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メルマガ色鉛筆第71号「弱視あるあるを共有する」シリーズ第1弾

「弱視あるあるを共有する」シリーズ第1弾
タイトル 「私、まあまあ見えています。でも、見えにくいんです。だから・・・」
色鉛筆編集チーム
 こんにちは。
メルマガ色鉛筆編集チームです。
 今回のレポートのテーマは「弱視あるあるを共有する」です。
レポートには語り手と聴き手のお2人さんが登場します。
色鉛筆発の対話レポートです。
 今回はシリーズ第1弾、20代、30代の女子トークをどうぞ。
★語り手さん
ペンネーム ライトオレンジ(20代 女性 弱視)
 私は20代の女性、「ライトオレンジ」です。
高校時代より夜盲になり、暗い所が見えづらくなりました。
大学3年生頃から視野が欠けてきたのを実感しています。
 今の視力は両目とも0.3~0.5くらいで、視野は10度以下です。
スマホなら、最初から設定されている文字で見えます。
画面の白黒反転もしていません。
WEBサイトの文字が小さいときは、少し拡大して見ています。
 コントラストの低い配色、例えば白の紙に黄色の文字とかを読むのはきついです。
特に見えにくいのは暗い所です。
階段を下りるときは恐いですね。
パソコンのマウスポインターを見失うこともあります。
視野が狭いので、グラフや表が横に伸びていると全体を読み取るのが難しいです。
テレビ画面が大きいと視野からはみだしてしまいます。
 困らないことは、文字が多少小さくても見えることです。
老眼の人より見えることも多いです。
 見えにくいことでしんどかったことはいろいろあります。
 体育の球技では、視野が欠けているからシャトルやボールを見失ってしまいます。
ここだと思ってラケットを構えていてもボールを返すことができず、ラリーができませんでした。
そのため、体育でペアを組んでいた子は私と組みたくないと言ってました。
私は単なる運動オンチだと思われていたと思います。
 高校時代、吹奏楽をしていたときもハプニングはありました。
曲目の入れ替えで自分の演奏する場所が変わり、移動するのですが、
曲の合間のステージ上は暗く、見えなくて友達の上に座ってしまったこともあります。
 自分が思っている以上に足元、腰から下が見えず、
お店のレジに並ぶためのロープやポールに当たってしまうことがよくあります。
ショッピングセンターの駐車場にある車止めにひっかかったりもします。
職場の椅子やゴミ箱を蹴とばすのは日常茶飯事です。
どこまで見えていて、見えていないのかが自分でもわからなくて、
「まあまあ見えること」ならではのしんどさを感じています。
 先天の眼科疾病で重度弱視、もしくは全盲の方が見えない中どのように過ごされてきたのかが知りたいです。
「見えないことを理由にうそをつかれたりだまされたりしないのかな」なんてことも正直気になります。
 パソコンでマウスを使って指し示されたとき、
ポインターが視野の中に入っていないのに「わかりました」と言ってしまったことがあります。
本当は見えていなかったのに、なぜか見えているふりをしてしまいました。
暗い店内では、見えにくいことを伝えて手引きを頼むことはあります。
 まさか自分が視覚障害になるとは思っていなかったので、
知ったときはこれからどうしようと不安でいっぱいでした。
でも、見えない、見えにくいのに障害を不幸に思わず生きている人たちがいるんですよね。
それってすごいと思います。
 少し前、私は自分と同じ境遇にいる人と出会いました。
その人たちの話は将来へのお手本みたいに感じます。
どのようにして生きてこられたのか、生きていけるのかなど、
いろんな人の体験を知ることができて本当によかったと思います。
 とはいうものの、いくらいろんな体験を聴いても、やはり不安がなくなることはありません。
障害が原因で結婚できなかったらどうしようとか、
生まれた子どもに遺伝したらどうしようとか、そんなことを考えたりします。
 見えている人の中にいると、見えにくいのは自分だけだということでしんどくなることはあります。
でも、見えない、見えにくい人たちと出会ったことで、私はまだ見えているほうだと気づくことができました。
だから、今の仕事をもっともっと頑張っていきたいです。
★聴き手さん
ペンネーム 黄緑(30代 女性 弱視)
 初めまして、ライトオレンジさん。
私は、あなたよりちょっとお姉さんの黄緑です。
 私の今の見え方は視力が両目ともに0.1で、視野は中心が5度程度、夜盲があり、眩しいのも苦手です。
網膜色素変性症で、5歳からメガネ生活です。
当時は0.4程度の視力がありました。
 ライトオレンジさんの見え方の説明、スマホやパソコンをあげるところ、さすが若いなぁ~と思いました。
私なんて、今年やっとスマホデビューしたばかりです。
 青春真っただ中の高校、大学時代に症状が現れたのだから、
「なんで私が・・・」「この先どうしよう・・・」と、悲しく不安だったでしょうね。
私もその頃は進路や将来のことで悩みました。
なりたい職業に就けないとわかってから次の目標を見つけるまでには時間もかかりました。
今はその仕事に就き、もう10数年です。
 ライトオレンジさんは仕事を頑張っておられ、素敵です。
しんどいこともあるけれど、継続は力なりですし、
目の負担に注意しながら頑張ってほしいです。
 学生時代に困ったこと、今の生活や職場での失敗談など、私も「あるある」と苦笑いですよ。
 学校での球技は本当に苦手だったし、なぜかよく顔にボールが当たっていたような気が・・・。
その分、かけっこやマラソン、水泳だけは負けたくなかったことを思い出します。
日常生活や職場でよく物にぶつかる、物を蹴とばすなど、
特にひざ下のアザが絶えず、スカートがはけないよね(笑)。
 私たちは見えにくいけれど、まあまあ見えているから、
周りの人から見れば「ドジ、運動オンチ、天然」とか、
「無視された、なにかと遅い」と思われがちかも。
そのことを自分自身も気にしてしまったりで、顔は笑っていても心は泣いていることはないですか?
だからこそ、当事者の方との出会いが嬉しいですよね。
 私が当事者の方と初めて出会ったのは、今から3年前。
それまでは会いたいとも思わず、見えにくいことを隠せるだけ隠して生活していました。
特に20代の頃はライトオレンジさんと同じように、
目のことが原因で恋愛や結婚がうまくいかないかもと、結婚はしないと自分に言い聞かせていました。
そんな私も結婚し2児の母、なんとかやっていますよ。
 確かに先天性の重度弱視や全盲の方の生活、困り事などのお話は聴いてみたいと思います。
それとは逆に、ずっと前から私は見える世界を体験してみたいと思っています。
見えているのに贅沢かな・・・。
0.4以上に見えるって?
暗くても見えるって?
いったいどんな世界なのかなと思うんです。
 今日はライトオレンジさんのお話が聴けて、自分の20代の頃の忙しさや楽しさやつらさを思い出し、
フフッと笑える穏やかな時間でした。
ありがとうございます。
 若いっていいね。
仕事に恋愛に趣味に、エンジョイしてください。
 見えにくいことで苦しいことはあるけれど、そんなときは当事者の先輩を頼ってください。
家族や友人にも言いにくいことってあるから。
そして、見えにくいことで不便や不自由はあっても、不幸ではないよ。
だから、人より2倍も3倍も幸せを感じながら生活していってほしいです。
そして、お互い30代と40代になったら、今日の話をネタに語り合いましょう。
編集後記
 見えにくくて困ること、見えなくて困ることはいろんな場面で生じます。
ですが、ライトオレンジさんもそうであるように、その都度できる対応をしながら前に進んでいきます。
見えない、見えにくいという一面はあっても、その人の持っている力、人の持っている力はたいしたものだと思います。
 そこに当事者でちょっと先輩の立場にいる黄緑さんが応援のメッセージをくれて、
1人の力にもう1人の力が合わさりました。
 人と人とが協力するとどうなるか。
このお2人も私たちもこの大切なことを知る立場、実践する立場にいますね。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2016年6月24日
☆どうもありがとうございました。

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