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活動紹介

メルマガ色鉛筆第227号「go to green」

タイトル 「go to green」
ペンネーム ホットブラウン(50代 男性 全盲)
レポートの要旨です。
 マスクが顔の一部になって2年目。
相変わらず息苦しい世の中だけど、それでも桜は咲いた。
ツツジが咲くのも早かった。
「人間たちよ。頑張れ」という彼らからのメッセージかもしれない。
さあ、大きく深呼吸して、ひととき、緑きらめく世界へご一緒しましょう。
ここから本文です。
 20代の頃までは、開発が進み便利になればいいと思っていた。
東京湾の何といっていいかわからない色の海にも、違和感は感じなかった。
それが年々、緑をいとおしく感じるようになってきた。
沖縄や奄美の海にある本当の『青』を知ったのも、30代になってから。
一人暮らしに選んだ町は東京だけど、空がちゃんとある。
川面を渡ってくる風は心地よい。
茨城つくばの里山を守る活動にも参加するようになった。
東京から電車で45分、そこから車で15分。
案外近いところに、その楽園は残っている。
 新緑がむせび、夏の息吹を感じるようになったころ、その楽園を訪ねる。
そこはほどよく手が入れられた森。
一歩入るとその緩やかな斜面はフカフカで、ごろんと寝転がりたくなる。
秋の落ち葉は、山肌を覆いながら冬を越す。
土へかえり、栄養豊かな土壌となっていく。
頭上でさえずる小鳥たちも上機嫌。
初夏を思わせる日差しは紫外線てんこ盛り。
けれど、森に入ればマイナスイオン吸い放題。
 弱視の頃は木々はみんな茶色に見えていたし、似たり寄ったりだと思っていた。
でも、実際に触れてみると違ってる。
ゴツゴツ君や、すべすべちゃんなどそこには個性豊かな仲間たちがいた。
樹皮の表面に触れる。
表面に近いところを水分が行き来している樹木はひんやりしている。
まるで、冷え性の人のよう。
同じ種でも、陽の当たり方で成長具合は変わる。
これもまた人間同様ではないか。
いやいや、植物の方が遥かに地球上の大先輩じゃないか。
人間が植物同様というべきだろう。
ここには車の音もない。
けれど、さびしい静けさではない。
聞えてくるのは風が葉をやさしくゆする音。
池からは水鳥の気持ちよさそうな声。
ああ、朝から晩までパソコンやアイフォンのイヤホンをつっこまれている耳が喜んで
いる。
アスファルトから解放された靴も軽い。
人間にとってふるさとは自然なんだ。
森に体を委ねて思う、そうなんだよな。
 コロナ禍の中、数少ないよかったこととして、「地球の空気が少し澄んだ」という
記事を見た。
もし、まだ遠出できないなら歩いて探そう。
近所の公園でも、雑木林でも、河原でもいい、自然を感じに行こう。
深呼吸しながら、行ってみよう。
編集後記
 ホットブラウンさんのこのレポートから、みなさんは自然の様々の、どんな風景や
匂いや感触を思い出すことになりましたでしょうか。
自然を感じに出かけて行くと、その行き先で木々や草花が、風や台地が、私達を迎え
入れてくれますね。
 リフレッシュさせてくれる、気分よくしてくれる好きな場所へ行きたいけれど、見
えない・見えにくいことで行くことがむずかしい。
そんなこともあります。
特に自然の散策はむずかしい部類のことだと思います。
ですが、チャンスは巡って来るものでもあります。
次にチャンスが巡って来て、自然の中に我が身を置くとき、さあ何を感じるでしょう
ね。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2021年4月23日
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