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活動紹介

メルマガ色鉛筆第112号「ネガティブを出してみよう」

タイトル 「ネガティブを出してみよう」
メルマガ色鉛筆編集チーム
 読者の皆さん、こんにちは。
メルマガ色鉛筆編集チームです。
 今年も残りわずかとなりました。
年末ということで、
大掃除とまではいきませんが、心にパタパタとはたきをかけるようなテーマに取
り組んでみました。
ズバリ、年忘れ超ネガティブ企画です。
今年しんどかったこと、つらかったこと、嫌だったこと、腹が立ったことなどを
ライターさんにおたずねしてみました。
 なんだかんだあっても生きている「私たちの今」を、あるがままに語られた思
いのかけらから共有したいと思います。
 ここから本文です。
★(60代 女性 弱視)
 父は91歳で他界しました。
亡くなるまでの約3週間、父は自宅介護となりました。
その際、妹と弟が交替で泊まり込んで父の世話をしてくれました。
2人は見えない私を気づかって、
「お姉ちゃん、無理しなくていいよ。私たちがやるから」と一生懸命介護してく
れました。
ほんとうにありがとう。
 でも、父のために何もできない私。
1人取り残されたようで、寂しい気持ちになりました。
★(40代 男性 弱視)
 晴眼者の治療院は最近売り上げがどんどん上がっているとよく耳にする。
晴眼者にならってホームページを作ってみたものの、売り上げはほとんど上がら
ない。
晴眼者と同じようにもっとネット集客や治療などの勉強をしたいと思うが、
前向きな気持ちはボロボロに壊れそう。
視覚障害者にはこれが限界なのか?
悔しくて嫌になる、患者さんのための治療院でありたいのに。
夢は遠く遠く、霞んでいく。
★(60代 女性 全盲)
 見えなくなって38年、もうすぐ40年になろうとしているのだから、
神様、もうそろそろ見えるようにしてくれてもよいのでは?
だって、ある日突然光を失って全盲。
自暴自棄にもならず、他人に八つ当たりもしないで、ただ懸命に歩んできました。
もう見えないことにも慣れ、見えていたことを忘れるほど見えない自分が普通に
なっています。
 「もうそろそろ卒業できてもよいのでは?」なんて思って、
神様に「私はいつまで見えないままなの?」とふと問いかける私です。
★(50代 女性 全盲)
 もうずうっと痛いんです。
坐骨神経痛だと言われました。
接骨院に行っても整形外科に行っても治らないんです。
痛いって、つらいんです。
ううっううっううっていう感じです。
そこから逃れられません。
 どうしても痛いときは痛み止めを飲みますが、薬は嫌いなのでできるだけ我慢
しています。
ストレスたまります。
 私には治癒力がないんです。
その上、医者が信じられません。
このままでは手術することになるかもしれません。
怖いです。
★(30代 男性 弱視)
 1日の仕事が終わって無事に帰宅。
靴を脱いで家に入ると、家族から靴下の左右の色が違っていることを指摘された。
驚いて自分でもどう違うのかを確認してみたが、色あいが微妙でよくわからなか
った。
でも無性に気になったので、蛍光灯を照らしてよく見てみると、濃いグレーと黒
の組み合わせだった。
こんな状態で1日外にいたと思うと恥ずかしくて、情けない。
穴があったら入りたい。
★(50代 男性 弱視)
 君は、また黙って僕のもとから離れていってしまうんだね。
ころころころと転がって、僕の見つけられないところに隠れてしまう。
あんなに大事に掌でぎゅっと握りしめていたのに。
なぜ、なぜなんだ。
もう一生君に会うことはないだろう。
「君の名は」、ペットボトルのキャップ。
 僕は君のいなくなった世界に立ちつくし、
悔し紛れに「ワイルドだろ」と捨てゼリフを吐きながら一気飲みするのさ。
★(40代 女性 弱視)
 もうイヤ、いい加減にして!
雑草、虫、次から次へとうじゃうじゃと。
手探りで得体の知れないものと格闘するのはうんざり。
きれいなお庭も、自然を満喫するのも、お出かけだけで楽しみたい。
雑草だけが枯れて、植えてあるものが元気に育つ魔法の薬、ほしいよぉ。
★(50代 女性 弱視)
 どうして安請け合いしてしまったんだろう。
頼まれてつい引き受けたのに、自分の中でまだ消化できずにいる。
なんであのとき拒否しなかったのか、そうなる予感はあったのに・・・。
後悔してる自分がほとほと嫌になる。
要領のいい人にはわからないだろう、この気持ちはね。
やれやれ。
 ひとしきり愚痴って決心がついた。
「さて取りかかりますか、反撃に(笑い)」と、
ネチネチ愚痴るブラックな私です。
★(40代 女性 弱視)
 ガイドヘルパーさんを召し使いみたいに思って、
ちょっとしたことでとげのある文句を言っている人がいます。
自分が利用者だからといって、双方の立場に上下はないはず。
見えないからわからなくて、イライラするんだろうけれど、
ちょっとしたボタンのかけ違いにいちいちピリピリしてどうなるんですか。
横で見ているだけで嫌な気持ちになります。
お願いだからやめてください。
★(30代 男性 弱視)
 スマホの発信履歴を見ると、覚えがないのに家族に電話をかけた履歴があった。
しかも、2時間も通話していたことになっていた。
1秒も話した記憶がないのになぜだろうと、気になって仕方がなかった。
 帰宅して家族に聞くと、電話がかかってきたから出たけれど、反応がなかった
とのこと。
それなら切ってくれればよいのに、ずっとこちらの様子を聞いていたそうだ。
そんなときに限ってデートだったりする。
とても恥ずかしい思いをした。
 想定外に発信してしまった電話。
見えていたら気づいて切ることができたかもしれない。
スマホは便利なツールだけれど、指先一つでどこへでも発信されてしまう。
ヒヤヒヤものだ。
★(40代 女性 全盲)
 視覚障害者用のナビアプリに目的地を設定。
右に左にと指示通り順調に歩いていたら、目的地手前で「到着しました」のアナ
ウンス。
すぐ目の前に入り口があっても私にはわからない。
どうもナビにも入り口まではわからないらしい。
 結局、自力で白杖をごりごり。
なんとか入り口を見つけたけど、あと一歩のナビ、役立たず。
★(30代 男性 弱視)
 新幹線を利用したときのこと。
15分後に発車する切符を窓口で買った。
すると突然「時間がないのでホームまで案内します」と、
私は切符を手渡されることなく改札の係員に引き渡された。
「慣れた駅なので大丈夫です」と言ったが、そのまま車内に誘導された。
車内で飲食するものを乗車前に買うつもりでいたが、買えなかった。
 駅員さんの親切な対応はありがたい。
けれど、見えていたら急ぎ足で移動して、すばやく買い物することもできるだろ
う。
自分の思い通りに行動できず悔しい。
 視覚障害者の転落事故が多発している中、手引きサポートが手厚くなっている
のは理解している。
ケース・バイ・ケースで、見守りサポートの対応も考えてほしい。
★(40代 女性 全盲)
 「あれっ、座っちゃった」。
 こつこつ白杖で確認しながら電車内を歩いていたら、どうやら席が空いている
様子。
なんかおかしい、やわらかい。
勘違いした私はおじさんの膝の上、ごめんなさい。
びっくり、恥ずかしい、情けない。
けど、誰か教えてほしかったなぁ。
なんでおじさんも声かけてくれへんかったんかな。
★(40代 男性 全盲)
 外出先でのトイレ利用は、もう大変!
 個室に入って用を足し終えた後、流すボタンを押したと思ったらウォシュレッ
トのボタンだった。
思わぬお尻へのウォータービーム!
あわててストップボタンを探すも、ボタンがたくさんありすぎてどれがストップ
ボタンなのかわからない。
適当にボタンを押すも、ウォータービームの水量がアップしたり的が変わったり。
下手に立ち上がると、便器から外にウォータービームが飛び出てしまうので、動
くに動けず。
 お尻にウォータービームを浴び続け、3分ほど経過。
あれやこれやといろんなボタンを押しまくって、
やっとウォータービームが止まったころにはお尻も顔もびっしょり。
 こんな大変な思いを今年2回もしてしまいました。
見えていたらこんなにオロオロしなくてすんだのに・・・。
見えない自分が悔しかったり、情けなかったり。
便利なトイレって視覚障害者にとっては不便!と、
トイレに怒っている自分がなんともみじめでした。
★(40代 女性 全盲)
 バスが来たので何番か聞こうとしたけど、
周りが騒がしく、しかも番号案内のアナウンスが小さい。
行き先がちらりと聞こえて、大丈夫かもと乗ってみたけど、やっぱり間違えてた。
 バスは降りたものの、乗り換えるためのバス停への移動に右往左往。
乗る前に勇気を出して誰かに聞けば、こんなことにはならなかったのに。
そんな自分に腹が立つ。
 ネガティブなエピソードは以上です。
 読者の皆さんの中には、
色鉛筆のレポートはがんばっている人、乗り越えた人、根性のある人の話という
ように感じている方もおられると思います。
なので、今回はあえて色鉛筆ライターさんにネガティブをテーマに語っていただ
きました。
 実はこのテーマを投げかけたとき、
「嫌なこととかすぐ忘れるようにしてるから、あらためて言われても思いつかな
いなあ」、
「基本くよくよしない性格やから」、
「思っても仕方がないことは考えないようにしているから」というお声が届きま
した。
ネガティブど真ん中で、「わかった。いくらでも出るよ」という反応はお1人も
ありませんでした。
 また、色鉛筆を通して弱音だけを伝えることへの躊躇の声もありました。
「解決策はなくても弱音の先にかすかな光を感じさせるもの、
誰が聞いても自然の摂理の中にいることを感じさせるものであってほしい」と。
今回語られたネガティブなエピソードには、それを支えるいろんな思いがあるこ
とを、ここに添えさせて頂きます。
 今年も、こうして皆様と「生きる中で思うこと」を色鉛筆を通して共有するこ
とができました。
ありがとうございました。
 今、この瞬間も、世界のどこかで終わりを告げようとしている命があります。
今ここにあるもののすべてに当たり前がないことを思いつつ、心から祈ります。
2017年、ありがとう。
そして、2018年が皆様にとって光ある年となりますように。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2017年12月22日
☆どうもありがとうございました。

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