メルマガ色鉛筆第345号「あなたもわたしもダンシング」
タイトル あなたもわたしもダンシング
ペンネーム マハラジャゴールド(50代 女性 弱視)
★レポートの要旨です。
この数年、「踊ってみた」動画とか、学校の部活でもダンス部が人気だそうで
す。
さまざまなジャンルのダンスが幅広い世代で楽しまれているようです。
一緒にテレビを見ている家族に「どんなダンス?」と聞くと、
「どう言えばいいかわからない」という前置きの後、ちょっとだけ説明してくれ
ます。
ブレイクダンスみたいに地面でクルクルとか、めっちゃアクロバティックとか、
ロボットダンスでキレキレの動きとか、シンクロしててすごいとか。
「手を取って教えて」と言うと、
YouTubeなら一時停止して、ちょっとだけ教えてくれます。
その時ひらめいたのです。
動きは一つずつおぼえてつなげたらいい、簡単なものなら多分できるはずだと。
そして、心ときめく挑戦へ、みんなと踊るステージへ。
★ここから本文です。
私が高校生の頃は、ディスコブームでした。
週末の夜におしゃれをしてディスコに行くのがうれしくてたまりませんでした。
女友達3,4人と18時頃待ち合わせ、お洋服はかわいくてセクシーなものが人
気でした。
みんな自分をきれいに見せるために必死で、私もそうでした。
上品な淡いピンクとかきれいなワイン色とかを選んでもスカートは短かったな。
男の子から注目されたいとか、女の子からもかわいいと言われたいとか、
あの頃の私たちは、そんな気持ちをむき出しにしていました。
当時のディスコでは人気の曲ごとに決まったふりつけがありました。
フロアが盛り上がってきたら、フロア中央のお立ち台がウイーンとせりあがりま
す。
フロアをぐるりと囲むサークル上のお立ち台も女の子でいっぱいになります。
お友達と一緒に私もせりあがる位置をハイヒールで確かめながらキープしていま
した。
私は、もともと夜盲があったので、みんなと同じふりつけがわからなくて、
しかも、お友達に「ふりつけ教えて」なんて聞けなくて、
いつだって好きなようにダンシングしていました。
「その動きなんか変わってるけど、かわいいね」と言われるのが、
恥ずかしくて悲しかったです。
私はみんなと一緒のふりつけがしたくてたまらなかったのです。
なんで友達にふりつけ教えてって言えなかったんだろう。
最近、ダンスブームですね。
数年前のバブリーダンスのメイクとか髪型とかボディコンとか、
今の若い女の子たちがやってるのを見たかったなあ。
きっと、「ちょっとそれはやりすぎ」とか、
「そうそう!こんな服着てた」とか、指さしながら笑えたかもなのに。
見えないってつまんない、しょんぼり。
今になってもダンスが見たいなあという気持ちは同じなのです。
1分のダンス動画もかわいいポイントポーズがあるらしい、真似したい。
この気持ちもあの頃と同じなのです。
もっと前なら恋ダンス、めっちゃかわいいに決まってる、「私もやりたーい」と
。
でも、「やめときなさい」とダーリンはストップをかけます。
誰に見せるわけでもない、自分がやりたいだけなのに。
きっとふりつけを説明するのが面倒くさいのでしょう。
ここまで書いてきて、「ダンス、思えば・・・」ということ何度もありますね
。
私の中のダンシングフラストレーション、フツフツ、ムンムン。
そういえば、見えない見えにくいお友達も似たようなこと言ってたな。
でも、ほんまにあかんの?見えないからできないの?そんなはずない?
できるはず!できるやりかた考えたらおもろいやん!
というわけで、第32回視覚障害リハビリテーション研究発表大会の
余暇活動分科会企画でやってみることにしました。
ふりつけは何かの真似するんではなく、考えてしまおう、
そして、みんなに言葉で伝えて、リアルに手をとって伝えて、
見える人も見えない人も見えにくい人もみんなでやってみよう、
はじめて見るもの、はじめて聴くもの、一度におぼえられないけれど、
自分の中で「これならできる」のふりつけを楽しみながらリズムに合わせてやっ
てみる、ダンスは見えないけど、ダンスする自分を見せることはできる、
どうせなら見えない言葉、手話をモチーフにしてふりつけを考えてみよう、
ものの位置や動作を伝える場面は視覚リハビリテーションの中ではよくあること
、
ダンスレクで視覚リハにおける「情報の伝え方」についても考えるきっかけにで
きるはず、 どんどんどんどん考えていくと、心の中がもうカウントとって踊
りだしました。
そうやって、東京ブギウギの替え歌歌詞を考えたり、生のピアノ伴奏で歌録音
をしたり、視覚リハの体育訓練で実際にダンス動画を撮影したり、
オンライン交流会でふりつけ解説と実践にトライしたり。
思えば、フツフツ、ムンムンが栄養剤になってます。
みんなで手を取り合いつながって進むこと、その気持ちを歌詞にこめました。
波に乗るのか、ダンシングクイーンに手を挙げるのか、
9月21日の大会でどんな気づきがあるのか、今は楽しみで楽しみでなりません
。
もう心踊りまくり、体験していただいたみなさんからの感想も楽しみです。
ここまで書いてきて、一緒にこの企画を盛り上げていこうと
「いいよ」と手をつないでくれたみんなの顔をイメージしています。
ダンシングクイーン?、ダンシングキング?になっちゃってるかもしれない、
そんなみんなのこと、ご陽気な妄想をしております。
ダンス、やればできる、やるかやらないかだけ、
やってうまくいかなかったら、また考えたらええやん、それが前進だよね。
そう自分にもみんなにも伝えながら、心わくわくの今です。
もし、このレポートを読んで「それってどんなの?」と気になった方は、
ぜひとも第32回視覚リハビリテーション研究発表大会へご参加ください。
9月21日から23日、大会ではたくさんの発表や企画があります。
編集後記
今は見えない・見えにくい自分、そんな自分がやり残したこと。
またできたらよいのに、と思ってること。
ありますよね。
みんなと同じ振りつけでダンスをする。
そこにやる気の火がつきましたね。
私達の色鉛筆で描くダンスの絵は、やっぱり他の絵とはちょっとちがうかも知
れません。
ですが、その絵の中のみんなの様子はどうでしょうか。
その絵を目の前にする人は、何を受け取るでしょうか。
マハラジャゴールドさん、この先を知りたいです。
つづきのレポートをお待ちしてまーす。
ポーズ!
あ、つられてしもた。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2024年9月6日
☆どうもありがとうございました。