活動紹介
メルマガ色鉛筆第169号「バリアがいっぱいのデート」
タイトル 「バリアがいっぱいのデート」
ペンネーム 藍藍傘(30代 男性 全盲)
レポートの要旨です。
ぜいたくな悩みですが、見えない2人がデートをするのは困ることの連続です。
はい、ぜいたくな悩みです。
デートできるだけいいだろ、相手がいるからいいだろ。
はい、すみません。
今回は、そんな「ぜいたくの中にもバリアはあるぞ」というレポートをお届けします。
ここから本文です。
見えない2人で歩くとき、悩むんだよね。
歩道にも道の端にも電柱や看板、ぶつかるものが多いし。
通行人ともちゃんとすれちがえるようにしなきゃならないし。
まあ、苦労するよ。
けど、気をつけて2人で歩いてる。
手をつないで歩いたら、デートの気分が盛り上がるんだ。
逆に、彼女がものにぶつかってしまうと落ち込む。
自分がぶつかるより痛いよ。
ランチ、お茶、そのためにはお店までたどり着かねばならない。
道に迷ってうろうろ。
やたら苦労するよ。
店の情報は、前もってネットで調べておくほうがいい。
ナビのアプリが役立つときもある。
ナビはすぐに開始できるように、前もって住所を入れておくんだ。
ナビの精度は、正確だったり不正確だったり。
入り口まではナビしてくれないから店の前を行ったり来たりするけど、
やっぱりナビがあるととても助かるんだ。
技術の進歩はすばらしい。
通行人の皆さんに手助けしてもらうこともよくある。
おいしいランチ、楽しい時間にするには、こぼさない、倒さない、落とさないよう
要注意だ。
わさびやからしは危険。
これは、料理が運ばれてきたときにお店の人に確認しておかなきゃならない。
一度、彼女がわさびのかたまりを食べてしまったことがある。
確認しなかったことを激しく反省した。
神社巡りなどをするときは、悩む。
実際、見えている人に案内してもらって、説明してもらうほうが楽しめる。
ガイドヘルパーさんを頼むと、2人じゃなくなる。
それもありか。
固定観念を捨てて、それもありにする。
コンサート、映画、これは悩みが少ない。
会場までたどり着けば、スタッフさんが座席まで案内してくれる。
あとデートのときは、彼女が今日はどんな服装なのかを聞いてみる。
彼女の雰囲気、その日の感じをイメージできるから。
それと、もう一つ悩むことがある。
夜、帰り道、人がいない路上でチュー、路チューがしたい。
人がいるのかいないのか、見えなくてもわかる方法はあるのか。
こんな感じで、見えない2人のデートにはバリアがいっぱいあるんだ。
デートがしたいみんな、バリアにめげず一緒にがんばろうぜ!
編集後記
デート、いいなあ、うらやましいなあ、腹立つなあ、
いろんな声が聞こえてきそうです。
そして、もう一方からはこんな声、
2人とも見えないってたいへんやなあ、不安やろうなあ、大丈夫なんかなあ。
藍藍傘のお2人は、ものにぶつかる痛さやあちこち迷う不安や、
ときにつらさまで一緒に体感されています。
相手を思う気持ちがあるからだけじゃない、
彼氏と彼女が日常的にバリアを体感しているからこそ一緒に痛いし、
ハラハラもヒリヒリもできるのでしょう。
そんなふうになんでもかんでも一緒にビリビリできちゃう、
バリアがいっぱいのデートはやっぱりぜいたくなことかもしれません。
この際、なんでもかんでもぜいたくに路チュー、がんばってください。
世間は、きっと見て見ぬふりです。
デートで路チュー、私もがんばります(なんでやねん!)。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2019年9月27日
☆どうもありがとうございました。