活動紹介
メルマガ色鉛筆第343号「雨上がりに」
タイトル 雨上がりに
メルマガ色鉛筆編集チーム
こんにちは。
メルマガ色鉛筆編集チームです。
今回のテーマは「雨上がり」です。
いろんな「雨上がり」の文章が届きました。
すると、いろんな「雨上がり」のシーンが出てきました。
なつかしい思い出、見えていた頃のこと、
見えない中での思い、人生と重ね合わせてのこと、
「雨上がり」という言葉から考えてみたこと。
雨上がりから生まれた4つの文章をお届けします。
タイトル 「いつか虹をみてみたいなぁ!」
ペンネーム 白いTシャツ(男性 全盲)
ある日、雨がふっていた。
雨音が窓越しに聞こえていた。
いつの間にか外が静かになった。
「きれいな虹が出ているのかな」
窓を開けてみた。
昔、絵の中で虹を見たことがあるけど、
もし、叶うなら本物の虹を見てみたい。
タイトル 小さな願い
ペンネーム ももいろステップ(女性 全盲)
降り続いていた雨がやんだ夕方、
近所の仲良し四人組は長靴を履いて大集合。
道のあちこちに大きな水たまりを見つけては、
長靴のままバシャバシャ歩き回るのが雨上がりの楽しみだった。
夢中でバシャバシャしていると、
私の長靴の中には毎回水が入ってきて、
グチャグチャといやな音をさせながら、
足も靴下もビショビショで泥だらけ。
「きゃ~、気持ち悪いよ」、
半分喜びながら大盛り上がり。
「大人になったら足も靴下も汚さないで、上手にバシャバシャできるかな?」
なんて考えながら、水たまりでスキップスキップ。
タイトル 人生の歩み、季節に重ねてふりかえる
ペンネーム 藤紫すき(女性 弱視)
私の人生、思えば、急にお天気が変わるがごとく目まぐるしくさまざまなこと
が起きた。
流れゆく季節に重ねながら人生をふりかえってみた。
人生のはじまりは春、わくわくだけでなくほんわかした季節、ただ無垢な時間だ
った。
私に与えられた春は刻々と過ぎていった。
そこにはあたたかな日差しがあり、ストレスもなく、おだやかな時間があった。
思い返せばそれは人生のうちの短いひとひらだったのであろう。
人生を季節に、お天気に例えてみる。
幼い頃は春の霞のよう、なんともアバウトな記憶しかない。
人生における夏はどうだろう。
雨も激しく 時には雷も。
晴れれば猛烈な日差しで気温も湿度も変化が激しい。
ふりかえれば人生一番の激動期だった。
体力も気力もフル回転。
生活も一番あわただしく、生き生きしていた。
一方、心が壊れそうにもなった。
仕事、人間関係、環境の変化、経済的困難、出会い、別れ
突然の、必然のさまざまな出来事。
まさに 真夏の雷雨のような出来事が次々とあった。
ずぶ濡れで歩むことも困難だった。
そんな窮地、雨上がりを待った。
助けや知恵を駆使し困難から脱出できた。
まさに雨上がりに安堵した。
今 私の人生は穏やかな秋を迎えている。
激しかった夏の夕立が上がって ほっとしている。
しとしとと降る秋の長雨のような肌寒い困難はこれからもあるだろう。
それでも、いつかは雨はやむもの。
さらに、人生の歩みが進み、季節が流れ、寒さに包まれる冬を迎えたとしても、
自らの心をあたたかく、ゆったりと、穏やかにして過ごしていきたい。
タイトル 雨あがりの法則
ペンネーム 銀河のどこかで貴方と雨宿り(女性 弱視)
雨上がりはあるけど、雨下がりはない。
昼下がりはあるけど、昼上がりはない。
ものごとには上がったり下がったりするものと、
一方向にしか流れないものがあるのかもしれない。
雨上がりはあるけど、曇り上がりはない。
晴れ上がるとは言うけれど、晴れ上がりとは言わないような。
病み上がりはあるけど元気上がりはない。
仕事上がりはあるけど休憩上がりはない。
「上がり」には、辛抱からの解放の意が込められているのかも知れない。
それでは「お風呂上がり」は?
お風呂はさっぱりいい気持ち。
でもそういえば、と思い当たるのは、10まで数えて解放された幼き日。
ちょっとの辛抱がその後の爽快感につながると
繰り返し、繰り返しの中で身体が覚え、
いつしか人は人生においても、
辛抱のうちに楽しみを見いだす力を得るのかもしれない。
降り出した雨はいつしか上がる。
すごろくは「振り出し」で始まり「あがり」で終わる。
人生とは、そぼ降る雨の中にささやかな幸せを見いだす過程なのかもしれない。
へい、「雨上がり」の文章、一丁あがり!
編集後記
「雨上がり」、この言葉からどんな場面が思い浮かぶでしょう。
どんなことを考えるでしょう。
若き日の自分、遠い日のこと、
愛しい時間のこと、心さみしくなるようなこと、
皆さんの心にある「雨上がり」はどんなものでしょうか。
今回、一つのテーマからひろがる世界を共有しました。
雨上がりにたわむれること、雨上がりから動き出すこと、
色鉛筆でまたいつか。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2024年8月2日
☆どうもありがとうございました。