メルマガ色鉛筆第117号「‘やせないお茶’の話」
タイトル 「‘やせないお茶’の話」
ペンネーム オレンジバーミリオン(40代 男性 全盲)
レポートの要旨です。
長い間、自分の姿を見ていない私。
いろんな情報や触覚を駆使して自分の姿をイメージしています。
客観的な判断基準はやはり数字で出るもの、体重や検査結果です。
見えてないからわからないという言い訳など通用しません。
ちまたにあふれる体に良さそうなもの、ダイエットにつながりそうなもの、
本当のところはどうなん?と思いつつも、つい手を出す方もおられるのではない
でしょうか。
特保・保健機能食品、これが付いていると体に良さそうですよね。
今回は、なんとなく健康に気をつけている私の食生活をお届けします。
ここから本文です。
私の目が針穴のような視野になってから19年、完全に見えなくなってから1
7年が経ちました。
当たり前の話なのですが、長いこと自分の姿や顔を見たことがありません。
とはいうものの、自分の体のことはやはり気になります。
いろんな情報や触覚を駆使して自分の姿をイメージしたりします。
中でもわかりやすいのは体重です。
目が悪くなってからの19年、体重は常に右肩上がりで、人生の最高値を維持し
続けてきました。
そして最近は、中性脂肪やコレステロール、尿酸の値が検査でひっかかるように
もなってきました。
そんなこともあり、母親から「‘やせるお茶’があるから飲み」と言われ、
カテキンのたくさん入った特保のお茶を飲み始めました。
それからはや1年が経ちましたが、体重はいっこうに減りません。
「ずっと飲んでるのにぜんぜんやせないね」と母親から言われ、
‘お茶でやせるくらいならみんな苦労しないよね’と、自分で自分を慰めていま
した。
すると最近、有名な牛丼チェーン店から、
‘機能性表示食品’という表示が付いた、なんとなく体に良さげな牛丼が通信販
売されるようになりました。
また少し前には、‘特定保健用食品(トクホ)’という表示が付いた、これまた
なんとなく体に良さげなコーラも販売されました。
牛丼もコーラも、どちらかというとあまり体によろしくないイメージの食品です。
どうしたらそんな表示が付くのだろうと疑問に思い、ネットでいろいろ調べて
みました。
それによると、
牛丼のほうは‘糖の吸収をおだやかにし、食後の血糖値の上昇をゆるやかにしま
す’と書いてあり、
コーラのほうは‘食事とともに摂取することにより小腸での糖や脂肪の吸収を抑
え、
食後の血糖値や血中中性脂肪値の急激な上昇をおだやかにします’と書いてあり
ました。
また、特定保健用食品(トクホ)と機能性表示食品の位置づけというところを
読んでいると、
‘保健機能食品は、健康の維持・増進への働きを表示していますが、あくまで食
品であり、医薬品ではありません。
食品であるため、病気の「治療効果」「予防効果」を暗示する表示や特定の疾患
を対象とした表示はできません。
例えば「血圧が高めの方へ」という表示が許可されている食品に「血圧を下げる」
などと表示することは消費者の誤認を招くため、
できないことになっています。
広告でアンケートやモニター調査結果、個人の感想などを使用し、
特定の病気の予防・治癒効果があるような記載もしてはなりません’とありまし
た。
それを読んで、「あっ」と思いました。
カテキンたっぷりのお茶には、‘やせるお茶’とは決して書いてありません。
‘体脂肪が気になる方に!
脂肪を消費しやすくします’と書いてありました。
‘そうそう、だからやせないのね’と、1人納得。
そして、今夜もノンアルコールビールを飲みながらポテチをポリポリ。
体重は人生の最高値を維持し続けています。
編集後記
玉ねぎは血液サラサラ、チアシードはスーパーフード、白米より雑穀米・・・、
情報番組は「これが体にいい」を次々と宣言し続けています。
「どうせなら良さそうなものを摂ろう」、
そんななんとなくな心をキャッチしようと、あちこちから手が伸びているように
も感じます。
自分の中のなんとなく、世間にあふれるなんとなく、
ところでどうなの?、それっていったい何?と調べてみたオレンジバーミリオン
さん。
体験はイメージを越え、手ごたえのある情報となりました。
暮らしの中の「実はね」という情報や思いを、
これからも色鉛筆を通して楽しく共有していきたいと思います。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2018年3月9日
☆どうもありがとうございました。