活動紹介
メルマガ色鉛筆第219号「俺にまかせろ」
タイトル 「俺にまかせろ」
ペンネーム グリーンピース (50代 男性 弱視)
★レポートの要旨です。
今回、俺とかおまえとか、少々色鉛筆のカラーに合わない言葉を使ってみました。
俺は漢字、おまえはひらがなです。
硬派で力強い俺と、軟派でやさしいおまえが語ります。
★ここから本文です。
俺にまかせろ。
今まで一度も訪れた事のない街や駅でも大丈夫。迷わず到着できる。
俺にはグーグルナビという強い味方がいる。
目的地を入力すれば、経路を表示してくれる。
俺は、それに従って行動するだけ。
ナビの青い点線に沿って、余裕で歩く。
たまに、信号機のない片側3車線の道路を横断するように表示がでる。
こんな時は、ナビには悪いが無視だ。
安全に遠回りして、信号機のある横断歩道を渡る。
こんなところで死んでたまるか。
駅に近付くと、発着の電車の音やアナウンスなどで、駅に到着したのがわかる。
しかし、改札がわからない。
ナビを見ると、終了している。
おーい、グーグルナビよ、おまえは小さい時にお母さんから、
「一度やり始めたことは最後までやりなさい」といわれたことはないのか。
最後までナビせんかい。
俺にまかせろ。
自動販売機で、スマートにドリンクを買う。
俺には、キャシュレス決済という強い味方がいる。
小銭がなくてもOK。
まずアプリを起動、スマホを自動販売機の「販売中」と表示された液晶部分に近付ける。
そして、スマホ画面でキャシュレス決済をタップする。
スマホに自動販売機の商品が表示される。
その中から好きな商品を選びタップ。
後はその商品が表示されたスマホの画面を、人差し指で上方向にスワイプするだけ。
よーし、買うぞ。
しかし「販売中」の位置が、思ったよりも低い。
これではスマホの画面を見るため、極端に腰を曲げおしりを突き出すことになる。
漫画「がきデカ」の「死刑」のポーズになってしまう。
全然スマートじゃない。
しかも、自動販売機は道路の端ぎりぎりに設置されているため、
これでは白線より外側、車道におしりが突き出てしまう。
こんなところで死んでたまるか。
車におしりをこすられたら、おしりがお猿のように真っ赤っ赤になってしまう。
恥ずかしいじゃないか。
自動販売機の赤とおそろいで、ヤッターとはならんぞ。
俺にまかせろ。
世の中では自殺する者が増えているらしい。
おまえには、俺という強い味方がいる。
背中のリュックにパンパンに詰め込んだ悲しみ、苦しみ、悔しさ、憤り、生きづらさ。一度、肩から降ろして、俺に預けろ。
そして、おまえは軽くなった肩をグルグル回して、深呼吸をしろ。
楽になったか。少しは俺の言うことを聞け。
「あんたの言うことなんか、聞かへん、信用できへん。」そうおまえが思えたなら、
それはそれでいい。
ときに反発心は、生きる支えになるから。
私なんかいなくなっても誰も悲しまへんと思っているかもしれないが、
少なくとも俺が悲しむ。
おまえには笑顔がよく似合う。
笑え。
おもしろくなくても、顔が引きつっても、泣きながらでも、笑ってみろ。
おまえの笑顔は最高だ。
こんなところで死んでたまるか。
死ぬな、生きろ。
俺にまかせろ。
俺にまかせろ。
俺にまかせろ。
★解説
グーグルナビとは?
Googleマップというアプリのこと。
GPS ナビ、交通量、交通機関に関するリアルタイムの情報を入手できます。
編集後記
毎日のふつうの暮らしにある様々なこと。
ごくふつうのこと。
それをやって行くのにも、場合によっては気概が、気力が、向かって行く元気が要ります。
グリーンピースさんの「俺」は、そんな気概のかたまりのように感じます。
見えない・見えにくいと、ふつうのことがふつうに行かないので、チャレンジの連続になりますしね。
みなさんの中にも「俺」はいますか?
「俺」がいなくなってしまっている人には、代わりになってあげられるとよいですね。
またひょっとして、グリーンピースさんのそんな「俺」もへこたれてしまうことがあるかも知れません。
そんなときは、誰かがそこに駆けつけて言うでしょうね。
「俺にまかせろ」と。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2021年2月5日
☆どうもありがとうございました。