活動紹介
メルマガ色鉛筆第246号「弱視あるあるを共有するシリーズ第7弾」
「弱視あるあるを共有するシリーズ第7弾」
タイトル いつもはできるのに、なんでやねん
メルマガ色鉛筆編集チーム
こんにちは。
メルマガ色鉛筆編集チームです。人気の弱視あるあるを共有する企画、久しぶりの登
場です。
実は書籍『見えない地球の暮らし方』を眼科のロービジョンケアで手にされたご家族
さんから、「これ、あなたが書いたの?」と弱視の娘さんに連絡が入ったそうです。
そのレポートはこの娘さんのご寄稿ではなかったのですが、まさにそっくりな弱視あ
るあるだったようです。
見えにくい本人である娘さんから、「これ私が書いたのかな?」なんて不思議ちゃん
コメントも飛び出しました。
書いたおぼえはないけど、あまりにそっくり過ぎて書いた気がするのだとか。
こういうくるりと回ってのあるあるエピソードに触れて、編集部も元気をもらいまし
た。
「どうやらひとりじゃないみたいね」と、そっと肩に手を当てるような心持ちになり
ます。
語り手の深紅さんの弱視あるあるに、聴き手のブルーグレーさんが声をかけます。
文字は見えるけど視野が狭い、そんなお二人の「いつもはできるのになんでやねん」
をお伝えします。
★語り手さん 深紅(70代 女性 緑内障)
私は、視野が狭いがまだ中心視野があり、できる事も多い。
よく晴れた日中に外に出かけると、目の前を見てさっさと歩くことができる。
体調の良い時に前だけ見て歩いていれば、友人より速いくらいだ。
朝は、目も元気で地下鉄駅の短い階段は、上がり下がりは歩いてできる。
乗換駅で上から降りてくる人を確認して階段を上がり、平面のコンコースに直角に曲
がる時、人と出くわしびっくりして足を踏み外しそうになり、ヒヤッとした。
いつもはあまり問題なくできているのに要注意だ。
同じく階段だが、場所・時間・明暗によってできなくなったなあと感じる箇所がい
くつもある。
家の階段を降りる時に電気をつけてあっても、暗く見えにくく最後の階段を踏み外す
時がある。
それでどっどと滑り落ちるのでドキッとして、とても怖い。
家の階段を降りる時は、そろそろと手すりを持って降りている。
外では、近所の道路の階段の下2段部分だけに手すりが切れてなく、階段が終わり平
らな面と思い足を踏み出したら、どどっとこけそうになった。
マクドの玄関前の段差で転倒し、左肘関節を骨折し、手術入院したこともある。
本当に痛い目にあっているので段差、階段には要注意で向かっていきたい。
ーー
★聴き手さん ブルーグレー(20代 女性 網膜色素変性症)
私は見え方は矯正視力0.5、視野狭窄のため中心だけが見える状態です。
慣れている場面だと、ながら作業をして失敗してしまうことがあります。
部屋の中でも、ついテレビを見ながら物を運んだり、移動してしまうことがあります
。
自分で足元に物を置いていたことを忘れてつまづいたり、ハラハラすることがありま
す。無意識は怖いですね。
普段気を付けていることは、机の上にあるものの位置を確認することです。
机にものを置いたり、拭く時には「ちょっと注意」を意識しています。
しかし急いだり他のことに気を取られていると、コップに気付かず手が当たり、ぶっ
ちゃかしてしまうことがあります。
そんな時はついため息が出ますが、同時に次から気をつけようと気持ちが締まります
。
病気自体は高校2年生の時に発覚していましたが、見えにくさを自覚できず健常者
の方と変わらない普通の生活を続けていました。その頃は怖がりもせず道を走り回っ
たり、せっかちな所もあるので早歩きをしていました。
今は正面、左右、足元に注意を払っていないと、自分だけでなく周りの人も巻き込ん
でしまう危険性もあります。
自分も周りの人も守るため、ゆっくり周りを見ながら歩くよう心がけています。とは
言うものの、たまに以前はこうだったのに…と落ち込むこともあります。
でも私は今の自分も否定せず、好きでいたいです。
周りのことを考えられるようになったんだ、少し大人な考えになれたんだ、
そう受け止めています。
私も深紅さんと同じで、足を踏み外したり、バランスを崩し、ヒヤッ、ドキッとす
ることがよくあります。
やはり段差、階段、障害物には要注意ですよね。
内でも外でも危険はたくさん、いちいち注意を払うことはとても疲れますが、体は大
切、日々身を守っていきましょう。
編集後記
5年ぶりに弱視あるあるを共有するシリーズをお届けしました。
語り手さんと聴き手さんのエピソードには、共感、応援、願いなど、「語り聴く」な
らではの心の対話がありました。
見えにくいという共通のしんどさはあっても、見え方はさまざま、困りごともさまざ
ま。
ちょっとちがう、でもわかる、そんなあるがままを共有することができました。
いろんなテーマでの「あるある」をまたいつか皆さんと共有していきたいと思います
。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2021年11月5日
☆どうもありがとうございました。