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お知らせ

あはき法19条裁判について(その3)

 あはき法19条違憲訴訟第8回口頭弁論が、3月23日(金)15時から、大阪地方裁判所 202号法廷(大阪市北区西天満2-1-10)で行われます。私たちの気持ちをより一層伝えていくためにも、多くの方のご参加をお願いします。
 当日参加していただける方は、12時30分までに阪急京都線「大宮」駅東改札口前にお集まりください。
 なお、参加していただける方はお手数ですが、京視協事務所担当の今井(いまい)まで、事前にお申し出いただきますようお願いします。
 今回は、第1回目にも紹介した日盲連が作成した「あんま師等法19条闘争用パンフレット」の中から、視覚障害者のあんま師の実態、視覚障害者の職業、国が敗訴したら視覚障害あんま師の生活はどうなるのか等について、ご紹介します。
 Q:視覚障害者は、どのような職業に就いているのですか?
 A:在宅の視覚障害者は全国で約31万人ですが、高齢化の影響もあって仕事に就いている人は6万6000人ほどと見込まれています。就業形態としては自営業(あん摩業を含む)が半数近くを占めますが、ICT(情報通信技術)の進歩などで民間企業や自治体に雇われて働く事務職、公務員、教員が増えてきています。ただ、就業者全体の3分の1ほどは伝統的なあん摩、はり、きゅう(三療)の仕事に就いているのが現状です。今後、ITがさらに進歩し障害に対する社会や企業の理解が深まっても、視覚障害者が三療に依存する時代はこれからも続くことでしょう。
 Q:それは、どうしてですか?
 A:目が見えなくても自分の力を思う存分に発揮し、晴眼者と伍して競争できる仕事は、一握りのエリート職を除けば、三療のほかに中々ないからです。特にあん摩は、全てを触覚に頼る技術ですので、これほど視覚障害者に向いた仕事はありません。「按摩(あんま)」が300年以上にわたり盲人の職業として社会に受け入れられてきた所以です。
 Q:あん摩の仕事に就いている人はどのぐらいいるのですか?
 A:国の統計によると、就業あん摩マッサージ指圧師の数は2016年末現在で11万6280人です。そのうちの9万人近くを晴眼業者が占め、視覚障害業者は2万6000人余り(23%)にすぎません。1960年代半ばまでは視覚障害業者が6割を占めていましたので、この半世紀の間に経営環境はー変し、「あん摩=盲人」の時代は過去の話となりました。
 Q:現在の視覚障害者のあん摩師の実態はどのようなものですか?
 A:晴眼あん摩師が年々増加していることによる視覚障害者のあん摩市場占有率の低下に伴い、年間収入が300万円以下の視覚障害あはき師の割合が約46パーセント(1995年)から約76パーセント(2013年)に増加しており、視覚障害あん摩師の生計の維持が困難になっているのが現状です。
 Q:視覚障害業者の経営や生活はどのような状況ですか?
 A:全国の業者の2015年分年収(施術料収入)を調べた調査によると、晴眼者の400万円に対し視覚障害者は128万円(中央値)でした。国民1世帯あたりの年間所得額(中央値)は427万円(2015年国民生活基礎調査)で、視覚障害者の厳しい生活の実態が見て取れます。また、上の調査で3倍を超えていた晴眼業者との年収格差は2007年時点では2倍でしたので、経営の悪化が、視覚障害業者に集中的に起きている可能性がうかがえます。
 Q:背景に何があるのですか?
 A:晴眼業者が増えたことも一因ですが、最大の要因は、接骨院(柔道整復師の施術所)と無免許あん摩業者の急増です。接骨院では外傷しか扱えない決まりになっていますが、実際には、あん摩師のテリトリーである腰痛や肩こりに健康保険を使った安価なあん摩が日常的に行われています。また、国家免許がなければできないあん摩マッサージ指圧を、「整体」、「リラクゼーション」と称して違法に行う無免許者の店舗が街に溢れるようになりました。これらの業者の横行が、免許を持った正統な業者、とりわけ競争力の弱い視覚障害業者の経営を著しく圧迫しているのです。
 Q:もし国が敗訴したら視覚障害あん摩師の生活はどうなるのですか?また、国民にとってどのような影響が出るのでしようか?
 A:まず、あん摩マッサージ指圧師を養成する学校の新設ラッシュが起こります。現在、1200人余りの晴眼者のあん摩師養成数は10年も経たないうちに1万人を超えることが予想されます。国が敗訴した1998年の福岡地裁判決を契機に鍼灸師養成学校が自由化された後、定員数はそれまでの7倍の6000人になりましたが、需要の高いあん摩師学校が自由化されれば、その増え方は鍼灸の比ではありません。学校の乱立は教育の質と養成あん摩師の技能の低下を招き、ひいては粗悪な業による国民の健康危害が増える危険性をはらんでいます。いずれにせよ接骨院は増え続け、無免許業者の数が減る保障もありませんので、結果として、あん摩マッサージ指圧師が増えた分、市場の競争が激化し、競争力の乏しい視覚障害者の経営は一段と厳しさを増すのは自明です。

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