活動紹介
メルマガ色鉛筆第109号「鉄トーク」第2回
タイトル 「鉄トーク」第2回
メルマガ色鉛筆編集チーム
関西在住の鉄道好き視覚障害者3名による「鉄トーク」の第2回です。あいか
わらずお話はあっちこっちにとんでいます。ご容赦ください。
「鉄トーク」出席者
○和泉さん:JRと第3セクターの全路線完乗が目標で、すでに99パーセント
以上を走破。車両の形式などは苦手なようですが、路線関係の情報はよくご存じ
の方です。
○難波さん:ローカル線の風景と気動車が好き。JRはもちろん、国鉄時代の車
両についてもよくご存じの方です。乗り鉄、食べ鉄、撮り鉄。
○宮城さん:いまだに昭和の鉄道の風景にあこがれを抱いているようです。国鉄
の時代についてはけっこうお詳しい方です。乗り鉄、飲み鉄、模型鉄。
ここから「鉄トーク」第2回本文です。
(豪華列車「瑞風(みずかぜ)」のお話から始まります)
○宮城 「瑞風」は客車列車なんですか。
○和泉・難波 あれは気動車ですね。
○難波 キイテとかいう形式の車両がありますよ。気動車で1等車で展望車。寝
台車でキサイネっていうのもあります。
○宮城 サは付随車の記号ですよね。キってついてるのにエンジンはないんです
か。
○難波 そういうのもあるみたいです。
○宮城 それに、イって昔の1等車の記号ですよね。
○和泉 イっていうのは、ねえ、どうなんでしょう。ロでええやんと思うんです
けど。なんかわけがわからんような、聞いたことのないような形式。
○宮城 私もわけがわからんです。
(編集部より)
1960(昭和35)年、明治以来3等級制をとってきた国鉄の旅客車が2等
級制に改められました。それまでは1等車、2等車、3等車にはそれぞれイ、ロ、
ハの記号が付されていましたが、変更によりもとの1等車と2等車が統合されて
1等車(現・グリーン車)となり、これにロの記号が付されることになったので
す。そしてもとの3等車は2等車(現・普通車)となり、これはそのままハの記
号が引き継がれました。つまりイという記号は消滅したことになります。
JR西日本が「瑞風」にあえてイを復活させたのは、「瑞風」が最上級の列車
であることをアピールしたかったからではないでしょうか。
(編集部終わり)
○和泉 話のタネに1回は乗ってみてもいいかな。でも、ちょっと高いなあ。1
人でも乗れるんかな。
○難波 1人でも乗れるよ、1人で乗って楽しいかどうかはわからへんけど。で
もこの列車、なんか生活感がないなあ。
○宮城 私も生活列車の時代を過ごしてきたから、豪華列車ってそんなに興味は
ないかな。
○和泉 そうですね。それは私も思いますね。
○難波 どっちかといったらふつうの車両、ローカルなやつが好きですね。
○宮城 ねえ、いいですよね、日々ふつうに走ってる列車っていうのは。いろん
な人がいろんな事情を抱えて乗ってて、思いっきり生活感がありますもんね。
何年か前に乗った木次(きすき)線と三江(さんこう)線のことを思い出しま
した。銀色の新型の気動車やったけど、生活とともにあるっていう感じで。のん
びりゆっくりやけど、スマホをいじってる女の子がいたりして、なんか今っぽい
なあって。
○難波 和泉さん、このあたりは得意分野なんじゃないですか。
○和泉 木次線はこの間乗ってきた。それから三次(みよし)に泊まって、三江
線に乗ったよ。
○難波 三江線はもうすぐなくなるね。
○和泉 えっ、そんなん聞いてへん。また行かなあかんな、3回めや。
○難波 そんだけ乗ったらもうええやん。
○和泉 そうかな。でも、三江線はいいよ。なくなるなんて、悲しいね。
○宮城 やっぱりのんびりゆっくりだけではあかんのかなあ、お客さんがたくさ
ん乗らないと。
○難波 なんか三江線のホームには混雑時用のラインが引かれてるらしい、並ぶ
ときはこう並んでくださいっていう。
○和泉 そうなんや。私が乗ったときはお客さんが2人ぐらいやったよ。通勤・
通学時は混雑するんかな、そういうふうにも思えへんけど。
○難波 「青春18きっぷ」が売られてるときやったらいっぱい乗りに来るんと
ちがうかな。
○和泉 そうやろな。私は「青春18きっぷ」じゃなくて、一筆書きの普通乗車
券を買って行ったんよ、木次線から芸備線、三江線回りのややこしいやつ。
○難波 おもしろそうやな。
○和泉 三江線はいいよ、のどかで。
○難波 いいのはわかってるんやけど、車イスでは行きにくいところやとは思う。
○和泉 そうやな。三江線だけに限ったことやないけど、そのへんはなんとかし
てほしいところやな。
○宮城 三江線に乗ってたとき、なんか木の枝が窓にバサバサってあたってたよ
うな気がします。
○和泉 それが三江線なんや。新見から出る芸備線でもバリバリあたってました
ね。だいじょうぶかなあと思って。
○難波 山陰線の益田と長門市の間、ここも木の枝がバサバサあたって、車両が
こわれるんとちがうかと思って心配になったことがある。あんなに木があたって
だいじょうぶなんかなあと思って。
○宮城 今、山陰線の益田と下関の間は普通しか走ってないんですよね。
○難波 そうですね。
○宮城 昔は特急「まつかぜ」が山陰線回りで大阪から博多まで行ってましたよ
ね。
○難波 行ってましたよね、食堂車つきのキハ82系が。
○宮城 だれが始発から終点まで乗るのっていう感じで。
○難波 たぶんだれも乗らないでしょうね、私たちのような人は別として。
その「まつかぜ」のあと、米子から博多まで「いそかぜ」っていうのが走って
たことがあります。それもなくなって、今は「スーパーまつかぜ」が鳥取と益田
の間を走ってますね。
○和泉 長門市の駅前に看板があったよ。「復活『いそかぜ』」みたいなのがあ
ったけど、無理かなあ。
○難波 あの地域の希望なんやろね。でも、なんか難しそうやなあ。
宮城さんは昔の「まつかぜ」に乗ったことがあるんですか、キハ82系の。
○宮城 いえ、乗ったことはないんです。ただ、「あのころはよかった」みたい
な感じがして。
○難波 そうそう、「白鳥」も走り始めたときはキハ82系でしたよね。北陸回
りで大阪から青森まで行ってましたけど、端から端まで乗る人はいたのかな。あ
のころは飛行機はだれでも乗れるっていう感じやなかったから、やっぱりけっこ
う利用客はいたのかな。
○宮城 私、青森から京都までならば何回か「白鳥」に乗ったことがありますね、
日本海縦貫線が全線電化されてからなので485系の電車特急だったですけど。
○難波 いいですねえ。お弁当が何回も買える。
「白鳥」がなくなって、同じルートの寝台特急「日本海」がなくなって、残る
と思ってた「銀河」もなくなって、ねえ。
○宮城 なんかだんだんさびしい話になってきましたね。
○難波 そうですね。
ええっと、じゃあ、違う話で。和泉さんは前に室戸岬に行ってみたいっていっ
てたけど、どうしてなの。電車は走ってないよ。
○和泉 前に四国に行ったときは、阿佐海岸(あさかいがん)鉄道に乗って、そ
れからバスに乗り継いだ。それから奈半利(なはり)を経由して四国を一周回っ
たんよ。
室戸岬に中岡慎太郎の像が立ってて、それを見たかったんやけど、そのときは
日程とルートの関係で無理やったんよ。それで室戸岬に行ってみたいなと思って。
○難波 中岡慎太郎ってあっちのほうの出身なの。
○和泉 高知やで、安芸(あき)なんやけどな。
○難波 そうか、室戸岬は高知やな。
○和泉 龍馬の像は桂浜に立ってるんやけど、中岡慎太郎は室戸岬に立ってるん
よ。
○難波 へえ、そうなんや。そんな像があったんや。
○和泉 あんまり知られてへんねん。
○難波・宮城 知らない。
○難波 中岡慎太郎は龍馬といっしょに襲われて亡くなったんよね。
○和泉 いちおうそういうことになってるんやけど、中岡慎太郎が龍馬を殺した
っていう説もあるねん。
○難波 あれは京都見廻組(みまわりぐみ)がやったんとちがうの。
○和泉 という説もあるけど、龍馬が中岡慎太郎をぜんぜん警戒してなかったか
ら、それで。
○難波 でも、中岡慎太郎も龍馬といっしょに死んでるやんか。京都の近江屋っ
ていうところやったかな。
○和泉 龍馬が反撃したっていうことやろ。龍馬と中岡慎太郎の間にどんないき
さつがあったのか、まあ、ほんまのことはわからへんけどね。
○宮城 近江屋事件が起こる少し前、龍馬が伏見の寺田屋っていうところで襲わ
れたでしょう。あれ、うちの近くですよ。
○難波 近所だったんですか。
この前、寺田屋の前まで行きましたよ、中には入ってないんですけど。それか
ら遊覧船とか黄桜の伏水蔵(ふしみぐら)とか。あれっ、なんか鉄道の話からズ
レてしまいましたね。
話を戻しましょう。
和泉さん、大阪発の九州ブルートレインはけっこう乗ってはるんとちがうの。
○和泉 「彗星」、「なは」、「あかつき」。「明星」は乗ったっけかな。
○難波・宮城 おお。
○和泉 それから「日本海」、これは青森行きやけど、そんなもんかなあ。
○難波 それだけ乗ったら十分や。大阪発、ほとんどカバーしてるやんか。
○和泉 うん、けっこう何回も乗ってる。でも、「はやぶさ」とか、東京発のブ
ルートレインは乗られへんかったんや。
○難波 東京発のブルートレインは大阪がほとんど夜中やから、なかなか乗りに
くいね。
○宮城 「はやぶさ」には乗りました、廃止になる前の年の秋に。
○和泉 そんなときによくとれましたね。
○宮城 あかんかなと思ったんですけど、どういうわけかとれてしまいました。
京都発は真夜中だったんですけど、乗ってからビールを飲みました。4人1ボッ
クスのところに3人で乗って声をひそめながら飲みました、上段で他のお客さん
が寝てたもんですから。迷惑だったかも。
○難波 なるほど、「飲み鉄」っていうやつですね。
なくなるといえば、あれっ、またなくなってしまう話ですけど、大阪環状線の
オレンジ色の103系が10月になくなるみたいです。
○宮城 そうですか。今まで走ってたっていうのが奇跡かも、国鉄時代の電車で
すもんね。
○難波 よく残ってたっていう感じですよね。でも、103系自体はJR奈良線
で走ってますよ、ウグイス色で、京都と奈良の間を。
○宮城 そうですか。今度、だれかいっしょに乗る人がいたら見てもらいましょ
う。
○和泉 阪和線のスカイブルーの103系もなくなったよ。もう走ってないと思
う。
で、阪和線の電車が全部関空快速の色になってしもうた、今まではスカイブル
ーが普通やったんやけど。
○難波 あっ、そうか。前は弱視の人でもなんとなく色で快速と普通の区別がつ
いた。でも、今は快速と普通がいっしょの色してる。
○和泉 そうなんよ。乗り換えのときはだれかに聞かないとわからへん。
○難波 編成の長さで区別するとか、4両か8両かで。
○和泉 そんなん無理や。
○難波 確かに、そうやなあ。
○宮城 阪和線ていうと、鳳(おおとり)に電車区があるでしょう。
○和泉 ありますよ。
○難波 あそこ、1回入ったことあるよ。JRになって、平成元年に鳳の電車区
が一般公開されてて、行ってみたら、回送の103系とクモニ143改造のクモ
ハ123が並んでたんよ。
○和泉 それって長門本山(ながともとやま)のほうで走ってる電車かな、両運
転台で、1両でも走れるやつ。
○難波 そうそう、今はそっちのほうに行ってる。
○和泉 長門本山にもう1回行きたいなあ。
○難波 それは山口県かな、小野田線かな。
○和泉 小野田線の雀田(すずめだ)っていう駅から短い支線が出てて、その終
点が長門本山なんですよ。本数は少ないし、お客さんも少ない。
○難波 あの支線、なんで残ってるんやろね。
○和泉 通勤とか通学とかで乗る人がいるんかな、よくわからへんけど。でも、
三江線とか木次線とはまた違った、なんともいえへん雰囲気の路線。
○難波 和泉さんはやっぱり車両じゃなくて、いろんな路線に乗りたいという感
じやね。
○和泉 うん、基本的にはそうかな。
○宮城 さっき103系のお話が出ましたけど、昭和30年代の中ごろだったで
すかね。あのカラフルな101系、103系の登場は当時としては画期的だった
ですよね。東京圏でも山手線がウグイス色で、京浜東北線がスカイブルーでした
ね。
○難波 関西にはなかった色なんですけど、常磐線のエメラルドグリーンはすご
くいい色でしたよね。茶色ばっかりだった通勤電車がいろんな色になりましたね。
○宮城 子どものころ、初めて山手線に乗ったときはその茶色の電車でしたよ。
省線電車って呼ばれてました。和泉さん、省線電車って聞いたことありますか。
○和泉 いや、ないですね。初めて聞きました。
○難波 国電よりもっと前の呼び方かな。
○宮城 鉄道省が国鉄を運営していた時代の名残りかな。鉄道省の線路を走る電
車だから省線電車って。戦後、鉄道省がなくなって、国鉄が公共企業体になって
からもその言葉だけは残ってました。でも、カラフルな電車が登場してからはだ
んだん使われなくなっていったみたいですね。
○難波 戦後につくられた車両には「日本国有鉄道」っていうプレートがついて
たけど、それより前はそれが「鉄道省」やったんよ。
○和泉 へえ、そんなん知らんかったわ。奥深いなあ。
(このあと、車体に表示されている文字や記号のお話へと続いていきます)
★「鉄トーク」第3回に続きます。
編集後記
「豪華列車には興味がない」なんていうのは、乗れない者たちのひがみでしょ
うか。鉄道のことにはあまり詳しくない方でも、ご年配の方であれば、「鉄道省」
や「省線電車」という言葉はご存じなのではないでしょうか。
「鉄トーク」第3回をお楽しみに…。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2017年11月24日
☆どうもありがとうございました。