メルマガ色鉛筆第347号「書いて読んで、そして」

タイトル 書いて読んで、そして
メルマガ色鉛筆編集チーム
こんにちは。
メルマガ色鉛筆編集チームです。
今回は「壊」という文章と、それを読んだ方の文章をお届けします。
「壊」は読む人によっては
「いったい何があったの?」と心配な気持ちになることもあるようです。
また、闇がありそこはかとなく光もある文章だと感じることもあるようです。
書いて、そして、それを誰かが読んで、
そしてそこから生まれる思いを色鉛筆で共有します。
タイトル 壊
ペンネーム 白か黒か(50代 女性 弱視)
 何か新しいことをはじめようとする時、
あなたはまっさらな場所をイメージするかもしれない。
それは、新しい扉や、ひらけた場所や、新品の道具など、
白いイメージに包まれた世界かもしれない。
 でも、人が何かをはじめる時、
それは人生の途中でのことで、おそらく何らかの岐路に立って考えて進む一歩の
はずだ。
そう考えると、「新たな」という言葉がもたらすイメージは、
必ずしも白いわけではないだろう。
それは、すでに歩いてきた道のつづきだったり、
今あるものの上に積み重ねるものであったりするのだから。
だとしたら、何かしらの色が加わった世界ではないだろうか。
 また、別の角度から考えてみる。
これまでのことをすべて捨てて、まったく新しい場所で、
はじめての人間関係の中での一歩だとしたらどうだろう。
これまでのこと全部、積み重ねてきたものも放り出して、
信じて見つめつづけたものもすべて捨ててのことだとしたらどうだろう。
それはそれで白いイメージなのかもしれない。
でも、まばゆい白さとはちがう、灰色がかった白のイメージだ。
それはこれまでの自分と別れをつげることをも含むから。
だとしたら、それは壊すこと、その勇気をも含んでいるのだろう。
壊すこと、それはとても怖いし、
もしかしたらこれまでの自分をすべて否定することになるかもしれない。
でも、それでも、あえて、そうするのだとしたら、
そうしてでも生きると決めたのだとしたら、
それは勇気ある一歩だ。
壊す先には何があるのだろう。
壊すことで、開くものがあり、
結ばれる縁があることを祈る。
壊して進む明日を、そこにおだやかな白い世界があることを祈って。
ーー
タイトル 「壊」を読んで
ペンネーム 北のグリーンティー(50代 男性 弱視)
最初読んだ時は、凄く難しい話のように思えた。
何度も読んでいると、今の自分に置き換えることができた。
私は10月から会社に復帰する。
現場作業しか経験がない私は、
事務所での作業がとても不安だ。
 新しい机、新しいパソコン、新しい環境、
僕にとって新しい職場のイメージも、真っ白な世界かもしれない。
 しかし、係が変わっても周りには今までの仲間もいるし、
新しい係の人も、話をした事が無いと言うわけではない。
そう考えると、真っ白な世界ではないような気がする。
新しい場所、少しずつでいいので、自分なりに自分の色に変えられたらいいと思
う。
何か一つでも、自信の持てる事を身に付ければ、
それが不安を解消してくれるだろう。
たとえ少しでも。
 これからのこと、見切り発車かもしれない。
新しい職場の人や支援者さんの力をかりて一歩踏み出す。
最初は、教えられた事を手順通りにする。
わからない事は、周りに聞いたり支援者さんに教えてもらい、
壁を破壊しながら、一歩づつ前に進めたらいいじゃないか。
そんな甘い考えを持ちながら、僕はゆく。
 10月からの準備として先月、支援者さんと会社に行った。
皆の前で、自分のパソコンで音声を聞きながら話した。
しゃべるのは、見事に失敗した。
しかしながら、何人かの人が「○さんパソコンの電源入れられるようになったん
や」とか
「こんなに文章打てるんや」とか、音声のパソコンにも興味を持ってくれた。
三カ月間、視覚リハ施設に入寮して学んだ事が
少しでも皆に伝わったようだ。
恥ずかしくもあるが、少し安心した。
 「壊」を読んでの感想のつもりが、
いつの間にか「壊」は僕への応援のメッセージに聞こえてきた。
僕の勝手な思い込みかもしれないが、
それが何度も「壊」を読み返した僕の素直な気持ちだ。
編集後記
 色鉛筆は来月で12年目になります。
これまでたくさんのライターさんが体験や思いを語られました。
そして、全国のたくさんの方のもとで、さまざまな思いが生まれました。
さらには、お隣さんとのおしゃべりのきっかけになったりしてきました。
「壊」というタイトルで語られた思い、
それを読み返す中で生まれたものは
自分との対話でした。
まさにこれが色鉛筆が積み重ねてきたこと、大切にしてきたことです。
あるがまま、そっと寄り添う、
そして、誰かの思いにふれながら、自分とおしゃべりする、
そんな色鉛筆の時間、ゆるりゆるりとこれからも。
 -- このメールの内容は以上です。
発行:  京都府視覚障害者協会
発行日:  2024年10月11日
☆どうもありがとうございました。


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