「あはき等法19条を守るための活動にご協力のお願い」
「あはき等法19条を守るための活動にご協力のお願い」
会 長 田尻 彰(たじり あきら)
三療部長 糸数 三男(いとかず みつお)
すでにご存じの方も多いと思いますが、視覚障害三療家の就労・生活を守るための「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(以下、あはき等法19条)を憲法違反として、その廃棄を求める訴訟が起こされています。詳しくは以下の日盲連決議を読んでいただきたいと思いますが、京視協は近畿ブロックの日盲連加盟組織と共に、あはき等法19条を守るための活動に取り組んでいます。
この運動の柱は、①公判傍聴、②裁判官へのハガキ要請、③広く国民に知ってもらうための街頭での訴えや署名収集、④これらの運動を支えるための活動資金集めです。
大阪地方裁判所での公判は現在までに2回行われ、3回目は2017年1月12日(木)15時に予定されています。本会としても三療部をはじめ、多くの会員の皆さまが傍聴に参加していただくことをお願いします。
当日参加していただける方は、13時30分までに阪急大宮駅東改札口前にお集まりください。なお、参加していただける方はお手数ですが京視協事務所(担当 今井)まで、事前にお申し出いただくよう重ねてお願いします。
<日盲連決議>
あはき等法19条を厳守することを求める決議
学校法人平成医療学園(以下、「平成医療学園」)は、自らが設置経営する3校の養成施設と大学のあん摩マッサージ指圧師養成課程の新設認可申請が不
認定とされたことを不服として、国を相手にその不認定処分の取り消しを求め訴訟を提起した。
訴訟の当事者は平成医療学園と国であり、我々は裁判の当事者ではないが、訴訟の結果によっては視覚障害あん摩マッサージ指圧師が失職し、あるいは視覚障害者があん摩マッサージ指圧師の職域から閉め出されかねないことを考えれば、我々こそが実質的には当事者であるとの認識に立ち、国の立場を強く支持するものである。
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下「あはき等法」)19条は、「当分の間、文部科学大臣又は厚生労働大臣は、あん摩マツサージ指圧師の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設において教育し、又は養成している生徒の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合その他の事情を勘案して、視覚障害者であるあん摩マツサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設で視覚障害者以外の者を教育し、又は養成するものについての第二条第一項の認定又はその生徒の定員の増加についての同条第三項の承認をしないことができる。」と定めている。
平成医療学園は、この規定が制定されてから半世紀あまりが経過しており、①視覚障害者に対する年金などの社会保障が充実し、あん摩マッサージ指圧師以外の職業に広く就職しているなどとしてこの規定の意義は失われている。②あはき等法19条は憲法22条によって保障された平成医療学園の営業の自由を侵害するものであり、国の不認定処分は憲法31条によって保障された手続き的保障に反するなどと主張している。しかし、それらの主張は現状の認識を大きく誤り、憲法解釈にも反するものである。
障害者雇用促進法が施行された今日においても、視覚障害者の職域は依然として狭く、視覚障害者の一般雇用は極めて低位のまま推移しており、今日においてもあん摩マッサージ指圧業は視覚障害者の中心的職種なのである。また、視覚障害あん摩マッサージ指圧師の収入は、晴眼あん摩マッサージ指圧師に比較して極めて低い状態が続いている。
他方、年金などの社会保障が制度化されたとはいえ、障害者の生活は引き続き困難な状態が続いており、障害者の生活保護受給率は一般国民の10倍を超えているのである。
視覚障害者の職業選択の自由が未だ実現していない中で、平成医療学園の主張が認められることがあれば、あん摩マッサージ指圧業の分野からも視覚障害者が実質的に閉め出されることとなり、視覚障害者の就労を通じた自立をも奪う結果となることは必定である。
我々は、そうした事態を回避するため、広く国民の理解と支持をも得て、視覚障害者の関係団体だけでなく、あはき業界との連携の下に国が勝訴するために全力を尽くすことをここに決意するものである。