツイッターにこう書いてられました。
「人生順風満帆、全てが上手くいくと思える年齢はとうに過ぎ去っていたのだなあ
と思う日々。
どん底の時こそ笑顔で、くいしばるべし。
と自らを鼓舞する毎日。」
プロゴルファーの新星、渋野日向子選手が、勝った直後の英国でのインタビューで
こう語っておられたという記事がありました。
「四日間、つらくて、つらくて、早くやめて帰りたいとばかり思っていました」
 朝顔のような笑顔のかげでは、そうだったのですね。
ここからブルーベリーさんのお話の後半です。
僕が、この問題をいつまでも引きずるのは、自分ではどうしようもないからだと
少しはわかっているつもりです。
誕生以来、どうしようもない問題を解決できないまま、引きずってきたのです。
自分の体力、健康、性格、これらはどうしようもなかったのです。
兄弟関係のこと、真ん中の兄は「24時間働けますか?」の会社人間。
上の兄は団塊の世代、弱いもの、目下のものは従うべきという考えの持ち主。
兄嫁さんには、非常にお世話になっています。
それはそれで、周囲から彼女の立場を強調されるのは当然のことかもしれませんが、
いたたまれなくなるときがあります。
姪や甥から見れば、言いたいことは一杯あるでしょうね。
結局は自分が一番悪い…?のかもしれません。
でも、どうしようもなかったのです。
いまさら過去のことを言っても仕方無いのですが、周囲が少しでも言葉がけとか、
「配慮」があれば、今の気持ちはやわらいだのではないかと思います。
これはわがままでしょうか。
この30年間、少しでもそういう眼で見ていてくれれば
こちらの思いも変わったかもしれません。
でも、自分も含めて、人間は自分の前ばかり向いているのです。
昔から、過去と他人は変えられないと言われていますが、お互い言葉のやり取りや、
少しの気配りがあれば辛い思いを減らすことが出来るのでは、と思うのですが。
少し生意気書きました。
編集チームより
つらい思いをしながら何かをつかむ、
というところが人の共通しているところのように思えます。
「少しの気配りがあれば辛い思いを減らすことが出来るのでは」という感触を、
ブルーベリーさんがつかまれたとしたら、これも勝手な思いですが、
有意義で意味のあることをつかまれたと思います。
この思いを多くの人と共有したいと思いました。
このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2019年8月23日
☆どうもありがとうございました。


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