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活動紹介

メルマガ色鉛筆第67号「ブラインドテニスを楽しむ」

タイトル ブラインドテニスを楽しむ
ペンネーム ブルースカイ(30代 男性 弱視)
 レポートの要旨です。
 私がブラインドテニスに出会ったのは2013年の春、友人から誘われて体験会に参加したのが始まりでした。
視覚障害者でもプレイできるように改良された球技スポーツには様々な種目がありますが、
ブラインドテニスはボールが空中を飛び回る斬新な特徴を持った球技です。
 今回は、最近私が励んでいるブラインドテニスについて紹介させていただきたいと思います。
 ここから本文です。
 ブラインドテニスは視覚障害者向けに改良されたテニスで、1990年に日本で生まれました。
「視覚ハンディキャップテニス」と呼ばれていたそうです。
その6年くらい前、当時、埼玉県立盲学校の高校生であった全盲の武井実良(たけいみよし)さんが、
「目が見えなくてもテニスがしたい」という思いから研究を重ね、考案されたことが始まりでした。
 私がブラインドテニスに出会ったのは2013年の春、友人から誘われて体験会に参加したのがきっかけでした。
プレイヤーがサーブやレシーブの練習をしているのを見て驚きました。
なんと、ボールがカラカラと音を立てながら空中を飛んでいたのです。
しかも、サーバーからレシーバーへ、自分のコートから相手のコートへ、
リズミカルにボールが行き来していました。
そして、相手コートのプレイヤーは飛んでくるボールに合わせて小刻みに移動し、
バウンドしたボールを打ち返していました。
まさに、これがブラインドテニスでのラリーでした。
 これを見た時、私はとても斬新さを感じました。
これまでフロアバレーボールやサウンドテーブルテニス(盲人卓球)、ゴールボールなどはやったことがありましたが、
いずれも地面を転がすことが基本でした。
空中を飛び回るボールは、視覚障害者の球技では見たことがありませんでした。
 しばらくこのラリーを見て圧倒され、いざ、初めて自分がプレイしてみることになりました。
 まずはサーブの練習です。
フォアサイドから相手のコートのフォアサイドにボールを打つのですが、
打つ方向を定めるのが意外と難しかったのです。
左に行き過ぎるとサイドアウト、右に行き過ぎると逆サイドになりフォルトになってしまいます。
微妙な角度を調節しながら相手のコートにボールを入れるのに慣れるまで時間がかかりました。
バックサイドもラケットを持つ手は同じなのですが、フォアサイドとは感覚が違いました。
角度が合っていたとしても、打ち方が弱くてボールがネットを越えないこともよくありました。
何度か打っているうちに、ついに相手のコートにボールを入れることに成功しました。
少し感動していた矢先、相手はボールを打ち返してきました。
当然のごとく私は空振りをしてしまいました。
 次にレシーブの練習をしました。
相手プレイヤーがサーブしたボールを追い、3バウンド以内で打ち返すのですが、
ボールの動きをとらえるのはかなり難しかったです。
ほとんど空振りで、たまにラケットに当たっても相手コートにはなかなか届きませんでした。
 どうすれば打てるようになるかと考えていたら、
「ボールを見るよりも音を聞いてみたらどうか?」というアドバイスを受けました。
確かに、私は弱視なのでボールの動きは少しは見えるのですが、すぐに視界からはずれてしまいます。
気が付いたらボールは目の前にあり、打ち返すタイミングが間に合いません。
 私は、ボールの音源を頼りにボールの動きに注意してみることにしました。
確かに音でボールのだいたいの位置はわかりましたが、ボールを見ようとしている自分がいました。
ボールを目で追うとどうしても聴覚よりも視覚のほうが優先されてしまい、音に集中できません。
 そこで、1バウンドまでは音を聞いてボールのおおまかな位置を把握し、
自分に近づいてきたら見るというように、聴覚と視覚の両方を駆使してみました。
そうすると少しはボールの動きが把握でき、ボールがラケットに当たるようになりました。
とはいっても、なかなか難しいです。
私は3バウンドまで有効なクラスなのですが、
ボールは3バウンドすると勢いがなくなり床すれすれになってしまいます。
このボールを打ち返すには姿勢をだいぶ低くしないといけません。
また、音を頼りにボールの位置を把握するには、
自分の足音でボールの音がかき消されないように注意しなければいけないということもわかりました。
ボールがラケットに当たるようになったら、次は打つ方向を定めることや力の加減が課題でした。
打ち返したボールが相手のコートに入らずサイドアウトになったり、
ラケットを振る力が弱くてボールがネットを越えない場合は、
試合では当然自分の失点になってしまいます。
このあたりが確実にこなせるようになればラリーが続けられるようになると思います。
まだそこまではできておらず、1往復すればよいところで留まっています。
 まだまだ練習は必要ですが、私もラリーが続けられるようなレベルに到達したいです。
そして、日本ブラインドテニス連盟が主催する公式の大会にも出場できるようになりたいです。
★素朴な疑問あれこれ
質問1
 ブルースカイさんはもともと体育会系?それとも文化系?
 体育会系です。
中学時代は陸上部、高校時代は陸上部とフロアバレーボール部に所属していました。
質問2
 練習には月何回のペースで参加されていますか?
 多い時で月に4回くらいです。
平日の夜に練習会が開催されることもあり、体力があれば仕事の後でも参加することがあります。
質問3
 どれくらいの期間でラケットにボールが当たるようになるの?
どれくらいの期間で1往復のラリーができるようになるの?
 私の場合は、ラケットにボールがコンスタントに当たるようになるのに半年くらい、
1~2往復のラリーができるようになるのに1年以上かかりました。
ただ、打ち方のコツや向きなどをつかめばもっと早く打てるようになると思います。
質問4
 ブラインドテニスはどういった人におすすめですか?
 陸上競技や他の球技と比べると少しの体力でプレイできるので、
気軽にスポーツを楽しみたい方やボールが宙を飛ぶ3次元の球技を楽しみたい方におすすめです。
健常者の方にも楽しんでいただけると思います。
★ブラインドテニスとは
 視覚障害者でも楽しめるように工夫された球技には、
フロアバレーボール・ゴールボール・グランドソフトボール・ブラインドサッカーなど様々な種目がありますが、
いずれも基本的には地面の上でボールを転がしてプレイする球技です。
これに対してブラインドテニスは、ボールが空中を飛び回るこれまでにない斬新な特徴を持った球技です。
 これだけを聞くと、
「目が見えない・見えにくいのに空中を飛ぶボールを把握することができるのか?」という疑問がわくと思いますが、
ブラインドテニスにはふつうのテニスとは大きく異なる点があります。
それは、スポンジボールの中に音源に当たる鈴が入っていることです。
ちょうど、サウンドテーブルテニス(盲人卓球)のボールに入っているピンポン玉と同じものが音源に使われています。
これによりボールが動くと音が鳴り、ボールの位置を把握することができます。
また、ボールは黄色と黒色の2色が用意されており、見え方に応じて有利なほうを選ぶことができます。
 ラケットは、ショートテニスまたはジュニアテニス用の小さなものを使用します。
ネットは幅6.1メートル、高さは両端が85センチメートル、中央で80センチメートルになるように張ります。
コートはショートテニス用の横6.1メートル、縦13.4メートルのものを使用しますが、
全盲のプレイヤーでもポジションが把握できるようにベースラインの中央にセンターマークラインを設けて、
それぞれのラインの中央に紐を通すことで突起させています。
 ルールは基本的に軟式テニスにのっとっていますが、
視力や視野の程度により3つのクラスに分けられており、それぞれ有効なバウンド数などが決められています。
全盲プレイヤーはB1クラスに所属し3バウンドまで有効、
視力0.03以下または視野5度以下のプレイヤーはB2クラスに所属し3バウンドまで有効、
視力0.1以下または視野20度以下とその他の視覚障害を持つプレイヤーはB3クラスに所属し2バウンドまで有効とされています。
ちなみに、私はB2クラスに所属しています。
 ブラインドテニスの詳細については以下のURLをご覧ください。
 日本ブラインドテニス連盟
 http://jbtf.jpn.org/
編集後記
 見えにくい、でも見えないわけじゃない。
だから、ほんのわずかでも見えるなら、見て判断したい。
そんなお気持ちを弱視の方からお聴きすることがよくあります。
 見ようとする自分がいるけれど、見える距離と範囲は限られている。
見ようとする自分には音に集中することは難しい。
そこで、見える部分は見る、音で把握できるところはどこか考える。
自分なりのボールのとらえ方、それが見い出せた時、
ラケットを握る手に心地よい感触が・・・。
そして、「そうか、これなんだ」という実感の積み重ねが力になっていくのですね。
 もしかしたら、見る・聴くの折り合いが、いつの間にか暮らしの中のいろんな場面に自然にできていくかもしれませんね。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2016年5月6日
☆どうもありがとうございました。

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