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メルマガ色鉛筆第271号「どんなもんレクリエーション」

タイトル 「どんなもんレクリエーション」
メルマガ色鉛筆編集チーム
 世の中にあるたくさんの種類のレクリエーション、そのほとんどは目が見えることを前提にしています。
そんな世の中を生きる私達が、レクリエーションをするのはどんなものでしょうか。
見えない・見えにくい仲間から体験や思いを聞きました。
おもしろい・微妙・だめだめ、いろいろあります。
 今回は成功談でなく、成功とはいかなかったかぁ、という話や、これからやってみたい話。
かめばかむほど味がする、するめレポートです。
★絵を描こう
見えにくい私は絵を描くのに苦労していた。
思えば図工や美術の絵画では、必ず画用紙は1枚しか配布されなかった。
一度おかしなことになると、もう修復はできなかった。
 今、気づいた。
1枚しかなかったのがよくなかったんだな。
 1人ではきびしいところをサポートしてくれる人とペアでイラスト、やってみたいな。
何枚もやりながら実験しながら、やりなおしながらだったら、自分の頭の中のイメージのものが描けるだろうか。
時間をかけながら、自分のイメージの色を誰かに伝えながら、それをパレットでつくりながらやれたら、色がわからなくても、絵がちゃんと見えなくても、まあまあなものは描けるのかもしれない。
もし、最初に描くならどんな絵にしようか。
大輪のひまわりに
麦わら帽子をかぶせて、
風で帽子のリボンがなびいている、
★やっぱり音楽、ピアノを弾こう
 楽器を弾くことに憧れを持っていた私は、一番好きなピアノを習い始めた。
ピアノは、二つの手で複合的な素晴らしい音を奏で、その音色や響きは心に様々な風景を思い起こしてくれる。
 楽器は練習が大切、さあ練習。
しかしながら、楽譜のオタマジャクシは小さく見ずらく読めない。
視野狭窄の進行と共に楽譜を見てると鍵盤が見えない。
鍵盤を見ると楽譜が見えない。
 通っていたレッスンを事情でしばらく休むことになり、練習する余裕もなくなり…。
憧れに手は届かなかった。
★歌う楽しみをみんなと作れたらなぁ
月1度みんなで集まってアカペラで歌う。
それぞれのパートの音源を配布して、各自で事前練習。
集まった時には一緒に歌ってみる。
事前に他のパートの音源に合わせてハモリ練習もして。
みんなできれいに歌えるようになる。
 練習の後はおいしい食事会。
個室で、自由に歌うのもありな感じのゆるゆるで。
 やれてないのはコロナのこともあるけれど、呼びかけてしきるエネルギーが足りてない。
★外国語で交流
 点字の訓練が、ホンジュラスから来ている女性といっしょだった。
彼女の母国語はスペイン語。
でも日本語ペラペラ。
でもせっかくだからと少し教えてもらうことにした。
スペイン語を話せるようになりスペイン旅行をするのが夢になった。
 NHKのスペイン語講座初級やYouTubeの無料の講座で毎日ちょっとずつ勉強した。
初級とはいえだんだんレベルが上がって難しくなり、ついていけなくなった。
テキストも読めないし、画面のどこかに字幕というのか説明が出ていても読めない。
それさえ読めればついていけるかもと悔しくなる。
いくらやってもそれ以上進めないことにイライラして投げ出してしまった。
お金を使わずにスペイン語をマスターするのは無理なのかな、とあきらめた。
同時にスペイン旅行もどこかに飛んで行った。
 今、もう一度挑戦したいな、と思っている。
★見えにくくなり山歩きは
 よく山歩き、いわゆるトレッキングと言うものをやっていた。
見えにくくなってからはあきらめた。
 白杖持っての山歩きは無理だろう。
仲間たちと一緒ならあしでまといになるし、気も遣う。
景色も見えなかったら楽しくないだろう。
 自然のなかをマイペースで自由気ままに歩けたらいいんだけどな。
★遠いアルプスと近いハルカス
 アルプスや南アルプス、北海道の大雪山系統などに登りたい。
槍ヶ岳や穂高のてっぺんに立ち、雲海を眺め、風にあおられ、太陽を見上げ、地球が作り出した荘厳さを体いっぱい感じたい。
 でも、これは夢のまた夢。
もう山道は、視野狭窄や見えにくさの為歩けない。
山は、持久力、筋力、集中力、判断力、そして広い視野と視力が欠かせない。
命に関わる滑落事故に直結する。
 4月始め、孫と行った「あべのハルカス」はエレベーターで展望階まで一瞬。
そこではるかに霞む生駒山や大阪湾を眺め、下界の点のような人やミニカーを見て、鳥の眼になった気分を味わった。
 新しい事に挑戦するのは何歳になってからでも遅くないというが、「山ガール」の夢は無茶と自覚し、せめて小高い「丘ガール」に、たまには「タワーウーマン」になり、人生を楽しみたい。
★恐怖の肝試し
 苦労した、難しかったレクリエーションといえば、小学5年生のときの2泊3日の野外学習での肝試しです。
 夜、幽霊(先生たち)が出る山道のコースを一周するものでしたが、これは夜盲症のある私にとっては難関でした。
仲の良かった友達の服をさりげなくつまんでついて行ったのですが、段差がどこにあるのか分かりませんし、下手すると崖から落ちてしまうので、私だけみんなと違うスリルを味わっていました。
友達に「引っ張るなよ」と言われながらも、なんとかゴールしたときは、心底ほっとしました。
★キャンプでもあるある
 やってみたいことはアウトドアの1つ、キャンプです。
 野外でカレーを作ったりバーベキューをしたり。
 しかし初めての場所ではたいていお客さんでいるはめになるのです。
周囲の様子がわからずどう動いていいのか自分が何をすればいいのかわからないまま進んでいき、足手まといにならないように端の方でてきぱきと動いている人を見ながら気を遣うばかりで楽しめていないんです。
 青空のもと、カヌーで河を下ったりできたら気持ちがいいだろうなあと思います。
編集後記
 楽しむこともできなくなる。
見えなくなる苦しみの1つはこれだと思います。
それを打ち破ることは果たしてできるのか。
 やってみたけどできなかったよぉ、というとき、やってみたけどいまいちだったよぉ、というとき、本当は大成功して脚光を浴びているときよりもそのようなときのほうが命は輝いているものです。
 思い描いているやりたいことが、これから現実となるのだろうか、いや無理だろうか、どこまでなら行けるだろうか、とあれこれ考える。
そんなとき、生きている自分、過去・現在・未来を進んでいる自分を感じませんか。
どうにかこうにかいろんなことの、見えない・見えにくいことも含めていろんなことのバランスが取れて、楽しさを味わうことができるよう、願っています。
声をはり上げ拳を振って応援しています。
 -- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2022年7月15日
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