第28回「手で触れる日展鑑賞会」に参加して
文化部 部長 小島文夫(こじま ふみお)
標記鑑賞会を文化部が担当し、去る12月22日に実施しました。なお、この観賞会に視覚障害者10名が参加されました。
私は、2018年こそ体調を崩し参加できなかったものの、2011年から8回目の体験となりました。
この鑑賞会の素晴らしいところは、視覚障害者が作品に直接手で触れられるということでしょうが、それ以上に、手で触れられる作品を作られた作家から私たち視覚障害者に直接、その作品についての想いや苦心されたことをお話しいただけるということでしょう。
そんな作家のお一人で、西見智之(にしみ ともゆき)先生の作品を紹介させていただきます。先生は、2011年に私が観賞会に参加し始めた当初から毎回欠かさず出品していただき、作品に対する想いを熱く語っていただいています。先生は、ご自宅で三頭の大型犬を飼っておられ、その愛犬三頭をモティーフとして作品を創り、出品しておられます。
2017年だったか、そのうちの一頭が天に召され、その年の作品は召された一頭が虹を渡って天国へ旅立とうとしているところを、地上から他の二頭が見送っている様子を表現されたものでした。2018年の作品を見ることは残念ながらできませんでしたが、今回は、亡くなった一頭が雲の上にいて、他の二頭が地上から懐かしそうに愛情をこめて見守っている様子を表現した作品でした。
先生の作品は「家族愛」を、犬を通して表現された素晴らしいものだと思いました。
また、紙面の関係で紹介できませんが、横田朋子(よこた ともこ)先生の「情熱と冷静」は、特に私の心を強く打ちました。この作品こそ先生の説明なくして感動することはないと強く思いました。
次回は、新装された美術館での鑑賞会となります。多くの方のご参加をお待ちしております。
最後に、今回の手で触れることが出来た作品をご紹介します。
作家氏名(敬称略)/作品名/素材の順
1.木代 喜司(きしろ よしじ)ピエロ ―夢― 樹脂・石膏・紙ほか
2.谷口 淳一(たにぐち じゅんいち) 夏の思い出 石膏
3.神山 美登里(かみやま みどり) 旨菜豊人(しさいほうじん) 樹脂
4.細川 忠夫(ほそかわ ただお) 巣立ち 樹脂
5.志萱 州朗(しがや くにあき) 湖(うみ)の季節 樹脂
6.芦田 風馬(あしだ ふうま) 父 セメント
7.西見 智之(にしみ ともゆき) 三姉妹 樹脂
8.横田 朋子(よこた ともこ) 情熱と冷静 樹脂
9.大亀 清寿(おおかめ せいじゅ) 立ち行《ゆ》く 木(楠)
10.西山 良文(にしやま よしふみ) 和《なご》み 樹脂
11.石母田 ななみ(いしもだ ななみ) 知と愛 樹脂
12.柳浦 伊和夫(やなぎうら いわお) 能州懐郷(のうしゅうかいきょう)樹脂
13.答島 英淳(こたじま ひであつ) Raise Me Up(レイズ ミー アップ)樹脂