メルマガ色鉛筆第344号「お風呂でまったり」

タイトル お風呂でまったり
メルマガ色鉛筆編集チーム
 こんにちは。
メルマガ色鉛筆編集チームです。
いつもメルマガ色鉛筆をご愛読賜り、ありがとうございます。
 そして、編集チームにレポートへの感想コメントを寄せていただき、
ありがとうございます。
創刊時は24名のライターでスタートしたメルマガ色鉛筆、
これまで140名を超える方にご寄稿いただきました。
ライターさんから、「勇気を持って書いてよかった」というお声や、
「読んでくださった方のお声を拝聴できてうれしかった」というお声をいただい
ています。
また、「この間の色鉛筆のあれね、読んでて~だったよ」とか
「お友達ともあのレポートの話題でおしゃべりしたよ」なんてエピソードを、
編集チームに直接伝えていただくこともあります。
 というわけで、今回は「お風呂」をテーマに創作された物語に、
感想コメントをつけてお届けします。
物語を書いた人と、読んだ人との小さな交流です。
メルマガ色鉛筆から生まれるひとときをそのままお届けします。
タイトル あわ色
ペンネーム ももいろスキップ
 お風呂場の片隅で忘れられた存在のぼくは今、家出を計画中だ。
どうせぼくなんかこの家からいなくなったって、きっと誰も困らないし、
ぼくがいなくなったことにすら気がつかないだろう。
一刻も早くここから消えてしまいたいほど、ぼくは孤独なんだ。
 一昔前のぼくは、洗面所やお風呂場で毎日のように大活躍だった。
「ただいま」と帰ってくると洗面所に直行して、
ぼくを両手でやさしく包んで手を洗ってからがおやつタイムだった。
お風呂の時だって身体中をアワアワにして、一日の汚れと疲れをきれいに洗い流
した。
それなのに最近の洗面所やお風呂場には、ハンドソープ?ボディーソープ?
なにがワンプッシュだ!
あいつらのせいで、ぼくの出番がすっかりなくなったんだ。
「こんな家出ていってやる」と、大きく息を吸い込んだ後、僕は排水溝に飛び
込んだ。
頭も足も右も左もなにがなんだか分からないまま、激流に身を任せた。
目が覚めると知らないおじさんがぼくをつかんで、ハゲ頭と顔を直接ゴシゴシ
して、
泡だらけになっていた。
どうやらここは誰かのお風呂場みたいだ。
「うぉぉぉ」と、なんとも不思議な声を出して気持ちよさそうだ。
おじさんは少し乱暴だったけど、ぼくは久しぶりの出番がうれしかった。
おじさんはそのままタオルにぼくをこすりつけて、今度は全身を洗い始めた。
タオルはちょっとゴワゴワで堅かったけど、
とにかくぼくが役に立っていると思うだけで、最高の気分だ。
おじさんと仲良くなったぼくは、二人で一緒にお湯につかりながら歌を歌った。
久しぶりに元気になったぼくは、うれしくて何曲も何曲も夢中で歌った。
おじさんと二人、ほんわかした暖かい時を満喫していたぼくは、
孤独で寂しかった時のことを泣きながら聞いてもらったりした。
おじさんも商売で失敗した話を聞かせてくれた。
おじさんともっと仲良くなりたくて、ぼくたちは時間を忘れてしゃべり続けた。
ぼくたちはどのくらい湯船につかっていたんだろう。
ぼくはなんだか眠くなってきた。
頭もボーッとしてきた。
フワーッとした幸せな気分のまま、
ぼくはおじさんの手の中で、吸い込まれるように溶けて消えた。
ーー
 ももいろスキップさんの「あわ色」への感想です。
「ぼくはおじさんの手の中で、吸い込まれるように溶けて消えた」、
この最後の1文を読んで、あたたかい気持ちになりました。
もちろん、ちょっと切ないんだけど。
 独りぼっちって、つらいですよね。
目が見えるとか見えないとかより、もっともっとつらいのは
独りぼっちだってことじゃないかな。
どんなにがんばっても、だれかといても独りぼっち、それってとってもつらいこ
とです。
一人暮らしでもさみしくない人はいるかもしれません。
誰かと一緒に暮らしていても、さみしい人だっているかもしれません。
朝起きてやることがあって、それだけで幸せ、
そうなのかもしれないけど、ふとした時、
ああ、つらい、独りぼっちだ、そう感じることってあるのかな。
私は毎日やることがあって、体も心もしんどくて、
それでもやらなきゃならないことがあるのはいいことだって思ってるけど、
時々、ああ、つらい、独りぼっちだって思うことあります。
この「あわ色」を読んで、
そんなこと、そんな自分のことを考えました。
「なんで、そんなこと言うんだよ」って誰かに突っ込まれそうだけど、
だって、ほんまやからしょうがないねん。
若くても年老いても、家族がいてもいなくても、
ああ、つらい、そんな気持ち、どこにでもあるんとちゃうんかな。
ああ、顔洗いたくなってきた。
小さくなってるけど、がんばってレモンの香りで癒してくれてる石鹸、
ちゃんと今日もすりすり仲良ししようかな。
ももいろスキップさん、ありがとう。
 -- このメールの内容は以上です。
発行:  京都府視覚障害者協会
発行日:  2024年8月23日
☆どうもありがとうございました。


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