活動紹介
メルマガ色鉛筆第238号「一人だけど 独りぼっちじゃない~私の取説より~」
タイトル 「一人だけど 独りぼっちじゃない~私の取説より~」
ペンネーム フェルメールブルー(70代 女性 弱視)
レポートの要旨です。
私は京都ライトハウス鳥居寮の文章講座に参加しています。
その中で「私の取説」というテーマが提案されました。
自分のことを説明する、いろんな角度から自分を見つめる、そして、周りに伝える、
これが課題です。
「私の取説」はある意味自己紹介の拡大版でもあります。
73歳にして一人暮らしを始めた私の生活について記しました。
一人だけど独りぼっちじゃない私の生活をお届けします。
ここから本文です。
仮の名前で、自己紹介をします。
馬屋光恵(まやみつえ)です。
馬小屋の馬に屋根の屋、光の恵と書きます。
1947年12月24日生まれ、73歳、まさしく団塊の世代。
二人の子供を出産しているので間違いなく女です。
ややスレンダーで、極端な寒がりです。
好きな色はブルーとカーキです。
好きな食べ物は、焼肉、生ハム、鯖の塩焼きです。
嫌いな食べ物は人参、鶏肉、鰻、乳製品すべてです。
得意料理はカレーライスです。
趣味は読書、サピエ図書館を利用しています。
今は帚木蓬生(ははきぎほうせい)著に夢中です。
アフリカの蹄・アフリカの瞳はお薦めです。
もう一つの趣味は織物です。
フラミンゴという織機で、スヌードやクッションカバーをコツコツと作っています。
尊敬する方は上皇后様とアウンサンスーチー女史です。
好きな俳優は、吉永小百合さんと本木雅弘さんです。
好きな競走馬はオルフェーブル号、2011年(平成23年)の三冠馬です。
好きなアスリートは大坂ナオミ選手です。
野球は阪神タイガースのファンです。
憧れの人は法政大学総長 田中優子さんです。
好きなタイプはダンディで愉快な人です。
今憂うことは日本の経済と私の財布です。
今行きたい所は北海道です。
今見たいものは孫の成長した顔です。
今欲しいものは、やはり、キャッシュかな?物欲は特に無いです。
今逢ってみたい人は作家の五木寛之さんと初恋の人です。
今やりたいことは車の運転です。
今熱望していることは、日本初の女性総理大臣誕生です。
できることなら私の生きている間に確認したいものです。
深く印象に残っていることは、1964年(昭和39年)開催の東京オリンピック開
会式です。
私は人見知りで意地っ張りです。
嬉しい出会いはやはり京都ライトハウスです。
悲しい出来事もたくさんありましたが今は忘却の彼方へ。
薄れゆく視力に恐怖を感じます。
100歳の母より先に死なないことが私の責任です。
「今は幸せかい」ときかれたら、即「はい」です。
私のモットーは健康寿命と老活を愉しむことです。
★私の見え方と病状
病名は黄斑変性症 視力 右0.03 左0.01
68歳で視覚障害者1級となりました。
視野は正面は常に霧の都ロンドン状態、左右両肩くらいまでなんとか見えます。
左右の目頭に僅かに視力が残っているらしいです。
目の奥の血管が常に腫れているので、血管が破裂しないように血管を丈夫にする薬を
服用しています。
二か月に一度の定期健診で経過観察をしています。
検診は病状が悪化していないかと緊張します。
悪化していたら眼球に注射をしますが、何度しても恐ろしいです。
その日の天候や体調によって見え方も変わります。
人の顔の認識は困難で、常にやや顔を右に向けて焦点をあわせています。
携帯や財布などを無意識にホイと置いてしまったら、探すのに苦労します。
一方、携帯電話の小さな点滅が見えたり、
部屋の隅の小さなゴミが見えたりすることがあります。
これは残影で確認できているらしいです。
このために、周囲の人々からわりと見えていると思われます。
色の確認は難しく、特に薄い色は概ね白に見えます。
織物をしている私にとって色がわからないというのは実に不自由なことです。
文字は殆ど見えませんし、信号もわかりません。
公共のトイレの男女の色の区別が困難で、男子トイレに入ったこともあります。
駅のトイレで水洗ボタンと非常ボタンを間違えて押したこともあります。
しかも二度も、大変恥ずかしかったです。
★私の生活
今年、3月から家族と離れ一人暮らしをスタートさせました。
ワンルームに最小限の調度品を備えシンプルに暮らしています。
買い物やお出かけは同行援護を利用しています。
居宅介護の身体介護(共同実践)のサービスを受け、ヘルパーさんの眼を借り、手を
添えてもらったり、
見守りを受けながら自立生活を目指しています。
例えば、新しい調理機器の取り扱い説明書の代読を受けながら
操作パネルのボタンの位置を伝えてもらいます。
ボタンの位置を確認しながら、操作手順を繰り返し練習します。
一度ですべてマスターとはならず、忘れればまたサポートを受けて練習します。
リモコンや電磁調理器など、使いやすいようにするマーキング作業のサポートも受け
ています。
忘れたら再びサポートしてもらいます。
一人で困らないように、冷蔵庫の食品の賞味期限を伝えてもらいます。
一人でも判断できるように整理しています。
衣替えの際の衣類の補修や劣化による処分の要不要の選別も協同で行います。
テレビやパソコン、スマートスピーカーなどの初期設定をマニュアルを参照しながら
一緒に行いました。
行政機関への申請書類の代読を受け、代筆や添付書類の確認を共同で行いました。
特に、眼が不自由になってから私がライフワークとして取り組んでいる織物の糸の色
分けを一緒にしてもらえるのはとても助かります。
私の生きがいをサポートしていただいているのです。
処方箋の薬の管理はとても助かります。
以前は間違えて服用することもありましたが、今は安心です。
一人で買い物に出かけた時は近くにいる人に尋ねます。
大型スーパーでは店員さんを見つけることが難しいです。
コンビニではカウンターに赴き、視覚障害者であることを申し出ます。
とても親切に応対していただくとついつい余計な物まで購入してしまいますが、ちっ
とも惜しくないです。
引っ越し祝いにと仲間からスマートスピーカーをプレゼントしてもらいました。
このスマートスピーカーの初期設定はスマホが必要です。
スマートスピーカーは想定外なものでした。
時間、お天気、タイマー、ラジオ、音楽、調べものなど情報が簡単に手に入ります。
手軽で便利です。
おかげでとても潤い溢れるシングルライフになっています。
一人暮らしを始めてから、行政からの支援を多岐にわたり受けています。
心から感謝しています。
ヘルパーさんの出入りのおかげでちっとも淋しくないです。
狭いながらも楽しい我が家、
6、7人で会食をしたり、織物をしたり、素晴らしい老活を愉しんでいけたらと願っ
ています。
編集後記
見えない見えにくい中で新しい生活をスタートさせる、高齢になってから生活環境
を変えるということは「うんとこどっこいしょ」の掛け声だけではいかないことも多
いはずです。
生活を自分のものにしていくにはどうしたらいいか一緒に考える支えが必要です。
フェルメールブルーさんは制度やハイテクの支えと、心おだやかにあるためのライフ
ワークという内なる支えをお持ちでした。
この支えは障害を得て6年の中で重ねてこられたものです。
「せー のー でー」と誰かと一緒に「できる」をつかんでいかれたのですね。
一つ一つ時間をかけながら「どうにかなるでー」というエピソード、色鉛筆でまたい
つか。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2021年8月13日
☆どうもありがとうございました。