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活動紹介

メルマガ色鉛筆第10号(ゆっくりゆっくり私とおしゃべり 気付けば可能性はすぐそばに)

タイトル ゆっくりゆっくり私とおしゃべり 気付けば可能性はすぐそばに
ペンネーム クリスタルスノー(30代 女性 全盲)
レポートの要旨です。
私は人は心に小さな水晶のかけらを持っていると思います。
胸を刺す痛みはきっとかけらが動いて胸を刺すからなのでしょう。
そのかけらがいつか雪のようにとけて、心や胸の痛みが消えることを願っています。
見えなくなって20年、自分の心とおしゃべりした時間を振り返ります。
ここから本文です。
初めまして。クリスタルスノーと申します。
私は病気によって突然全盲となった30代の女性です。
見えなくなって20年近く経つといったところでしょうか。
若く多感な折に光を失ったためなのか、ようやく心が落ち着いてきたと思ったらこんな年齢になっていました。
 心は案外と頑なで脆弱なものです。
不慮の事象に遭遇すると、いきなり熱湯を注がれたガラスコップのように急激な変化には耐えられずに割れてしまうのです。
それを修復するには、そのガラスコップを完成させるために要した時間と同じくらいの時間を要するのだと私は知りました。
もうすぐ見えなくなって20年、その時間を振り返ってみました。
 見えない事実を受け入れることは本当に難しいですね。
かつて、見えないという苦しみや悲しみは、私の心まで盲目にしていました。
例えば料理することにしてもそうです。見えなくなった当初、私は「もう包丁を持ったり、火を使ったりするなんて無理。」と勝手に思いこんでいました。
でも、「見えない=出来ない」じゃなくて、「見えない=工夫する」なんですよね。このことに気付くにはやはり時間が必要でした。
今ではIH調理器を使ったりピーラーやスライサーなど道具を上手く利用して、好きだった料理を楽しめるようになりました。
物事は一方向からだけで捉えていると考えは固まって、人を盲目にしたり頑なにします。
いいえ、今だってその波に飲み込まれそうになることがしばしばあります。
でも、見方を変えればいつだって可能性はすぐそばにあるんですよね。
 そんな私に気づきを与えてくれたのが、いつの頃からか始まっていた私自身との対話です。
おかしな話ですが私にはこの対話が良かったようです。
憤りや苦しさの原因に気づいたり、少し気持ちが穏やかになれたり・・・。
そうして大抵の原因が自分にあることが判って、またイライラしたりしてを繰り返してます。
そうした自分自身への問いかけを、今でもずっと繰り返しています。
人間、悩みは尽きないものですね。
それでも結局私は毎日私と生きていかなければならないんですよねえ。
きっと私を大切にしてあげられるのは私だけなんでしょう。
自分を大切にできないのに、誰かを大切になんてできないのでしょうね。
 最近は今日を生きていることが大切なんだと思えるようになってきました。
毎日世界中で多くの人々が命を落としています。
その要因は病気や事故・戦争や食糧不足など様々です。
だからこそ、今日一日を生きるとは本当にかけがえのないことなのです。
 生きるって苦しいですし、悲しくて辛いです。
小さなことで嬉しくなったり傷ついたりします。
でも、そのかけがえのない今日を私は与えられているのです。
 人は誰もが心に決して完全には溶けない雪のような水晶のかけらを持って生きていると思います。
そのかけらは不意に動いて胸を刺し、私達の心を苦しめたり悲しませたりするでしょう。
それでも、生きているって素晴らしいことなのです。
 私は不完全でゆっくりゆっくりしか進めません。
一歩を踏み出すことは怖くて、動けないこともあります。
だから、踏み出しかけて止まったり、また引き返したりします。
すぐに勇気ある一歩が踏み出せなくてもいいと、私は思っています。
きっと、そうして葛藤しているうちに何か見えてくるものがあるでしょう。
全盲になった当初の私と、あれから20年弱を経た今の私。
変化していないと思うけれど、確かに変わっているところがあります。
だから、これからも気づいたら少し変わっていたくらいのペースで歩いていきたいです。
明日も、明後日も、ゆっくり、ゆっくり私とおしゃべりしながら。
遠回りをしたり立ち止まったりしながら。
いつかの私が少しプラスになっていることを願いつつ。 ・・・
編集後記
 ゆっくりと進むこと。それは単に遅いというだけじゃありません。
クリスタルスノーさんが、自分を大切に、対話をしながら、ていねいに進まれてるように、ゆっくりとは良いことのたくさんつまったものなのだと思います。
 自分との対話は自分の中でやってるのに、どうしてか、広い世界にも導かれますね。
水晶のかけらも、心の中にあるのに、それが他の誰かとふれあって力を発揮する、ということもあるようです。
 さあ、また新たな一日ですね。
ーー このメールの内容は以上です。
発行:  京都府視覚障害者協会 
発行日: 2014年3月20日
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