活動紹介
メルマガ色鉛筆第27号(「障がい者のためのキャリアサポートセンターの必要性について」)
タイトル 「障がい者のためのキャリアサポートセンターの必要性について」
ペンネーム 深海のラピスブルー 40代、男性、全盲
レポートの要旨です。
障がい者の就労、仕事について考えている中、キャリア形成支援の重要性とそれを行なうキャリアサポートセンターの必要性を強く認識した。
障がい者の就労を取り巻く現在の日本の状況とともに、キャリア形成支援、キャリアサポートセンターについて私の意見を述べたい。
ここから本文です。
障がい者の就労について私が考えていることをこれから述べたい。
事実に基づいて考えを進めるためには、情報が必要であるが、視覚障がいは情報障がいと言われるように、そこには困難がある。
本の点訳や音訳(CD化)、そして、知りたい情報を調べてくれる身近な人の協力を得て、以下のように考えるようになった。
近年、障がい者の就業意欲が高まるとともに、
CSR(企業の社会的責任)への関心の高まりを背景に、積極的に障がい者雇用に取り組む企業が増加するなど、
障がい者雇用は着実に進展している。
このような動向を踏まえ、平成25年4月1日に障がい者法定雇用率が2.0%に引き上げられた。
また、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案が、平成25年6月13日に、通常国会において可決成立し、精神障がい者を法定雇用率の算定基礎に加えることとなった。
障がい者数においては、内閣府の推計によると、平成22年度18歳以上で約700万人とされており、厚生労働省職業安定局、高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課の
平成 25年障がい者雇用状況の集計結果によると、
雇用障がい者数は約40万人で、前年より約2万6千人増加となり、
10年連続で過去最高となった。
一方で、それ以外の状況としては、
施設入所者20万人、入院患者(精神障がい者)30万人、生活保護世帯46万世帯、障がい者年金受給者216万人、総合支援法の就労系で働く人22万人となっており、雇用・就労に結びついている人は約62万人となり、
18歳以上の障がい者数全体の1割にも満たない状況を勘案してみても、まだまだ障がい者の雇用及び就労の数は少ないと思われる。
障がいを持つ者であっても、働く意欲の高い者もいる。
しかし、障がい者はその限られた適性・能力のため、雇用に結びつくことが難しく、生活保護や障がい者年金等で生活している者も少なくない。
そのため、将来の展望が持てず、勤労意欲が著しく減退し、
職業キャリア形成が不十分な者が多いと考えられる。
この問題に対して、障がい者のキャリア形成支援を行い、
働く意欲を高め、雇用に結びつくよう支援が必要だと考える。
そこで、障がい者のための、キャリアサポートセンターの必要性を述べたい。
現在、ITに関するものや、大学内においてキャリアサポートセンターはごくわずかだが存在している。
しかし、総合的な障がい者のためのキャリアサポートセンターはほとんどないのが現状である。
キャリアサポートセンターの役割としてどのようなキャリア支援を行うかは以下の通りである。
即ち、
1、自己理解、職業理解の支援
2、適切な支援機関、医療機関へのリファー及び連携
3、能力開発と職業訓練
4、各障がいに関する諸特性と企業が求める因子とのマッチングを図る
5、就労支援に関連する制度等の情報提供
6、職場開拓・職場定着
などが主な支援内容である。
そこで、キャリアサポートセンターが行う支援で最も重要なことは、
自己理解の支援である。
自己の障がい特性、限られた適性と能力など、カウンセリングを通して、何ができて何ができないかを把握するため、自己理解の促進を図ることが必要である。
さらには、仕事に求められる能力や技術を身につけるため、能力開発や職業訓練の支援を行うことも重要である。
次に職業理解の支援として、
職業理解の促進においては、職業適性の把握や、職業情報の提供、職種、業種の理解促進などがある。
そして、適切な支援機関、医療機関との連携など、きめ細やかな支援が障がい者にとって必要となってくる。
そのような支援をキャリアサポートセンターが行うことにより、
障がい者の自己理解、職業理解が促進され、
働く意欲が高まり、可能性を発見し、雇用に結びつくことが可能となり、障がい者が、自立・自律的、継続的にかつ主体的に、自らキャリア形成を行うことができるようになる。
編集後記
ある1つのテーマ、今回は就労について、深く掘り下げて考えるためには、調べものをすることが不可欠です。
調べものには、視覚障がいはきわめて不利です。
にもかかわらず、それに取り組まれたのが、今回のレポートです。
さぞかし根気よく時間をかけて取り組まれたことでしょう。
就労、仕事をすることの意味は1つではありません。
、例えばお金を稼ぐことだけではなくて、多面的でさまざまな意味があります。
多面的な経験を通して、人は成長することができると思います。
どうぞキャリア形成支援、キャリアサポートセンターということばを憶えておいてください。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
助成協力: 京都オムロン地域協力基金
発行日: 2014年10月24日
☆どうもありがとうございました。