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メルマガ色鉛筆第278号「窓辺にて5」

タイトル 「窓辺にて5」
メルマガ色鉛筆編集チーム
 こんにちは。
メルマガ色鉛筆編集チームです。
4月よりスタートした「窓辺に手」、連載第5回です。
タイトルをしりとりでつなぎながら、いろんなジャンルの文章が登場します。
これまでに、「点字、地味、ミミ、ミント神戸、ベル、ルビーの指輪、
わらび餅、ちょっとだけよ、夜遊び、Vivid、どないしょー!」の
11作をお届けしました。
そのバトンを受けて、今月は「小革命」、「いい子にしてなきゃ」と
タイトルがつながれました。
窓を開いてひろがる世界、
見えない・見えにくい中でひろがる世界をお届けします。
タイトル 小革命(しょうかくめい)
ペンネーム 空色気分(40代 男性 弱視)
 タイトルに政治的な意味合いはありません。
ただ最近私の生活に小さな革命ともいえる変化が起きたので、
こんなタイトルにしてみました。
 その変化とは何かといいますと、
40代後半にして初めてスマホを購入したということです。
 12、3年前に視力の低下により仕事ができなくなり、
障害年金だけで生活しなくてはいけなくなった私は、
少しでも生活費をきりつめるために携帯電話(ガラケー)を解約しました。
 しかしそれ以降の約10年は、人との交流もほとんどなかったので、
携帯電話の必要性もなくなり、何ら不便さを感じていませんでした。
 そんな私が、
1年前から京都ライトハウスに点字とパソコンの訓練に通うことになりました。
(この生活の変化も小革命といえるかもしれません)。
 驚きだったのは、そこに通っている視覚障害のある皆さんが、
スマホを器用に使いこなしていることでした。
私の知る限り、スマホを持っていないのは私だけでした。
 同じ訓練を受けている人にスマホを見せてもらうと、文字が自由に拡大でき、
白黒反転にするととても見やすく、音声でも読み上げてくれて、
視覚障害のある人にも「優しい」ことを知りました。
これなら自分でも使えそうだと思いました。
 また、弱視の人と京都駅で待ち合わせたとき、お互い視力が弱いので
落ち合うのに苦労したことがありました。
そのときも、やっぱり携帯電話はあった方がいいなと思いました。
 そんな中、タイミングよく年金が増額されることになったので、
私はスマホを買うことを決意したのでした。
格安スマホにしたので、結果的に月額料は固定電話より安くなったのです。
 というわけで、遅くしてスマホユーザーになった私。何でも調べられますし、
音楽も聴けるし、とても便利です。
 しかし、固定電話癖といったらいいのでしょうか、私は普段は
スマホを家に置いて出かけます。
私にとってスマホは、すごく便利な固定電話、という感じです。
ー-
 スマホはとても便利な固定電話、
新たなスマホの価値の提案ですね。
便利さからいつも手にはスマホ、イヤフォンや画面の拡大に時間を注ぐことで、
逆にスルーしてしまっている情報が周りにあるかもしれません。
それはちょっとした風のささやきだったり、窓の外の風景だったり、
見えない見えにくいなりに感じていたかつての何かなのかもしれません。
あえて「スマホお留守番デー」を作る小革命、目や耳をスマホから解放する日の
提案、
想像するだけでちょっとワクワクします。
タイトル いい子にしてなきゃ
ペンネーム マーブルグレー(30代 女性 弱視)
白杖を持つようになって約4年。
それまでは白杖を持つなんて考えられなかった。
『自分は障害者です』
と、言いふらして歩くなんて。
『自分は障害者なんだ』
と、思い知らされながら歩くなんて。
だけど、徐々に徐々に見えにくさに蝕まれ、
白杖に手を伸ばさざるを得ない状況になり、
今では単独移動には欠かせないものになった。
おかげで行動範囲は広がったし、
店員さんの助けを得やすくなって買い物しやすくなったり、恩恵がたくさんあっ
た。
でもやっぱり、白杖を持つことはいいことばかりじゃなかった。
日頃からバスをよく利用する。
ありがたいことに、運転手さんや乗り合わせた人たちの優しさに触れることが多
い。
『段差あるから気を付けてね。』
『ここ、席空いてますよ。』
なんて、声をかけてもらう。
同じくしてこんな風に声をかけてもらうこともある。
『Aバス停で降りるんやろ?』
『○○番のバス来たで。』
『こないだも一緒に乗り合わせたわね。』
一見なんの変哲もない優しい言葉に聞こえるが、
『Aバス停で降りるんやろ?』
と、言ってくれたおじさん。
初めて喋ったのに、なんで私の降りるバス停知ってるの?
『○○番のバス来たで。』
と、言ってくれたおばちゃん。
初めて喋ったのに、なんで私の乗りたい系統知ってるの?
『こないだも一緒に乗り合わせたわね。』
そうだったんだ。私、それ、知らない。
あぁ、そうか。
白杖持ってるもんね。
そりゃ目立つよね。
私からは見えていないから、おじさんのことも、おばちゃんのことも知らないけ
れど、
みんなからは私のことよく見えてるんだよね。
 だとしたら、自意識過剰と言われてしまえばそれまでだけど、悪い考えをすれ
ば、
後をつけられて自宅を特定されていてもわからない。
スカートの中を盗撮されていてもわからない。
汚れたお皿で料理を出されてもわからない。
ナニカワルサヲサレテモ、ハンニンノカオモ、トクチョウモワカラナイ
目立つことが助けとなり
目立つことが仇となる
あぁ、いい子にしてなきゃ。
いつ何時、誰に、どんな風に見られているかわからない。
もし、私が粗相をしてしまったら、白杖を持っている視覚障害者みんなを一括り
にして
悪く思われてしまう可能性だってある。
品行方正で、愛想よく、いつでもニコニコして、ハキハキ、謙虚に。
変な人に目をつけられないように、なるべく目立たないようにしなくちゃ。
いい子でいなくちゃ。
あぁ、息苦しい…。
"視覚に障害があるだけの、ただのそこらへんの人なのに"
今日も白杖と一緒に外出する。
 安心と恐怖の狭間を白杖で探りながら。
ー-
「白杖を持ったほうがいいですよ」
この言葉にふれて、「まさにそのとおり、今すぐ持ちます」
と一歩踏み出した方もおられることでしょう。
「まさにそのとおり、・・・」
といろいろな状況を思いめぐらせ、立ち止まり考えられた方もおられるでしょう

そして、「まさにそのとおりではあるけれど、ただのそこらへんの人なんだけど

と複雑な思いとともに白杖を手にされている方もおられるでしょう。
 白杖を持った人にしか体験できない肌感覚があります。
理屈抜きにドロドロ・モヤモヤ・ぐちゃぐちゃした感覚が全身にひろがります。
この肌感覚を文字に起こす、それってしんどいことではなかったでしょうか。
マーブルグレーさんはお仲間さんからバトンを受け取り、
伝えたい思いを言葉にすることのもどかしさと難しさを体感されました。
 さて、次回の窓辺から、どんな世界がひろがっているでしょうか。
シリーズ第6弾でご一緒しましょう。
 -- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2022年9月30日
☆どうもありがとうございました。
 

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