メルマガ色鉛筆第358号「心と音色でつむぐクロマチックハーモニカ」

タイトル 心と音色でつむぐクロマチックハーモニカ
ペンネーム 銀色マカロン(60代 女性 全盲)
★レポートの要旨です。
 私はクロマチックハーモニカを楽しんでいます。
素適な演奏に出会って、ハーモニカの音がじわっと体に入ってきて、
「私もやりたい」となり、現在に至ります。
ハーモニカ仲間との出会いが、私の演奏意欲をかきたてます。
それがきっかけでスキルアップを目指して・・・。
そんな私のハーモニカライフ、お話します。
★ここから本文です。
 
 私は10年ほどクロマチックハーモニカを習っています。
クロマチックハーモニカは1つの穴で吹き吸いを行います。
右の側面手前に2センチ弱のレバーが付いていて、
それを内側に押すことで半音が出せます。
つまり、1つの穴で4つの音が出ることになります。
私が使っているのは、16穴で、4オクターブの音が出ます。
童謡、演歌、歌謡曲、洋楽、クラシックなど、
どんなジャンルの曲もハーモニカ1本で演奏することができます。
16穴のハーモニカの大きさは、横の長さが点字版の横幅とほぼ同じで、
奥行きは手の指の関節2つ分くらいです。
 私はプロのハーモニカの演奏に一目ぼれならぬ、一耳ぼれしました。
あまりの音の素晴らしさに心がつかまれ、その日のうちに先生を紹介していただ
きました。
それまでも何度か聴いていたであろう音なのに、その時は音が体に染み込んでき
たんです。
「聴いている」ではなく「入ってくる」、この感覚ははじめてでした。
現在は2人目の先生とのご縁をいただいています。
 昨年、初めてのアンサンブルに挑戦しました。
習い始めてしばらくの間は、ソロだけを頑張っていました。
そして、どうしてもデュオを組んで演奏したい、そんな方に出会うことができま
した。
その方も私がお世話になっている先生の生徒さんなんです。
先生は同じでも教室も違いますし、その方と私とではレベルも雲泥の差です。
それでも、その方は快くデュオの申し出を受けてくださいました。
デュオは相手とのバランスを考えながら、
自分のパートをミスなく吹かなければなりません。
デュオをすることで、私の実力がアップすることを願うも、
牛歩のペースでしか上達しません。
かなりのスローではありますが、「腕前は上向いている」という自覚はあるので

練習にも身が入ります。
 私は年に2回の発表会でソロとデュオの2曲を暗譜し、楽しんでいました。
私と同じ教室の生徒さん3人が、トリオを組んでステージに立たれました。
無伴奏で吹かれる「3月9日」は、しっとりと心に染みました。
そんな中、ステップアップにつながる機会に恵まれました。
5人でのアンサンブルに誘っていただきました。
何とか2曲の暗譜はできるようになったものの、
もう1曲となると覚えられる自信はありません。
でも、人と合わせる楽しさを知ってしまった以上、挑戦しないなんてあり得ませ
ん。
またもや心動かされ手探りでの暗譜、スキルアップへの道がスタートしました。
パートは4番。あみだクジでのパート決めです。
苦手な低音のリズムパートで、半拍休みで吹く小節が多く、
カラオケ無しでの暗譜はどこを基準にしたらよいのかが容易につかめず苦労しま
した。
平井堅さんの「瞳をとじて」の曲を、5人(クインテッド)で一生懸命取り組み
ました。
それぞれのソロパートもあり、足を引っ張ってはいけないと思えば思うほど、
苦手な低音に悩まされます。
5人全員が揃う日が少なく、本番のステージを想像することもできません。
 迎えた発表会当日、出だしは順調だったものの、途中で速さが微妙に変化した
り、
何とか戻したりと、各々が持てる力を発揮して吹き切りました。
ハーモニカから唇を離すと、感動が全身を駆け巡りました。
発表を終えた安堵とともに、ほどなく、次の曲に向き合いたくなりました。
ハーモニーって気持ちいい、これってソロとはちがう達成感からくるものなので
しょうか。
次に挑戦したのは斉藤和義さんの「歩いて帰ろう」です。
パート決めは、またしてもあみだクジ。
「低音を吹けるようになりなさい」とのハーモニカの神様からのお告げでしょう
か、
今回は更に低音の多い5番です。
曲の速度がやや速めなので、余計に低音の難しさを感じています。
私の出だしで全体の速さが決まります。
この大事なパートにやりがいと責任感を持って挑戦しています。
5人揃ってのレッスンは、各々が練習したパートを全員で合わせる楽しいひとと
きです。
ハーモニーの魔法からまた新たな思いが生まれるかもしれません。
かつてハーモニカの神様に心つかまれた時のように。
 音楽は、人生を豊かにしてくれます。
自分が演奏するだけでなく、他の方の演奏を聴くのも大好きです。
素晴らしい演奏に刺激をもらい、少しでも近づきたい、
吹けなかった箇所を吹けるようになりたい、そんな気持ちでハーモニカを楽しん
でいます。
皆さんがご存じの有名な曲で、クロマチックハーモニカを聴いていただけるのは

オフコースの「言葉にできない」、槇原敬之さんの「冬がはじまるよ」、
そして、スティービー ワンダーの「イズント シー ラブリー」です。
(JBS日本福祉放送の番組「なにわ体感!見たことないおおさか」のオープニ
ング曲)
スティービーの吹くクロマチックは独特の奏法で、とても真似できません。
ちなみに、この「イズント シー ラブリー」をソロ演奏したことがあります。
今後挑戦したいのは、スティービー ワンダーの「パートタイム ラバー」、
東京スカパラダイスオーケストラの「美しく燃える森」、
藤井風さんの「帰ろう」などです。
これからもソロ、デュオ、クインテッドの3曲を納得できる演奏で、
皆さんにご披露できるよう頑張っていきます。
ハーモニカの神様へ
これからもどこまでも楽しい提案を
どうかよろしくお願いします。
★アンサンブルのパート番号について
 オーケストラや吹奏楽の、楽器ごとのパートのように、ファースト、セカンド
、サード、フォース、フィフスの順に分かれています。
ファーストはメロディー部分が多く、
フィフスに向かってリズムパートが増えていきます。
つまり、フォース、フィフスの低音がしっかりと鳴らないと、
厚みのある安定した演奏はできません。
リズムパートは演奏全体の土台であり、全体をまとめる役割があります。
編集後記
 感動からアクションへ、
恋するように心がつかまれて、その気持ちのままに進む、
銀色マカロンさんの一耳ぼれは音から人との出会いへとひろがっていきます。
その時折に感じること、その時折に正直な自分でいること、
そして、ありたい自分を描くこと、
その全部がなんだかとっても純粋でキラキラしています。
はじける水しぶきのようなフレッシュさを感じました。
今後も「感動したから~に挑戦」というエピソードが生まれていくかもしれませ
んね。
そんなあるがままの今、色鉛筆でまたいつか。
 -- このメールの内容は以上です。
発行:  京都府視覚障害者協会
発行日:  2025年3月21日
☆どうもありがとうございました。


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