第70回[報告] 全国盲人福祉大会（徳島大会）参加報告記
?????????????????????????????????????????????本会会長 田尻 彰
標記大会は、5月26日から三日間、徳島県で開かれ、京都からは21名が参加し
ました。大会初日は、評議員会及びあはき・スポーツの各協議会の代表者会議等
が行われました。二日目午前中の研修会は、「障害福祉サービスと介護保険サー
ビスの適用に係わる諸問題について」をテーマに、厚生労働省の障害福祉課と老
健局総務課より説明がありました。
午後には、全国の代表者が三つの分科会（生活・バリアフリー・職業）に分か
れて熱心な討議が行われました。
生活分科会では、日常生活用具、歩行訓練、65歳以上の介護保険問題をはじめ、
障害者総合支援法、同行援護、代読・代筆等について話し合われました。同行援
護や日常生活用具給付事業における地域間格差を是正するためにも、国による一
定の基準作りを求める声が多く出されました。また、ホームからの転落事故が後
を絶たない現状の中で、視覚障害者が正しい白杖歩行技能を習得する機会の充実
を図るためにも、歩行訓練士の配置基準を定め、どこでも歩行訓練が受けられる
環境を整備するよう求めることが確認されました。
なお、本会からは次の議題を提出し、採択されました。「交通機関の利用を前
提とする同行援護は交通機関が発達していない地域では、利用しにくいため、同
行援護従業者が運転する車の利用を認めるよう要望する。」
バリアフリー分科会では、駅の安全対策、交差点・信号機をはじめとする内容
が話し合われました。点字ブロックや音響信号の設置、交通運賃の割引など、毎
年出されている課題が多かった中で、「セルフレジが普及しても視覚障害者が単
独で買い物ができるよう、音声のみでも使用できるような改善の要望」が北九州
市と女性協議会から提案されました。新しい仕組みやシステムが導入される際、
最初から全ての人が利用できるような開発を、そしてどうしても利用できない人
に対する代替手段が最初から念頭に置かれるような開発を切望します。
なお、本会からは次の議題を提出し、採択されました。
「鉄道駅ホームからの転落をなくすために、利用乗客数に関わらず、全ての駅
の安全対策について総点検するとともに、地域の主要駅における転落防止柵の設
置の推進を要望する。」
これは、国土交通省が、「利用者数が一日あたり10万人以上などの駅について
優先的に整備を促進する」としている中で、この基準では、首都圏等では一定普
及するものの、地方都市などでは全く設置されないという状況になりかねないと
考えて提案したものです。「利用者数が一日あたり10万人」という基準に加えて、
地域の主要駅においても設置が実現するよう、計画的な取り組みの推進が求めら
れます。
職業分科会では、あはき等法19条関係、無資格・柔整、療養費などの三療関係
の課題に加えて、一般就労全般、就労継続支援などについて話し合われました。
あはき等法19条の堅持、無資格医業類似行為者の徹底取り締まりの強化などに加
えて、就労の形態に関わりなく、全ての働く視覚障害者がヒューマンアシスタン
ト（職場介助者）を利用できる制度の実現を求める声が多く出されました。ヒュ
ーマンアシスタント制度については、法律で定められた障害者雇用率を達成でき
ていない企業から徴収する「障害者雇用納付金」により運用されており、以前か
ら国はそれを理由に「公務員や自営業者には適用できない」としています。しか
し、そのような「罰則金」とも言えるもののみを財源としていることは、差別解
消法などの理念とは大きくかけ離れていると言わざるを得ず、改善が望まれます。
三日目は、多くの来賓を迎え大会式典が開催され、大会議事では運動方針と決
議案・大会宣言を提案通り採択して閉会しました。日盲連の竹下会長は、運動方
針の中で、「地域生活における安心安全の確保、情報保障と合理的配慮、職業的
自立、スポーツ・文化・芸術活動の促進」等を取り上げ、一つでも多くの課題が
解決するように取り組む決意を述べられました。
大会終了後は、会議に参加していたメンバーもツアーに加わり、高速観潮船で
鳴門の渦潮を肌で体感し、淡路島でお土産を購入して帰京しました。参加者は例
年より少なかったものの、添乗してもらった職員との交流も含め、皆さんに楽し
んでいただけたとのお話を聞き、嬉しく思っています。ご参加された方々、それ
を支えていただきましたボランティアの方々に、心から感謝申し上げます。あり
がとうございました。
なお、来年の第71回大会は、東京都で2018年6月11日（月）から13日（水）ま
で開催される予定です。平日の開催になりますが、多くの方々と共に参加できま
すことを楽しみにしています。