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活動紹介

メルマガ色鉛筆第212号「Socialのそう、そうそう、そうだよ!埋めていこうよ!」

タイトル 「Socialのそう、そうそう、そうだよ!埋めていこうよ!」
ペンネーム 水色ダンボ(50代 女性 全盲)
★レポートの要旨です。
 コロナ禍、新しい生活様式が始まってほぼ10か月が経ちました。
コロナのうねりは続きますが、世の中は大きく動き出しています。
私も自分なりに動き出してみました。
「ソーシャルディスタンス」、空いた距離のすきまを埋めてくれるのは何?
盲導犬ダンボと母ちゃん親子がレポートします。
★ここから本文です。
 あれほど暑かった今年の夏も終わり、過ごしやすい秋がきてくれました。
田んぼのあぜ道に咲く彼岸花や、鈴なりに連なった柿の木の秋の風景に(ガイドさん
からの情報)、いつになく、心がほっこり。
それもつかの間、今は、グツグツおでんを仕込みながら、アツアツ、フーフーの季節
に「こんにちは」です。
北風小僧もついでに、「こんにちは!」です。
 が、コロナ感染拡大の第1波が押し寄せてきた頃は、こんな穏やかな気持ちではあ
りませんでした。
 名古屋にいる兄からは、「高齢の母親にうつしたらあかんで。用事以外は出かけた
らあかんで」と度々の電話。
単身赴任でふんばっている兄の方が心配でした。
私自身も持病もあり、もし感染したら…。
テレビで報道される志村けんさんのショッキングな訃報にもおののきました。
 世間では、公共交通機関、スーパー、銀行、学校、いたるところで、ソーシャルデ
ィスタンスをとってください。と連呼され、町はものものしい雰囲気に一変しました

 ある日、感染に警戒しながら、母親の通院に同行した時、普段から辛口の先生がこ
う言われました。
「ソーシャルディスタンスという言葉が使われているけれど、隔たりや分断につなが
りかねない危険な表現だ」と。
診察を終えた待合室には、リボンのついた鉢入れの花が飾ってあることを母が教えて
くれ、静かな風が通り抜けていました。
 通院の後も、外出をほぼほぼ控える毎日が続きました。
先が見えない状態で在宅を強いられ、じわじわと、心も体もフレイル、脆弱になって
いきました。
気付けば、「具合が悪くなる!助けて!」ダンボを抱きしめながら叫んでいました。
だれもが追い詰められていたのではないかしら。隔たりと分断。このままじゃ、いけ
ない。
 町では小学校の登校がはじまりました。私も自分なりに少しずつ外出を開始しまし
た。
町の風を感じたかった。人の気配を感じたかったんです。
リュックにはアルコール消毒液を忘れずに入れて、最初は、ダンボと二人でいつもの
バスに乗りました。
最寄りのJRの駅まで行って、ただただ帰ることを何回か繰り返しました。
運転手さんが、だれも乗車していない座席まで、丁寧に案内してくれる。
「どうしてましたか?」などと話しかけてくれる。
ドキドキしたけれど、出かけてよかった!
 もう少し範囲を広げよう。
町に出て、馴染みの喫茶店を覗きました。
でも、オープンしていてほしいという願いとはうらはらに、ダンボが導いてくれたの
は、閉まったままの冷たいドアでした。
探った指先に触れたのは、無言の張り紙だけでした。
通りすがりの女性が「閉店の張り紙がしてあるわ」と傍に駆け寄って声をかけてくれ
ました。
隣にある雑貨屋さんの入口にもダンボが導いたけれど、その木目の扉は閉まったまま
でした。
 それから半月ぐらい通い続けた後、やっと、お店が再びオープンし、押したドアの
呼び鈴が鳴りました。
「チリリリリン!」嬉しかった。
客足の遠のいたお店で、コーヒーとセロハンの袋に入ったパンを食べました。
何回も通いました。
店員さんの数は減ったけれど、私の事は覚えていてくれて、たいがいは出やすいよう
に、ドアの隣の指定席に案内してくれます。
ベテランさんも、若い店員さんも、みんな一生懸命が伝わってきました。
ダンボにも私にも優しい。
 しばらくして、隣の雑貨屋さんも、またオープンし始めました。
嬉しかった!そして安堵しました。
いつも声をかけてくれる同年代の店員さんの声が聴こえました。
「元気でしたか?!」お互いに声をかけあいました。
ただ、京都から近鉄で通勤されていた子育て中の若い店員さんとは、まだ出会ってい
ません。
「元気でいてください。みんな、大丈夫かな」と、心の中でそっと祈りました。
 まだまだ、コロナ以前程は客足は戻ってはいませんが、働く店員さんも、バスの運
転手さんも、客が少なくても、いなくても、毎日お店を開けたり、バスを運行してく
れています。
みんながふんばってこらえている。
形を変えながらも、毎日の営みを続けようとしている。
その中に、私もいたい。
遠くても一緒にこだましたい。
どこかでふれ合って、声を聴き、「いつもの」を続けていきたい。
 コロナがもたらした制約と不自由さ。
それは、大切なものを教えてくれた。
その距離、思いやりで埋めてください。
私も一緒に埋めていきたい。
編集後記
感染防止のために必要なこと、それはいろんな角度から言われています。
慣れない習慣とウイルスの脅威の中、外に踏み出す人たち、その中に見えない・見え
にくい私たちもいます。
町の人々にお声かけに支えられるシーン、それはソーシャルディスタンスが唱えられ
る今、より一層温かく感じられます。
お互いに健やかな今を、明日を祈りながら、「いつもの」を大切にしたい、その気持
ちを抱きしめるように水色ダンボさんが語ってくれました。
この思い、誰かの心で、ハグをくりかえしながら、また誰かの心へ、「そうそう」と
こだましますように。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2020年11月27日
☆どうもありがとうございました。

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