メルマガ色鉛筆第206号「日本各地のビールをプシュッ!」
タイトル 「日本各地のビールをプシュッ!」
ペンネーム とっても麦色 (40代 男性 全盲)
レポートの要旨です。
視覚障害者にもいる酒飲みのお1人、とっても麦色さんが、いろいろなクラフトビ
ールを紹介してくれます。
どれも実際に飲んで確かめた「これはおすすめ」というものだそうです。
クラフトビールに興味のある人、ビール好きの人にはおすすめのレポートです。
そうでない人も、クラフトビールっていったいどんなものなのか、雑学としてどうぞ
。
ここから本文です。
今年の夏も暑かった。
暑さに対処、暑さ対策、それでも暑くてがまん、たいへんだった。
しかし、そのぶん、冷えたビールがうまかった。
長い夏だったから、ビールもよく飲んだ。
え? 春も秋も、冬もよく飲んでるじゃないかって?
まぁ、暑いだけが理由じゃないから。
最近、クラフトビールが好きでねぇ。
日本各地の小さな醸造所、少量生産のビール、以前は地ビールと呼んでいたけれど、
最近はクラフトビールと呼ぶみたいだ。
クラフトマンシップ = 職人気質、のクラフト。
そんな少量生産のビールも、スーパーに売ってあるんだよ。
イズミヤとか。
もちろんチェーン店にも売ってある。
やまやとか。
え? 大手のビールと何がちがうのかって?
そりゃ味だよ味。
大手のビールや発泡酒、第3のビールもいろいろあるけど、地ビールのほうがより個
性的だねぇ。
そして、実は大手が少量生産している、というのもある。
え? どれがおいしいかって?
まぁそこは好みにもよるし、いろいろある。
どうだろうなぁ。
よっしゃ、おすすめをいくつか紹介しよう。
どれも350mlの缶ビールで、300円以内、あ、消費税入れるとちょっとだけ超え
るやつもあるけど、その中から選んでみよう。
1本目、プシュッ!
ヤッホーブルーイングの「よなよなエール」
飲む前からいい香りがしている。
飲むと味が濃い。
飲みおわっても苦みと香りが残る。
いいねぇ、この感じ。
おいしさを第一に材料をたっぷり入れました、という味だよね。
ヤッホーブルーイングは長野県の軽井沢、佐久にあるんだって。
ビールにはいくつか種類があって、よなよなはアメリカンペールエール。
「インドの青鬼」はインディアペールエール(IPR)というタイプでアルコール度数
7.0%と高く、これも飲みごたえがあるよ。
「水曜日のネコ」は、苦みを抑えたベルジャンホワイトエール。
ああ、これは長いこと飲んでないので、飲みたくなって来たよ。
2本目、プシュッ!
コエドビールの「伽羅(きゃら)」
この伽羅もいい香りがする。
よくかぐとフルーツのような香りがする。
そしてしっかり苦味のあるビールだよ。
ビールのタイプはインディアペールラガー(IPL)。
コエドビールは埼玉県川越市にあるんだって。
ここのビールは名前が色の名前になっている。
「紅赤(べにあか)」はビン入りでちょっとねだんが高いけど、原料にさつまいもも
使ってある無濾過のめずらしいビール。
「白」は小麦の無濾過ビールで、味も香りもまたぜんぜんちがって楽しい。
飲みたいんだけど、売っているお店がなかなかない。
3本目、プシュッ!
黄桜の「ラッキーキャット」
お次は京都の黄桜酒造。
日本酒の会社がビールも作っている。
ラッキーキャットは本当に京都らしいビールなんだ。
ゆずの香りと和山椒の隠し味という付け足しは、邪道っちゃ邪道かも。
だけど、特に隠し味が絶妙にうまい。
原料にはお米、酒米の山田錦も使われているんだって。
黄桜には、もっと邪道の「京都麦味 抹茶」というのもあって、1回、飲んだことある
んだけど、これもまた意外にうまい。
緑色をしているらしい。
ここまでやるとキワモノだ。
まぁうまいからいっか。
え? ちょっと飲みすぎじゃないかって?
今日は色鉛筆だからさぁ、現実離れしてどんどん行くつもりなんだ。
実際は、前座に第3のビール、サッポロの「麦とホップ」、その後にメインにクラフ
トビールの2本立てだねぇ。
サッポロと言えば、ちょっといいビールの「ヱビス」がある。
ヱビスにもいろんな種類があって、ふつうのヱビスとまたちがう味がする。
「ヱビス with ジョエル・ロブション フレンチピルス」は期間限定商品だった。
また出してほしい。
え? よくそんなにあれもこれも飲んでるって?
えへへへ。
さて次は何本目だったっけ、わかんなくなって来た。
4本目、プシュッ!
キリンの「グランドキリン ホワイトエール」
大手のキリンが作るクラフトビールが「グランドキリン」のシリーズ。
その中の「ホワイトエール」はあんまりビールらしくない。
シャンパンみたいなところのあるビールだよ。
「ジャパンペールラガー」など他の種類もバランスがよく、大手のクラフトビールっ
て感じがする。
5本目、プシュッ!
銀河高原ビールの「銀河高原ビール」
名前からぜんぜん結び付かなかったんだけど、「銀河高原ビール」はドイツ伝統の白
ビールなんだって。
黒ビールは多くの人が知っているけれど、白ビールはあまり知られていない。
ドイツ語ではヘーフェヴァイツェン、ヘーフェは酵母入り、ヴァイツェンは白い、と
いう意味。
白ビールというのは無濾過のため白く濁って見えるみたい。
独特な香りがする。
会社の所在地は東京、醸造所の場所はネットで調べてもわからなかった。
銀河高原ってどこなのか。
その代わり、ビールについてのわかりやすい説明が載っていたので引用させてもらお
う。
ビール酵母には上面発酵酵母と、下面発酵酵母があり、それぞれビールの味わいに特
徴があります。
・上面発酵酵母(エール酵母)
高温(20度前後)で発酵し、フルーティな香りと豊かなコクのエールビールをつ
くります。「ヴァイツェン」もエールビールに分類されます。
・下面発酵酵母(ラガー酵母)
低温(5~10度前後)で発酵し、スッキリした味わいとなります。日本の一般的
なビールはほとんどが「ピルスナー」という種類、ラガービールに分類されます。
6本目、プシュッ!
エチゴビールの「ヴァイツェン」
新潟県新潟市のエチゴビールは日本最初の地ビールだそうです。
いろんな種類があって、でもまたヴァイツェンを選んだのは、これがまたひと味ちが
うヴァイツェンなんだよ。
エチゴ、越後と聞くと米どころ、日本酒と関係あるかと思ったら、そうでもなくて、
「こしひかり越後ビール」というやつが別にある。
でも、このヴァイツェン、どこか米麹のような味が混じっているように感じるのは、
気のせいだろうか。
ビールは発酵食品で、その風味は複雑だよね、ほんと。
さらに味わうほうのこっちも酔っぱらって来て、ハイになったりふわふわしたりして
るからねぇ。
え? 自分ばっかりいい気分になってずるいって?
いやぁどうもすいませんですけど、よいですかぁ、いやいや。
え? 何を言ってるかわからないって?
いやぁ、ほどほどに楽しみましょうねぇ。
え? お前が言うなって?
あ、でも20歳を過ぎてからですよ。
苦いから飲んでももひとつだよ、えへへへ。
え? 説得力がぜんぜんないって?
困ったなぁ。
あ、見えない、見えにくいストレスや疲れがたまっているときは、特に気をつけてく
ださいね。
悪酔いしちゃうとしんどいからねぇ。
またいっしょにいいお酒を飲もうよねぇ。
編集後記
かなり酔っ払った感じのご機嫌トークでした。
ビールを飲む方は、フムフム、そうそう、興味津々というところでしょうか。
ビールには縁がないという方、私もその一人です。
それでもなんとなく味や色を想像しながら読みました。
ビールは単なる琥珀色1色ではなかったこともわかりました。
そして、見えなくてもちゃんと見た目の個性や製品情報をつかみ、
「味だけでない味」を楽しみながら勤しまれていることが伝わってきました。
プシュッ、ゴクゴク、プハー、
新たな生活様式、おうちで楽しむモノシリーズ、また、いつか。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2020年9月25日
☆どうもありがとうございました。