メルマガ色鉛筆第381号「前例がないおじさんとの戦い 盲導犬お断りのアホな騒動記」

タイトル 前例がないおじさんとの戦い 盲導犬お断りのアホな騒動記
ペンネーム チュニジアン ブルー、略称チュニブル(60代 男性 弱視)
レポートの要旨です
 東日本のある県に、熊とともに生息するようなチュニブルのことだから、
今より10年くらい前の血気盛んな頃は、
それはもう、盲導犬ユーザーの女性の利用を門前払いしようとした
某政令指定都市の全国チェーンのホテルと戦い、
お役所や盲導犬協会にも分厚く情報提供して、
どこにでも訴えてください、などとこちらを甘くみていたホテルの担当者に
平謝りさせた、などという武勇伝もありましたがな、
あーあ、あの頃、チュニブルも若かったなあ。
最近は、皆様から優しさと微笑みのチュニブルと呼ばれ、
悟りを開きつつあったのだが、、、。
そんな私が晩秋の一日、仲間と訪れて、悟りを深めようとしたお寺に、
ツキノワグマよりも、ヒグマよりも、どうしようもない、
やつが生息していたのでした。その名も、前例がないおじさん。
これは盲導犬お断りというまさに「アホな」騒動記です。
ここから本文です
 「秘仏のご開帳をしておりますので障害者割引はなく、
団体割引でお一人100円引きです」。
うーむ、商売熱心だなあと舌打ちしながら22人分の拝観料を窓口で払っていた時に、
そいつは現れた。
 「当寺では、盲導犬受け入れの前例はないので、入場はご遠慮ください」。
我が耳を疑った。
東京パラリンピックから4年、バリアフリーのレガシーは東日本にはもうないのか、
などと、のんびり評論家してる場合じゃないぞ。
ここで参加してくれた盲導犬ユーザーの方お二人のために、
体を張って主張すべきことは主張しなければ。
盲導犬ユーザーと二人で、障害者差別解消法や補助犬法のことを説明して、
この様な入場拒否は法律違反になると説明を続けた。
 それでもこのおじさんは引かない。
差別解消法の改正で昨年4月からは、
それまで公共団体に義務付けられていた合理的配慮が民間にも義務付けられていること、
全国の市区町村に差別事例での相談窓口があり、
この様なケースでは当然、相談の対象になることも告げた。
盲導犬協会や県の関係機関も乗り出してくることも強調した。
内心笑えたのは、このお寺の他の係員でやり取りを聴いていた方が、
それはその通りだよなあと私どもの方に賛意を示してくれたことだ。
 「あなたがなんと言おうと、前例がないと言うのと、
法律違反ではどちらが強いと思いますか」。
チュニブルはくいさがった。
かつて、このお寺がある市に単身赴任していたことがある盲導犬ユーザーの方の
こんな対応は本当に残念だという嘆きも、前例がないおじさんの心を揺さぶり始めた。
 ついに彼は、今回のことは、こちらでも再度調べます。
今日は入場してもいいですと折れた。
私たちが予約していたボランティアの方の説明を聴きながら拝観したが、
ガイドさんは「このお寺は宗派を問わず色々な方を受け入れてきた。
身分の上下に関わらず、お墓の大きさも同じなんです」と
先ほどまでの論争を知ってか、知らずか、このお寺の根底に流れるのは、
包摂、インクルーシブな思想であることに言及した。
 その後、前例がないおじさんに、勉強の成果をきく時間も
お寺として、今後は盲導犬ユーザーにどのように接していくのか確認する時間も
まだ持てていない。
だが、もう少しで雪が降る。
熊も少しはおとなしくなるかもしれない。
その時こそ、チュニブルが再度、熊の代わりに動く時だ。
これは視覚障害者のためだけではない。
千年を超える歴史を持つお寺の大切な哲学、
みんなを平等に受け入れるという願いを地域社会全体で未来に繋げていくためだ。
そのことにわたしたち、視覚障害者が少しでも貢献できるのなら、
こんな幸せなことはないとチュニブルは思う。
さあて、そろそろ一杯やりますか。
編集後記
 アホな騒動、さまざまなところで起きています。
ばかばかしいと対話をせずスルーをすれば、それは騒動にすらなりません。
アホなことで終わります。
この終わりは、これ以上引っ張らないで気持ちを切り替える、
つまり、それがプラスの一歩になることもありますね。
でも、アホなことで終わらせずにちゃんと対話して騒動になれば、
それはきちんとプラスのアクションにつながっていきます。
プラスのアクションとは、主張が通って解決するという道になることもあるし、
何一つ解決しないけれど根気よく伝え続けるということもあります。
そして、騒動の元は概ね「知らない」が根っこにあります。
まず「知る」につなげる騒動は、それだけでプラスです。
今回のように盲導犬お断りという意味不明の話も「知らない」が根にありました。
では、知っていただきましょう、アホな騒動のたびに。
これもチャンスです。
但し、大切に受け止めなければならないことがあります。
それは、理不尽な対応に心は傷つくということです。
2025年、あの時、悲しかった、嫌だったという思いをされた方もおられるでしょう。
それが障害ゆえに起きることならば、やはり悲しいです。
だからこそ、伝えること、しんどいけれど、あきらめずにいたいですね。
一人なら難しくても仲間とつながればできることもありますね。
そのことをチュニブルさんの行動から感じます。
熱いチュニブルさん、視覚障害だからこそできる貢献へ、熊避けの鈴携えてファイト!
 2025年も色鉛筆はたくさんのライターさんとボランティアさん、
そして担当職員のふんばりでカラフルに活動できました。
ご愛読いただいた読者の皆様、ありがとうございました。
レポートへの感想コメントに、編集チームとライターさんは励まされました。
色鉛筆のレガシーは、リアルな体験レポートを共有することです。
いつだって気さくに隣でおしゃべりする雰囲気を大切にしています。
2026年も、積み重ねてきたものを力に、新たな挑戦をしていきます。
来年もどうかよろしくお願いします。
 -- このメールの内容は以上です。
発行:  京都府視覚障害者協会
発行日:  2025年12月26日
☆どうもありがとうございました。


現在、シンプルな表示の白黒反転画面になっています。上部の配色変更 ボタンで一般的な表示に切り換えることができます。


サイトポリシー | 個人情報保護方針 | サイトマップ | お問合せ | アクセシビリティ方針 | 管理者ログイン