活動紹介
メルマガ色鉛筆第350号「ダンスやってみたよ」
タイトル ダンスやってみたよ
ペンネーム マハラジャゴールド(50代 女性 弱視)
レポートの要旨です。
以前、ダンスやってみるぞというレポートを書いてくれたマハラジャゴールド
さん。
たくさんの人たちとダンスをやってみる企画に挑戦するということでした。
それで、どうだったの?と声をかけたら、
「それがね」と話してくれました。
みんなでダンス、実践レポートです。
ここから本文です。
暑苦しいキャラのマハラジャゴールドです。
思えばダンス・・・という思いを胸に、仲間とダンスに挑戦してみました。
挑戦の舞台は東京の日本教育会館、視覚リハビリテーション研究発表大会余暇活
動分科会の企画の中の一つ、レクリエーションとリハビリテーションをテーマに
した企画でした。
プログラムの最後20分でダンスに挑戦しました。
参加者の皆さんには事前にふりつけ練習動画と歌データと歌詞を共有しています
。
15分でふりつけをおさらいし動きを確かめて、実際に音楽にのせてやってみま
した。
今回のダンスの取り組み目標は、
動きや位置、形を言葉で伝えること、必要に応じて手にふれて伝えることです。
ダンスを通して、視覚リハビリテーションに欠かせない「情報の伝え方」につい
て考えることが目的です。
どう工夫したらいいかを考える、そのきっかけづくりでもあります。
実は前回のレポートの配信後、うれしい読者コメントがありました。
実際にダンスをする時、見えない中でどんなふうにふりつけや足の動きを理解し
たり伝え合ったりしているか、という情報を寄せていただきました。
このコメントを読んだとき、ダンス・・・という私のしょんぼりモードに、
一気にキラキラ黄色い光がさしてきたんです。
なんてうれしいんだろう。
こうやったらいいよ、こうやったらできるよ、そんな読者さんのコメントがあっ
たかくて、一人じゃないってことを感じました。
やってみる、それを周りに伝えるってやっぱり大事なんですね。
当日は仲間とともにフレーズごとのふりつけを説明して、それをつなげてやっ
てみて、「みんなで歌いながらダンスやってみよう」と、スライドで歌詞を出し
、いきなり本番です。
デモ練習でゆっくりならできた。
けれど曲に合わせて動くとなればテンポアップ、すると手元があたふた…。
当然ですよね。
でも、手話をもとに考案したふりつけだから、一つ一つの動きの中に言葉があ
るのです。
それを理解しながらやれば、それをつなげる体験を重ねれば、
きっと大丈夫なんだと感じました。
歌声が会場いっぱいにあふれていたから、たぶんいい感じなのかなと。
みんな元気に歌いながらのふりつけをエンジョイ!、ならいいんだけど・・・
。
見えない私はみんなの表情が気になりました。
終了後、会う人会う人にやや興奮気味に声をかけられました。
楽しかった、
みんなやれてた、
みんな笑顔やった、
誰もしらけてなかった、
とにかくおもろかった、
めっちゃめっちゃ楽しかったというコメントがありました。
ふりつけできたよ、説明わかったよという声もうれしかったです。
大会初日のプログラムでしたが、大会中何度も「楽しかった」と声をかけてもら
ったので、これを機にどこかで「とりあえずやってみよう」につながったらいい
なという思いが心に浮かんでいました。
私は見えない見えにくい状態になって、何度か手話で歌うとか指揮をするとい
う経験をしました。
それは自ら進んで取り組んだことです。
普通に歌う、普通に指揮をするのでもよかったのですが、
せっかくなら見えない私が、見える皆さんに見せる形で思いを伝えたら、そのこ
とから
「見えない言葉に耳をすますことの大切さ」ということを感じてもらえるのでは
ないかと考えてやりました。
息子が通う幼稚園でも手話で指揮をしましたが、
なぜかママさんたちは歌いながら涙を流しておられました。
「すごく伝わるものがあって、だからあったかいものを感じて感動した」とママ
友たちが言ってくれました。
その伝わるものとかあったかいとかが何なのかは私にはわかりません。
「手話は見えないけどできるよ」という気持ちが伝わっていたということなのか
な。
ただただ、その時をともにした皆さんに感謝、私はニコニコでした。
その日、幼い息子が言いました。
「ママは白いお洋服できれいだったよ、お友達のほうを向いておててを動かして
、ママのおててはきれいだったよ」と。
息子の言うきれいというのがどういう意味なのか、私にはわかりませんが、当時
私の視界に入ったこどもたちの表情は真剣で、
ひたすら私の手を見つめ続けていたことが印象的でした。
そして、もちろん子供たちも一緒に歌ってくれた聖歌のことを私は生涯忘れませ
ん。
この時の経験が、今回の挑戦の土台にあったかもしれません。
思えば手話で歌う、それはすばらしい経験、
思えばダンス・・・しょんぼり、この思いがつながって、
今回のとりあえず「やってみよう」になったのかもしれません。
まさにふりかえってみて、思えばです。
今回参加者の皆さんから「やってみたい」の新たなアイデアのお声もいただき
ました。
今回の「ダンスやってみた」から、
新たなやってみたいがそれぞれの心の中にムクムクと生まれたようです。
10月25日に配信した「やりたいことをやるために! 私と編み物物語」は、
まさにこの企画がきっかけでご寄稿いただいたレポートです。
大会はエネルギッシュで、ナチュラルハイになる方もおられるようですが、
その力をキープして実際に「書いてみた」の形が色鉛筆になったのです。
色鉛筆のライターさんの力、つながりの力をありがとうございます。
というわけで私の中にも新たなムクムクが大会後、生まれています。
思えば、ふりかえればのところ、手話で歌うのところです。
たまたま機会があり、この秋2度聖歌を手話で歌いました。
別の場で別の聖歌でやりました。
手話は見えないけど、自分の手を動かして形を感じて、動きの中の意味を体感で
きるのがうれしいです。
手話は見えない言葉だけど感じられる言葉なんです。
歌うことが好きな私は、その楽しい時間の中に
もう一つのうれしいエッセンスをプラスすることができました。
見えない言葉、手話に出会えてよかったなと、じんわりの秋です。
ダンス思えば・・・からスタートして、とりあえずやってみて、
それがきっかけで「私ね、こんなふうにやってるよ」を伝えてくださって、この
色鉛筆という場があって、ほんまによかったなあ。
次は何に挑戦しようか、またフツフツムンムンの私です。
編集後記
9月6日発行の345号「あなたもわたしもダンシング」のつづきのレポート
、やってみたらこうなったのですね。
~ やればできる、やるかやらないかだけ、
やってうまくいかなかったら、また考えたらええやん
… こう書いておられました。
見えない・見えにくいのはたいへん、でもこう思えなくて力がわいて来ないのは
もっとたいへんなのかも知れません。
大きな大切な、このわいて来る力を人は持っているんだよ。
このことがすごく伝わって、だからあったかいものを感じて感動したんだろうな
、と思ったのですが、みなさんは何だと思いますか。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2024年11月29日
☆どうもありがとうございました。